トップ 東京大学 2009年 文系 第3問

東京大学 2009年 文系 第3問 解説

数学A/確率数学A/場合の数テーマ/場合分け
東京大学 2009年 文系 第3問 解説

方針・初手

各回のスイッチ操作で玉が出る事象は互いに独立であり、それぞれの色が選ばれる確率は等しく $\frac{1}{4}$ である。 (1)は、前半5回の操作と後半5回の操作を独立な試行として考える。 (2)および(3)は、操作(C)のルールを「各色が何回出たか」という条件に翻訳することがポイントである。出た玉の色が $L$ になければ $L$ に入り、あれば $R$ に入ることから、$L$ に入る玉は「各色が初めて出たとき」のものに限定され、$R$ に入る玉は「同じ色が2回目以降に出たとき」のものであると解釈できる。

解法1

(1)

操作(A)を5回行い、$L$ に4色すべての玉が入る確率を $p$ とする。 5回の操作で4色すべての玉が出るのは、いずれか1色が2回、残り3色が1回ずつ出る場合である。 4色のうち、2回出る色の選び方は ${}_4\text{C}_1$ 通りある。 その色が5回中で出るタイミングの順列は $\frac{5!}{2!1!1!1!}$ 通りである。 したがって、5回で4色すべてが出る場合の数は

$$ {}_4\text{C}_1 \times \frac{5!}{2!1!1!1!} = 4 \times 60 = 240 \text{ 通り} $$

全体の場合の数は $4^5$ 通りであるから、確率 $p$ は

$$ p = \frac{240}{4^5} = \frac{15}{64} $$

操作(A)による $L$ の結果と、操作(B)による $R$ の結果は独立であるため、求める確率 $P_1$ は

$$ P_1 = p^2 = \left( \frac{15}{64} \right)^2 = \frac{225}{4096} $$

(2)

操作(C)において、ある色の玉が $L$ に入るのは、その色の玉が初めて出たときのみである。 したがって、5回の操作の後に $L$ に4色すべてが入っているための必要十分条件は、5回の操作の中で4色すべてが少なくとも1回ずつ出ることである。 これは(1)で求めた「5回の操作で4色すべてが出る」事象と全く同じである。 よって、求める確率 $P_2$ は

$$ P_2 = p = \frac{15}{64} $$

(3)

操作(C)において、各色について1回目に出た玉は $L$ に入り、2回目以降に出た玉はすべて $R$ に入る。 したがって、10回の操作の後に $L$ にも $R$ にも4色すべてが入っているための必要十分条件は、10回の操作の中で4色すべてがそれぞれ2回以上出ることである。 10回の操作で、赤、青、黄、白が出る回数をそれぞれ $a, b, c, d$ とすると、求める条件は

$$ a, b, c, d \geqq 2 \quad \text{かつ} \quad a + b + c + d = 10 $$

を満たすことである。 この条件を満たす整数の組 $(a, b, c, d)$ の組み合わせは、以下の2つのパターンに分けられる。

(i) 4つの回数が $(4, 2, 2, 2)$ の並べ替えとなる場合

4色のうちどの色が4回出るかの選び方が $\frac{4!}{3!1!} = 4$ 通り。 それぞれについて、玉の出方の順列は $\frac{10!}{4!2!2!2!} = 18900$ 通りである。 よって、このパターンの場合の数は

$$ 4 \times 18900 = 75600 \text{ 通り} $$

(ii) 4つの回数が $(3, 3, 2, 2)$ の並べ替えとなる場合

4色のうちどの色が3回出るかの選び方が $\frac{4!}{2!2!} = 6$ 通り。 それぞれについて、玉の出方の順列は $\frac{10!}{3!3!2!2!} = 25200$ 通りである。 よって、このパターンの場合の数は

$$ 6 \times 25200 = 151200 \text{ 通り} $$

(i)と(ii)は排反であるから、条件を満たす玉の出方の場合の数は合計して

$$ 75600 + 151200 = 226800 \text{ 通り} $$

したがって、確率 $P_3$ は

$$ P_3 = \frac{226800}{4^{10}} $$

これより、$\frac{P_3}{P_1}$ を計算すると

$$ \frac{P_3}{P_1} = \frac{\frac{226800}{4^{10}}}{\frac{240^2}{4^{10}}} = \frac{226800}{57600} = \frac{2268}{576} = \frac{63}{16} $$

解法2

(3)の別解:包除原理による解法

10回の操作で各色が2回以上出る事象の場合の数を、余事象を用いて求める。 10回スイッチを押したときのすべての場合の数は $4^{10}$ 通りである。 色 $k$($k=1, 2, 3, 4$)が0回または1回しか出ない事象を $A_k$ とする。 求める事象は、どの色も2回以上出る事象、すなわち $\overline{A_1 \cup A_2 \cup A_3 \cup A_4}$ である。 包除原理を用いて $n(A_1 \cup A_2 \cup A_3 \cup A_4)$ を計算する。

$n(A_1)$ について、色1が0回出る場合は $3^{10}$ 通り、1回出る場合は ${}_{10}\text{C}_1 \times 3^9$ 通りであるから

$$ n(A_1) = 3^{10} + 10 \times 3^9 = 13 \times 3^9 = 13 \times 19683 = 255879 $$

対称性から、1つの事象についての和は $4 \times 255879 = 1023516$ 通りとなる。

$n(A_1 \cap A_2)$ について、色1と色2がそれぞれ0回または1回出る場合は以下の和となる。

$$ n(A_1 \cap A_2) = 1024 + 10240 + 23040 = 34304 $$

対称性から、2つの事象の積事象についての和は ${}_4\text{C}_2 \times 34304 = 6 \times 34304 = 205824$ 通りとなる。

$n(A_1 \cap A_2 \cap A_3)$ について、色1, 2, 3がそれぞれ0回または1回出る場合は以下の和となる。

$$ n(A_1 \cap A_2 \cap A_3) = 1 + 30 + 270 + 720 = 1021 $$

対称性から、3つの事象の積事象についての和は ${}_4\text{C}_3 \times 1021 = 4 \times 1021 = 4084$ 通りとなる。

$n(A_1 \cap A_2 \cap A_3 \cap A_4)$ について、4色すべてが0回または1回出る場合であるが、最大でも合計回数が $1+1+1+1=4$ 回にしかならず、試行回数10回を満たさないため $0$ 通りである。

以上より、

$$ \begin{aligned} n(A_1 \cup A_2 \cup A_3 \cup A_4) &= 1023516 - 205824 + 4084 - 0 \\ &= 821776 \end{aligned} $$

よって、どの色も2回以上出る場合の数は

$$ 4^{10} - 821776 = 1048576 - 821776 = 226800 \text{ 通り} $$

これを用いて確率 $P_3$ を求め、$\frac{P_3}{P_1}$ を計算する手順は解法1と同様である。

解説

問題文の操作のルールを、単純な「玉の出る回数」の条件に帰着できるかが問われている。 (2)では「$L$ に入る=その色が初めて出た」と読み換えることで、(1)の前半部分と全く同じ事象であることを瞬時に見抜ける。 (3)でも同様に「$R$ に入る=その色が2回目以降に出た」と解釈することで、10回の操作で4色すべてが「2回以上出た」という条件にたどり着く。場合の数を求める際、本問のようにパターンが少ない場合は解法1のように直接数え上げるのが簡明かつ確実であるが、試行回数が増えた場合は解法2の包除原理が威力を発揮する。

答え

(1)

$P_1 = \frac{225}{4096}$

(2)

$P_2 = \frac{15}{64}$

(3)

$\frac{P_3}{P_1} = \frac{63}{16}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。