大阪大学 2009年 文系 第3問 解説

方針・初手
点 P が平面上の $(x, y)$ にあるとき、さいころのどの目が出るかによって移動量が決まるため、ベクトルを用いて考える。1, 2, 3 の目が出る事象を $A$、4の目が出る事象を $B$、5, 6の目が出る事象を $C$ とし、それぞれの事象が起きる確率と移動量を整理する。そして、$k$ 回さいころを振ったときの各事象の起こる回数を文字でおき、点 P が $(2, 1)$ に到達する条件を立式することで、各事象の起こる回数を特定する。
解法1
1, 2, 3のいずれかの目が出る事象を $A$、4の目が出る事象を $B$、5, 6のいずれかの目が出る事象を $C$ とする。問題文より、それぞれの事象が起こる確率は、
$$ P(A) = \frac{1}{6} \times 3 = \frac{1}{2} $$
$$ P(B) = a $$
$$ P(C) = \left( \frac{1}{4} - \frac{a}{2} \right) \times 2 = \frac{1}{2} - a $$
である。また、各事象が1回起こったときの点 P の移動量ベクトルは、それぞれ $\vec{a} = (1, 0)$、$\vec{b} = (0, 1)$、$\vec{c} = (-1, -1)$ と表せる。
$k$ 回さいころを振ったとき、事象 $A, B, C$ がそれぞれ $n_A, n_B, n_C$ 回起こったとする。ここで、$n_A, n_B, n_C$ は0以上の整数であり、以下の関係式を満たす。
$$ n_A + n_B + n_C = k $$
このとき、点 P の座標は $n_A \vec{a} + n_B \vec{b} + n_C \vec{c}$ となるから、
$$ n_A (1, 0) + n_B (0, 1) + n_C (-1, -1) = (n_A - n_C, n_B - n_C) $$
となる。これが点 $(2, 1)$ と一致する条件は、
$$ \begin{cases} n_A - n_C = 2 \\ n_B - n_C = 1 \end{cases} $$
すなわち、
$$ n_A = n_C + 2 $$
$$ n_B = n_C + 1 $$
である。これらを $n_A + n_B + n_C = k$ に代入して整理すると、
$$ (n_C + 2) + (n_C + 1) + n_C = k $$
$$ 3n_C + 3 = k $$
となる。$n_C$ は0以上の整数であるから、$k$ は3以上の3の倍数でなければならない。
(1)
$k = 1, 2$ のとき、$3n_C + 3 = k$ を満たす0以上の整数 $n_C$ は存在しない。したがって、点 P が $(2, 1)$ にあることはなく、確率はそれぞれ 0 である。
$$ p_1 = 0, \quad p_2 = 0 $$
$k = 3$ のとき、$3n_C + 3 = 3$ より $n_C = 0$ となる。このとき $n_A = 2, n_B = 1$ である。よって、事象 $A$ が2回、事象 $B$ が1回、事象 $C$ が0回起こればよいので、求める確率 $p_3$ は反復試行の確率より、
$$ p_3 = \frac{3!}{2!1!0!} P(A)^2 P(B)^1 P(C)^0 = 3 \left( \frac{1}{2} \right)^2 a = \frac{3}{4} a $$
である。
(2)
$k = 6$ のとき、$3n_C + 3 = 6$ より $n_C = 1$ となる。このとき $n_A = 3, n_B = 2$ である。よって、事象 $A$ が3回、事象 $B$ が2回、事象 $C$ が1回起こればよいので、求める確率 $p_6$ は、
$$ p_6 = \frac{6!}{3!2!1!} P(A)^3 P(B)^2 P(C)^1 $$
$$ p_6 = 60 \left( \frac{1}{2} \right)^3 a^2 \left( \frac{1}{2} - a \right) = \frac{15}{2} a^2 \left( \frac{1}{2} - a \right) $$
である。
(3)
(2)の結果から、$f(a) = \frac{1}{2} a^2 - a^3$ とおき、$0 \leqq a \leqq \frac{1}{2}$ の範囲における $f(a)$ の最大値を調べる。
$f(a)$ を $a$ で微分すると、
$$ f'(a) = a - 3a^2 = -3a \left( a - \frac{1}{3} \right) $$
となる。$0 \leqq a \leqq \frac{1}{2}$ の範囲で $f'(a) = 0$ となるのは $a = 0, \frac{1}{3}$ のときである。増減表は以下のようになる。
| $a$ | $0$ | $\cdots$ | $\frac{1}{3}$ | $\cdots$ | $\frac{1}{2}$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(a)$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ | |
| $f(a)$ | $0$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | $0$ |
増減表より、$f(a)$ は $a = \frac{1}{3}$ のとき最大となる。$p_6$ は $f(a)$ を正の定数 $\frac{15}{2}$ 倍したものであるため、$p_6$ が最大になる $a$ の値も同じである。
したがって、求める $a$ の値は $a = \frac{1}{3}$ である。
解説
各出目がどの移動方向に対応するかを整理し、それぞれの事象が何回起きたかを変数でおいて連立方程式を立てるという、確率における典型的な問題である。到達する座標から、各事象の起こる回数が一意に定まることに気づけば、あとは多項定理(反復試行)を用いた確率計算と、3次関数の微分の基本計算に帰着できる。確実に得点したい問題である。
答え
(1)
$p_1 = 0, \quad p_2 = 0, \quad p_3 = \frac{3}{4} a$
(2)
$p_6 = \frac{15}{2} a^2 \left( \frac{1}{2} - a \right)$
(3)
$a = \frac{1}{3}$
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