東京大学 1982年 理系 第3問 解説

方針・初手
- 点 $A$, $B$ の座標を設定し、線分 $AB$ 上の点をパラメータで表して代数的に処理するアプローチと、$\triangle OAB$ が二等辺三角形であることに着目して幾何的に処理するアプローチの2つが考えられる。
- (1) では、線分上の点が円周上にあるという条件を立式し、交点の存在条件(パラメータの範囲)に帰着させる。
- (2) では、(1) の過程で得られたパラメータから内分比を読み取るか、$\triangle OAC$ の性質から弦の長さを直接求める。
- (3) では、$\triangle CBM$ に対して余弦定理を適用し、$CM^2$ を $\theta$(あるいは $\cos 2\theta$)の関数として表し、その最大・最小を調べる。
解法1
(1)
$\triangle OAB$ において、円の半径より $OA=1$、条件より $AB=1$ であるから、$\triangle OAB$ は $OA=AB$ の二等辺三角形である。 したがって、底角は等しく $\angle ABO = \angle AOB = \theta$ である。
頂点 $A$ から $x$ 軸に垂線を下ろすと、その足は線分 $OB$ の中点となるから、$OB = 2 OA \cos\theta = 2\cos\theta$ である。 点 $A$ は第1象限の単位円周上にあるので、$A(\cos\theta, \sin\theta)$ ($0 < \theta < \frac{\pi}{2}$) と表せる。 また、点 $B$ は $x$ 軸上にあり、$OB = 2\cos\theta > 0$ より $x$ 座標は正であるから、$B(2\cos\theta, 0)$ である。
線分 $AB$ 上の点 $P$ は、実数 $t$ ($0 \le t \le 1$) を用いて、
$$ \vec{OP} = (1-t)\vec{OA} + t\vec{OB} $$
と表される。成分で表すと、
$$ P(\cos\theta + t\cos\theta, (1-t)\sin\theta) $$
となる。点 $P$ が単位円周上にあるとき、$OP^2 = 1$ が成り立つから、
$$ \begin{aligned} 1 &= (\cos\theta + t\cos\theta)^2 + ((1-t)\sin\theta)^2 \\ &= \cos^2\theta(1+2t+t^2) + \sin^2\theta(1-2t+t^2) \\ &= (\cos^2\theta+\sin^2\theta)t^2 + 2(\cos^2\theta-\sin^2\theta)t + (\cos^2\theta+\sin^2\theta) \\ &= t^2 + 2t\cos 2\theta + 1 \end{aligned} $$
これを整理して、
$$ t(t + 2\cos 2\theta) = 0 $$
$t=0$ のときは点 $A$ に対応する。したがって、もう一つの交点 $C$ に対応するパラメータは $t = -2\cos 2\theta$ である。 点 $C$ が線分 $AB$ 上の両端を除く点であるための条件は、$0 < t < 1$ である。よって、
$$ 0 < -2\cos 2\theta < 1 \iff -\frac{1}{2} < \cos 2\theta < 0 $$
$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < 2\theta < \pi$ であるから、この範囲で不等式を解くと、
$$ \frac{\pi}{2} < 2\theta < \frac{2}{3}\pi \iff \frac{\pi}{4} < \theta < \frac{\pi}{3} $$
(2)
線分 $AB$ の長さは $1$ であり、(1) の結果から点 $C$ は線分 $AB$ を $t : (1-t)$ に内分する点である。 よって $AC = t AB = t = -2\cos 2\theta$ である。 したがって、$BC$ の長さは、
$$ BC = AB - AC = 1 - (-2\cos 2\theta) = 1 + 2\cos 2\theta $$
(3)
点 $M$ は $OB$ の中点であるから、$MB = \frac{1}{2}OB = \cos\theta$ である。 $\triangle CBM$ において余弦定理を用いると、
$$ CM^2 = MB^2 + BC^2 - 2 MB \cdot BC \cos(\angle CBM) $$
ここで、$\angle CBM = \angle ABO = \theta$ であるから、
$$ \begin{aligned} CM^2 &= \cos^2\theta + (1 + 2\cos 2\theta)^2 - 2\cos\theta(1 + 2\cos 2\theta)\cos\theta \\ &= \cos^2\theta + (1 + 2\cos 2\theta)^2 - 2\cos^2\theta(1 + 2\cos 2\theta) \\ &= \cos^2\theta + (1 + 2\cos 2\theta)(1 + 2\cos 2\theta - 2\cos^2\theta) \end{aligned} $$
半角の公式より $2\cos^2\theta = 1 + \cos 2\theta$ であるから、
$$ 1 + 2\cos 2\theta - 2\cos^2\theta = 1 + 2\cos 2\theta - (1 + \cos 2\theta) = \cos 2\theta $$
これを代入して整理する。
$$ \begin{aligned} CM^2 &= \frac{1 + \cos 2\theta}{2} + (1 + 2\cos 2\theta)\cos 2\theta \\ &= 2\cos^2 2\theta + \frac{3}{2}\cos 2\theta + \frac{1}{2} \end{aligned} $$
$y = \cos 2\theta$ とおく。(1) より $\frac{\pi}{4} < \theta < \frac{\pi}{3}$ であるから、$-\frac{1}{2} < y < 0$ である。 $CM^2$ を $y$ の関数 $f(y)$ とみて平方完成すると、
$$ f(y) = 2\left(y + \frac{3}{8}\right)^2 + \frac{7}{32} $$
放物線の軸 $y = -\frac{3}{8}$ は区間 $-\frac{1}{2} < y < 0$ に含まれるため、最小値は $y = -\frac{3}{8}$ のとき $\frac{7}{32}$ である。 また、区間の両端での値は、
$$ f\left(-\frac{1}{2}\right) = \frac{1}{4}, \quad f(0) = \frac{1}{2} $$
$\frac{1}{4} < \frac{1}{2}$ であるから、$f(y)$ のとりうる値の範囲は、
$$ \frac{7}{32} \le f(y) < \frac{1}{2} $$
よって $\frac{7}{32} \le CM^2 < \frac{1}{2}$ となる。$CM > 0$ であるから、各辺の正の平方根をとって、
$$ \frac{\sqrt{14}}{8} \le CM < \frac{\sqrt{2}}{2} $$
解法2
(1), (2) の図形的な性質を利用した別解を示す((3) は解法1と同様)。
(1)
$\triangle OAB$ は $OA=AB=1$ の二等辺三角形であるから、$\angle ABO = \angle AOB = \theta$ であり、内角の和より $\angle OAB = \pi - 2\theta$ である。 また、頂点 $A$ から $x$ 軸に垂線を下ろすことで $OB = 2\cos\theta$ となる。 線分 $AB$ が円と $A$ 以外の点 $C$ で交わり、$C$ が線分 $AB$ の内分点となるためには、次の2つの条件が必要十分である。
① 点 $B$ が円の外部にあること
$$ OB > 1 \iff 2\cos\theta > 1 \iff \cos\theta > \frac{1}{2} $$
$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より、$0 < \theta < \frac{\pi}{3}$ となる。
② 直線 $AB$ が円の内部を通ること
これは $\angle OAB$ が鋭角であることと同値である(直角の場合は点 $A$ で接し、鈍角の場合は半直線 $BA$ 側で円と交わってしまうため)。
$$ 0 < \pi - 2\theta < \frac{\pi}{2} \iff \frac{\pi}{4} < \theta < \frac{\pi}{2} $$
①、②の共通範囲をとって、
$$ \frac{\pi}{4} < \theta < \frac{\pi}{3} $$
(2)
弦 $AC$ を含む $\triangle OAC$ は $OA=OC=1$ の二等辺三角形である。 その頂角は $\angle OAC = \angle OAB = \pi - 2\theta$ である。 頂点 $O$ から線分 $AC$ に垂線を下ろすと、その足は $AC$ の中点となるから、
$$ AC = 2 OA \cos(\angle OAC) = 2 \cos(\pi - 2\theta) = -2\cos 2\theta $$
したがって、
$$ BC = AB - AC = 1 - (-2\cos 2\theta) = 1 + 2\cos 2\theta $$
解説
本問は、図形の設定を座標やベクトルを用いて代数的に処理するか、初等幾何を用いて図形的に処理するかの選択がポイントとなる。
(1) の条件処理において、線分上の点が円周上にあることをベクトル方程式で立式し、パラメータの範囲に帰着させる手法(解法1)は、論理の飛躍がなく安全かつ確実である。 一方、図形的に処理する手法(解法2)は計算量が格段に減るが、「交点が線分上にあるための条件」を直感に頼らず正しく立式できるかが問われる。
(3) は一見すると計算が重そうに見えるが、余弦定理を用いて式を整理すると、$\cos 2\theta$ の2次関数に綺麗にまとまる。半角・倍角の公式を適切に活用して次数を下げ、計算を簡略化することが重要である。
答え
(1)
$\frac{\pi}{4} < \theta < \frac{\pi}{3}$
(2)
$BC = 1 + 2\cos 2\theta$
(3)
$\frac{\sqrt{14}}{8} \le CM < \frac{\sqrt{2}}{2}$
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