東京大学 1985年 理系 第2問 解説

方針・初手
点 $P$ の動径が表す角を $\theta$ とおき、点 $P, Q, R, S$ の座標を $\theta$ を用いて表す。線分 $RS$ の長さを $\theta$ の関数として立式し、$x = \cos\theta$ と置換することで $x$ の方程式に帰着させる。このとき、$x$ の値に対する $\theta$ の個数に対応づけながら、関数のグラフと直線 $y = l$ の共有点を調べる。
解法1
線分 $OA$ から正の向きにまわって線分 $OP$ にいたる角を $\theta$ ($0 \leqq \theta < 2\pi$) とする。
問題の条件より、線分 $OP$ から正の向きにまわって線分 $OQ$ にいたる角も $\theta$ となるため、線分 $OQ$ の表す角は $2\theta$ である。点 $P, Q$ は単位円 $x^2 + y^2 = 1$ 上の点であるから、それぞれの座標は $P(\cos\theta, \sin\theta)$、$Q(\cos 2\theta, \sin 2\theta)$ と表せる。
また、点 $R, S$ はそれぞれ点 $P, Q$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足であるため、$R(\cos\theta, 0)$、$S(\cos 2\theta, 0)$ となる。したがって、線分 $RS$ の長さは次のように表される。
$$ RS = |\cos 2\theta - \cos\theta| $$
ここで、$x = \cos\theta$ とおく。$\theta$ の範囲が $0 \leqq \theta < 2\pi$ であるから、$x$ のとりうる値の範囲は $-1 \leqq x \leqq 1$ である。このとき、1つの $x$ の値に対して定まる $\theta$ の個数(すなわち点 $P, Q$ の位置の組の数)は以下のようになる。
- $x = 1, -1$ のとき、$\theta$ はそれぞれ 1 個($\theta = 0, \pi$)
- $-1 < x < 1$ のとき、$\theta$ は 2 個
2倍角の公式 $\cos 2\theta = 2\cos^2\theta - 1$ より、$\cos 2\theta = 2x^2 - 1$ となる。線分 $RS$ の長さが $l$ と等しくなる条件は、次の方程式を満たすことである。
$$ |2x^2 - x - 1| = l $$
関数 $f(x) = |2x^2 - x - 1|$ $(-1 \leqq x \leqq 1)$ のグラフと、直線 $y = l$ の共有点の $x$ 座標を調べ、それぞれに対応する $\theta$ の個数を足し合わせればよい。絶対値の中身を平方完成すると、以下のようになる。
$$ 2x^2 - x - 1 = 2\left(x - \frac{1}{4}\right)^2 - \frac{9}{8} $$
また、$2x^2 - x - 1 = 0$ を解くと $(2x+1)(x-1) = 0$ より $x = -\frac{1}{2}, 1$ となる。
これらを踏まえ、区間 $-1 \leqq x \leqq 1$ における $y = f(x)$ のグラフを考えるための端点および極値となる点での値を計算する。
- $x = -1$ のとき、$f(-1) = |2 + 1 - 1| = 2$
- $x = -\frac{1}{2}$ のとき、$f\left(-\frac{1}{2}\right) = 0$
- $x = \frac{1}{4}$ のとき、$f\left(\frac{1}{4}\right) = \left|-\frac{9}{8}\right| = \frac{9}{8}$
- $x = 1$ のとき、$f(1) = 0$
したがって、$y = f(x)$ $(-1 \leqq x \leqq 1)$ のグラフと直線 $y = l$ ($l \geqq 0$) の共有点の $x$ 座標から、点 $P, Q$ の位置の組の数を $l$ の値で場合分けして求める。
(i)
$l = 0$ のとき
共有点は $x = -\frac{1}{2}, 1$ の2つである。 $x = -\frac{1}{2}$ のとき $\theta$ は 2 個、$x = 1$ のとき $\theta$ は 1 個であるから、求める個数は $2 + 1 = 3$ 通り。
(ii)
$0 < l < \frac{9}{8}$ のとき
共有点は $-1 < x < -\frac{1}{2}$ に 1 つ、$-\frac{1}{2} < x < \frac{1}{4}$ に 1 つ、$\frac{1}{4} < x < 1$ に 1 つの計 3 つ存在する。 いずれの共有点も $-1 < x < 1$ を満たすため、それぞれに対して $\theta$ は 2 個ずつ存在する。よって、求める個数は $2 + 2 + 2 = 6$ 通り。
(iii)
$l = \frac{9}{8}$ のとき
共有点は $-1 < x < -\frac{1}{2}$ に 1 つと、$x = \frac{1}{4}$ の計 2 つ存在する。 いずれの共有点も $-1 < x < 1$ を満たすため、それぞれに対して $\theta$ は 2 個ずつ存在する。よって、求める個数は $2 + 2 = 4$ 通り。
(iv)
$\frac{9}{8} < l < 2$ のとき
共有点は $-1 < x < -\frac{1}{2}$ に 1 つだけ存在する。 これは $-1 < x < 1$ を満たすため、$\theta$ は 2 個存在する。よって、求める個数は 2 通り。
(v)
$l = 2$ のとき
共有点は $x = -1$ の 1 つだけ存在する。 $x = -1$ のとき $\theta$ は 1 個であるから、求める個数は 1 通り。
(vi)
$l > 2$ のとき
共有点は存在しない。よって、求める個数は 0 通り。
解説
三角関数の倍角公式と絶対値を含む2次関数のグラフを用いて、方程式の実数解の個数を調べる典型的な問題である。$x = \cos\theta$ と置換した際、$x$ の値の範囲が $-1 \leqq x \leqq 1$ に制限されることと、$x$ の値1つに対する $\theta$ の個数が $x = \pm 1$ と $-1 < x < 1$ とで異なることへの注意が必要である。グラフの極大値と端点の値を正確に求め、直線 $y = l$ との交点の位置を適切に把握することで正解にたどり着ける。
答え
- $l = 0$ のとき、3通り
- $0 < l < \frac{9}{8}$ のとき、6通り
- $l = \frac{9}{8}$ のとき、4通り
- $\frac{9}{8} < l < 2$ のとき、2通り
- $l = 2$ のとき、1通り
- $l > 2$ のとき、0通り
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