東京大学 1999年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) 頂点 $A$ から $B$ へ電流が流れる事象を考える。辺 $AB$ が直接通電する場合と、そうでない場合で分けると見通しが立つ。辺 $AB$ を通らずに $A$ から $B$ へ流れる事象については、さらに辺 $CD$ の通電状態で場合分けを行うことで、並列・直列の単純な確率計算に帰着できる。
(2) 2つの四面体は頂点 $A$ と $E$ の位置にあるただ1つの点のみで繋がっている。したがって、頂点 $B$ から $F$ へ電流が流れるためには、四面体 $ABCD$ において $B$ から接点へ電流が流れ、かつ四面体 $EFGH$ において接点から $F$ へ電流が流れる必要がある。それぞれの通電事象は独立であることを利用する。
解法1
(1)
辺 $AB$ が通電する事象を $E$ とし、辺 $AB$ を通らずに頂点 $A$ から $B$ へ電流が流れる事象を $F$ とする。 各辺の通電は独立であるため、事象 $E$ と事象 $F$ も独立である。 頂点 $A$ から $B$ へ電流が流れる確率を $P_1$ とすると、これは事象 $E \cup F$ の確率であるため、次のように計算できる。
$$ P_1 = P(E) + P(E^c \cap F) = P(E) + P(E^c)P(F) $$
ここで、辺 $AB$ が通電する確率は $P(E) = p$ であり、通電しない確率は $P(E^c) = 1-p$ である。 次に、事象 $F$ の確率 $P(F)$ を求める。 辺 $AB$ を除く5つの辺 $AC, AD, BC, BD, CD$ について、辺 $CD$ が通電するかどうかで場合分けをする。
(i) 辺 $CD$ が通電する場合(確率 $p$)
頂点 $C$ と $D$ は電気的に同電位になる。 $A$ から $\{C, D\}$ へ電流が流れるのは、辺 $AC$ または $AD$ の少なくとも一方が通電する場合であり、その確率は $1 - (1-p)^2$ である。 同様に、$\{C, D\}$ から $B$ へ電流が流れるのは、辺 $BC$ または $BD$ の少なくとも一方が通電する場合であり、その確率は $1 - (1-p)^2$ である。 これらは独立に起こるため、この場合に $A$ から $B$ へ電流が流れる確率は以下のようになる。
$$ p \times \{ 1 - (1-p)^2 \}^2 = p (2p - p^2)^2 = p^3 (2-p)^2 = 4p^3 - 4p^4 + p^5 $$
(ii) 辺 $CD$ が通電しない場合(確率 $1-p$)
$A$ から $B$ への経路は $A \to C \to B$ と $A \to D \to B$ の2つの並列経路になる。 $A \to C \to B$ が通電する確率は $p^2$ であり、通電しない確率は $1-p^2$ である。 $A \to D \to B$ が通電する確率は $p^2$ であり、通電しない確率は $1-p^2$ である。 これらは独立であり、少なくとも一方が通電すればよいので、この場合に $A$ から $B$ へ電流が流れる確率は以下のようになる。
$$ (1-p) \times \{ 1 - (1-p^2)^2 \} = (1-p) (1 - 1 + 2p^2 - p^4) = (1-p)(2p^2 - p^4) = 2p^2 - 2p^3 - p^4 + p^5 $$
(i),(ii)は互いに排反であるから、事象 $F$ の確率 $P(F)$ はこれらの和となる。
$$ P(F) = (4p^3 - 4p^4 + p^5) + (2p^2 - 2p^3 - p^4 + p^5) = 2p^5 - 5p^4 + 2p^3 + 2p^2 $$
したがって、求める確率 $P_1$ は次のようになる。
$$ P_1 = p + (1-p)(2p^5 - 5p^4 + 2p^3 + 2p^2) $$
$$ P_1 = p + 2p^5 - 5p^4 + 2p^3 + 2p^2 - 2p^6 + 5p^5 - 2p^4 - 2p^3 $$
$$ P_1 = -2p^6 + 7p^5 - 7p^4 + 2p^2 + p $$
(2)
頂点 $A$ と $E$ は同一の点であり、これを接点 $X$ とする。 四面体 $ABCD$ と $EFGH$ は接点 $X$ のみで繋がっているため、頂点 $B$ から $F$ に電流が流れるという事象は、「四面体 $ABCD$ において頂点 $B$ から接点 $X$ へ電流が流れる」かつ「四面体 $EFGH$ において接点 $X$ から頂点 $F$ へ電流が流れる」という事象の積事象となる。 四面体間の各辺の通電は独立であるから、これら2つの事象も独立である。
対称性より、四面体 $ABCD$ において $B$ から $X(=A)$ に電流が流れる確率は、(1)で求めた $P_1$ と等しくなる。 また、四面体 $EFGH$ の構造も四面体 $ABCD$ と同一であるため、$X(=E)$ から $F$ に電流が流れる確率も $P_1$ と等しくなる。
よって、求める確率は $P_1 \times P_1 = P_1^2$ となり、以下のように求まる。
$$ (-2p^6 + 7p^5 - 7p^4 + 2p^2 + p)^2 $$
解説
電気回路における通電確率を題材にした典型問題である。 (1)に登場するような立体的な回路の通電確率を求める際は、中央の橋渡しとなる辺が通電するかどうかで場合分けを行うのが定石である。これにより、残りの部分が直列・並列の単純な確率計算に帰着できる。 (2)は回路が直列に繋がっていること、および図形の対称性に気づけば、(1)の結果を2乗するだけで容易に解答を導ける。
答え
(1)
$$ -2p^6 + 7p^5 - 7p^4 + 2p^2 + p $$
(2)
$$ (-2p^6 + 7p^5 - 7p^4 + 2p^2 + p)^2 $$
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