名古屋大学 1998年 理系 第5問 解説

方針・初手
楕円の方程式と直線の方程式を連立し、$x$ についての2次方程式を作成する。(1) はその2次方程式が異なる2つの実数解をもつ条件(判別式 $D>0$)を考える。(2) は交点の座標を直接求めるのではなく、解と係数の関係を利用して線分の長さや三角形の面積を立式し、関数としての最大値を求める。
解法1
楕円の方程式は次のように変形できる。
$$ 4x^2 + 9y^2 = 36 $$
これに直線の方程式 $y = x + k$ を代入して整理する。
$$ 4x^2 + 9(x+k)^2 = 36 $$
$$ 13x^2 + 18kx + 9k^2 - 36 = 0 \quad \cdots \text{①} $$
(1)
楕円と直線が異なる2つの共有点をもつための条件は、2次方程式①が異なる2つの実数解をもつことである。①の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ であればよい。
$$ \frac{D}{4} = (9k)^2 - 13(9k^2 - 36) = 81k^2 - 117k^2 + 468 = -36k^2 + 468 $$
$$ -36k^2 + 468 > 0 $$
$$ k^2 - 13 < 0 $$
これを解いて、求める $k$ の条件は以下のようになる。
$$ -\sqrt{13} < k < \sqrt{13} $$
(2)
2つの共有点 $P, Q$ の $x$ 座標をそれぞれ $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とおく。$\alpha, \beta$ は2次方程式①の2つの解であるから、解と係数の関係より以下が成り立つ。
$$ \begin{cases} \alpha + \beta = -\frac{18k}{13} \\ \alpha\beta = \frac{9k^2 - 36}{13} \end{cases} $$
$P(\alpha, \alpha+k), Q(\beta, \beta+k)$ であり、原点を $O(0,0)$ とすると、三角形 $OPQ$ の面積 $S$ は次のように表される。
$$ S = \frac{1}{2} |\alpha(\beta+k) - \beta(\alpha+k)| = \frac{1}{2} |\alpha\beta + \alpha k - \alpha\beta - \beta k| = \frac{1}{2} |k(\alpha - \beta)| $$
$\alpha < \beta$ より $\alpha - \beta < 0$ であるから、$|\alpha - \beta| = \beta - \alpha$ となる。
$$ S = \frac{1}{2} |k| (\beta - \alpha) $$
ここで、$(\beta - \alpha)^2$ を解と係数の関係を用いて計算する。
$$ (\beta - \alpha)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta $$
$$ = \left(-\frac{18k}{13}\right)^2 - 4 \cdot \frac{9k^2 - 36}{13} $$
$$ = \frac{324k^2}{169} - \frac{52(9k^2 - 36)}{169} $$
$$ = \frac{324k^2 - 468k^2 + 1872}{169} $$
$$ = \frac{-144k^2 + 1872}{169} = \frac{144(13 - k^2)}{169} $$
$\beta - \alpha > 0$ であるから、
$$ \beta - \alpha = \frac{12\sqrt{13 - k^2}}{13} $$
これを面積の式に代入する。
$$ S = \frac{1}{2} |k| \cdot \frac{12\sqrt{13 - k^2}}{13} = \frac{6}{13} \sqrt{k^2(13 - k^2)} $$
根号の中身について、$k^2 = t$ とおくと、(1)の条件および $k \neq 0$ より $0 < t < 13$ である。
$$ t(13 - t) = -t^2 + 13t = -\left(t - \frac{13}{2}\right)^2 + \frac{169}{4} $$
これは $t = \frac{13}{2}$ のとき最大値 $\frac{169}{4}$ をとる。$t$ の範囲も満たしている。 このとき、面積 $S$ も最大となり、その最大値は以下の通り。
$$ S = \frac{6}{13} \sqrt{\frac{169}{4}} = \frac{6}{13} \cdot \frac{13}{2} = 3 $$
最大となるときの $k$ の値は、$k^2 = \frac{13}{2}$ より、
$$ k = \pm\sqrt{\frac{13}{2}} = \pm\frac{\sqrt{26}}{2} $$
解法2
(1) までは解法1と同じ。
(2)
三角形 $OPQ$ の面積を、底辺 $PQ$ の長さと、原点 $O$ から直線 $l$ に下ろした垂線の長さ(高さ)を用いて求める。
直線 $l$ の方程式は $x - y + k = 0$ と表せる。原点 $O(0,0)$ から直線 $l$ までの距離 $d$ は、点と直線の距離の公式より、
$$ d = \frac{|0 - 0 + k|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{|k|}{\sqrt{2}} $$
2点 $P, Q$ の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とすると、直線 $l$ の傾きが $1$ であることから、線分 $PQ$ の長さは次のように表せる。
$$ PQ = \sqrt{2}(\beta - \alpha) $$
解法1と同様に解と係数の関係を用いると、$\beta - \alpha = \frac{12\sqrt{13 - k^2}}{13}$ と計算できるため、
$$ PQ = \sqrt{2} \cdot \frac{12\sqrt{13 - k^2}}{13} = \frac{12\sqrt{2(13 - k^2)}}{13} $$
三角形 $OPQ$ の面積 $S$ は、
$$ S = \frac{1}{2} \cdot PQ \cdot d = \frac{1}{2} \cdot \frac{12\sqrt{2(13 - k^2)}}{13} \cdot \frac{|k|}{\sqrt{2}} = \frac{6}{13} \sqrt{k^2(13 - k^2)} $$
これ以降の最大値を求める手順は、解法1と同じである。
解説
2次曲線と直線が交わってできる弦に関する問題の典型的なパターンである。 交点の座標を直接求めようとすると、解の公式を用いることになり根号を含んだ複雑な式を扱うため計算ミスを誘発しやすい。このような場合は、交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ とおき、解と係数の関係を利用して対称式の計算に帰着させるのが定石である。
三角形の面積の求め方としては、座標平面上の3点の座標から直接求める公式(解法1)と、点と直線の距離の公式を利用して底辺と高さを求める方法(解法2)がある。本問ではどちらも計算量は大きく変わらない。
また、面積の式を求めた後、$\sqrt{k^2(13-k^2)}$ の最大値を求める際には、$k^2=t$ と置き換えることで2次関数の最大・最小問題に帰着できる。このとき、置き換えた文字 $t$ の定義域(今回は $0 < t < 13$)を確認することを忘れないようにしたい。また、$k^2(13-k^2)$ は積の形をしているので、$k^2 + (13-k^2) = 13$(一定)であることに着目し、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて最大値を導くことも可能である。
答え
(1) $-\sqrt{13} < k < \sqrt{13}$
(2) $k = \pm\frac{\sqrt{26}}{2}$ のとき、最大値 $3$
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