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数学1 背理法 問題 2 解説

数学1 背理法 問題 2 解説

方針・初手

背理法を用いる。$\tan 1^\circ$ が有理数であると仮定し、正接の加法定理を繰り返し用いることで、既知の角度の正接(例えば $\tan 30^\circ$ など)が有理数となってしまうことを示し、矛盾を導く。

解法1

$\tan 1^\circ$ が有理数であると仮定する。

正接の加法定理より、 $$ \tan(n+1)^\circ = \frac{\tan n^\circ + \tan 1^\circ}{1 - \tan n^\circ \tan 1^\circ} $$ が成り立つ。

ここで、$1 \leqq n \leqq 29$ の自然数 $n$ について考える。このとき、$0 < 1 \leqq n \leqq 29$ であるから、 $$ 0 < \tan 1^\circ \leqq \tan n^\circ \leqq \tan 29^\circ < \tan 30^\circ = \frac{1}{\sqrt{3}} $$ が成り立つ。これより、 $$ 0 < \tan n^\circ \tan 1^\circ < \frac{1}{\sqrt{3}} \cdot \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{1}{3} < 1 $$ となるため、分母について $1 - \tan n^\circ \tan 1^\circ \neq 0$ が保証される。

したがって、$1 \leqq n \leqq 29$ において、$\tan n^\circ$ が有理数であれば、有理数同士の四則演算の結果も有理数となるため、$\tan(n+1)^\circ$ も有理数となる。

仮定より $\tan 1^\circ$ は有理数であるから、数学的帰納法により、$n=1, 2, \cdots, 30$ のすべてにおいて $\tan n^\circ$ は有理数となる。

これより特に $\tan 30^\circ$ も有理数となるが、$\tan 30^\circ = \frac{1}{\sqrt{3}}$ であり、これは無理数である。 有理数であることと無理数であることは両立しないため、矛盾が生じる。

したがって、最初の仮定は誤りであり、$\tan 1^\circ$ は有理数ではない。

解説

背理法と数学的帰納法(あるいは漸化式の考え方)を組み合わせる有名な論証問題である。$\tan 1^\circ$ という具体的な値そのものを求める必要はなく、加法定理の構造に着目し、「$1^\circ$ の正接が有理数ならば $2^\circ, 3^\circ, \cdots$ の正接も次々と有理数になる」というドミノ倒しのような性質を利用する。

矛盾を導くための既知の角度としては、$\tan 30^\circ$ が最も手っ取り早い。他にも $\tan 60^\circ = \sqrt{3}$ をゴールに設定してもよい。その場合も、$1 \leqq n \leqq 59$ において加法定理の分母が $0$ になる瞬間($\tan 45^\circ \tan 1^\circ = 1 \cdot \tan 1^\circ \neq 1$ 等)を適切に回避できているか論及する必要がある。論証の正確性を期すため、漸化式を用いる際は分母が $0$ にならないことの確認を忘れないようにしたい。

答え

有理数ではない。

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