数学1 背理法 問題 7 解説

方針・初手
媒介変数表示された曲線を $x$ の多項式として表す問題である。これはチェビシェフ多項式と呼ばれる有名な多項式であり、三角関数の倍角公式や和積の公式を用いて漸化式を導出することが基本方針となる。(3) では、得られた多項式の性質と、$\cos \frac{\pi}{4n}$ が有理数であると仮定する背理法を用いる。有理数を係数が整数の多項式に代入すればその値も有理数になることを利用する。
解法1
(1)
$x = \cos t$ であるから、三角関数の倍角の公式および3倍角の公式より、以下のように計算できる。
$$ f_1(x) = \cos t = x $$
$$ f_2(x) = \cos 2t = 2\cos^2 t - 1 = 2x^2 - 1 $$
$$ f_3(x) = \cos 3t = 4\cos^3 t - 3\cos t = 4x^3 - 3x $$
(2)
和と積の公式、あるいは加法定理より、
$$ \begin{aligned} \cos(n+1)t + \cos(n-1)t &= (\cos nt \cos t - \sin nt \sin t) + (\cos nt \cos t + \sin nt \sin t) \\ &= 2 \cos nt \cos t \end{aligned} $$
が成り立つ。
ここで、$x = \cos t$, $f_{n+1}(x) = \cos(n+1)t$, $f_n(x) = \cos nt$, $f_{n-1}(x) = \cos(n-1)t$ を代入すると、
$$ f_{n+1}(x) + f_{n-1}(x) = 2 f_n(x) x $$
$$ f_{n+1}(x) = 2x f_n(x) - f_{n-1}(x) $$
となり、示された。
(3)
$\cos \frac{\pi}{4n}$ が有理数であると仮定し、矛盾を導く(背理法)。
$x = \cos \frac{\pi}{4n}$ とおくと、仮定より $x$ は有理数である。
(1) および (2) で示された漸化式 $f_{n+1}(x) = 2xf_n(x) - f_{n-1}(x)$ から、帰納的にすべての自然数 $k$ について、$f_k(x)$ は整数係数の多項式となることがわかる。
したがって、有理数 $x$ を整数係数多項式 $f_n(x)$ に代入した値である $f_n(x)$ も有理数となる。
一方、$t = \frac{\pi}{4n}$ とすると、$y = f_n(x)$ の定義から、
$$ y = \cos \left( n \cdot \frac{\pi}{4n} \right) = \cos \frac{\pi}{4} = \frac{\sqrt{2}}{2} $$
すなわち、
$$ f_n\left(\cos \frac{\pi}{4n}\right) = \frac{\sqrt{2}}{2} $$
となる。
問題の条件より $\sqrt{2}$ は無理数であるため、$\frac{\sqrt{2}}{2}$ も無理数である。
すると、$f_n(x)$ が有理数であることと矛盾する。
よって、仮定は誤りであり、$\cos \frac{\pi}{4n}$ は無理数である。
解説
チェビシェフ多項式の基本的な性質を誘導に乗って証明し、それを用いて無理数の判定を行う頻出の良問である。
(2) の証明には解答のように加法定理を展開して辺々を加える方法が確実で早い。
(3) では、直接 $\cos \frac{\pi}{4n}$ を求めることは困難であるため、背理法を用いる発想が自然である。「多項式に有理数を代入すれば有理数になる」という、当たり前だが重要な性質を明記して論証を組み立てることがポイントとなる。
答え
- (1) $f_1(x) = x$
$f_2(x) = 2x^2 - 1$
$f_3(x) = 4x^3 - 3x$
(2) 証明略(解法1参照)
(3) 証明略(解法1参照)
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