数学2 因数定理・剰余の定理 問題 22 解説

方針・初手
多項式の割り算に関する典型的な問題である。剰余の定理、二項定理、そして割り算の等式 $A = BQ + R$ を正しく立式することが基本となる。 (1) は剰余の定理をそのまま用いる。(2) は二項定理を用いて展開し、$x^2$ で割り切れる部分とそうでない部分を分ける。(3) は (2) の結果を利用して式変形を行う。(4) は (1) と (3) の結果を組み合わせることで、未知の係数を効率よく決定していく。
解法1
(1) 剰余の定理より、多項式 $P(x)$ を $x-1$ で割ったときの余りは $P(1)$ に等しい。
$$P(1) = (1+1)(1+2)^n = 2 \cdot 3^n$$
(2) 二項定理を用いて $(x+2)^n$ を展開する。
$$(x+2)^n = {}_n\mathrm{C}_0 2^n + {}_n\mathrm{C}_1 x \cdot 2^{n-1} + {}_n\mathrm{C}_2 x^2 \cdot 2^{n-2} + \cdots + {}_n\mathrm{C}_n x^n$$
この式において、第3項以降の項はすべて $x^2$ を因数として持つため、$x^2$ で割り切れる。したがって、$x^2$ で割ったときの余りは、1次以下の項である。
$${}_n\mathrm{C}_0 2^n + {}_n\mathrm{C}_1 x \cdot 2^{n-1} = 2^n + n \cdot 2^{n-1} x$$
(3) (2) の結果から、ある多項式 $Q(x)$ を用いて $(x+2)^n$ を次のように表すことができる。
$$(x+2)^n = x^2 Q(x) + n \cdot 2^{n-1} x + 2^n$$
これを $P(x)$ の定義式に代入し、展開して整理する。
$$\begin{aligned} P(x) &= (x+1) \{ x^2 Q(x) + n \cdot 2^{n-1} x + 2^n \} \\ &= x^2 (x+1) Q(x) + (x+1) (n \cdot 2^{n-1} x + 2^n) \\ &= x^2 (x+1) Q(x) + n \cdot 2^{n-1} x^2 + (n \cdot 2^{n-1} + 2^n) x + 2^n \\ &= x^2 \{ (x+1) Q(x) + n \cdot 2^{n-1} \} + 2^{n-1}(n+2) x + 2^n \end{aligned}$$
式全体を $x^2$ で割った商が $(x+1) Q(x) + n \cdot 2^{n-1}$ であり、残りの1次以下の部分が余りとなる。 したがって、$x^2$ で割ったときの余りは $2^{n-1}(n+2) x + 2^n$ である。
(4) $P(x)$ を $x^2(x-1)$ で割ったときの商を $S(x)$ とすると、割る式が3次式であるため、余りは2次以下の多項式となる。これを $ax^2+bx+c$ ($a, b, c$ は定数)とおく。
$$P(x) = x^2(x-1) S(x) + ax^2 + bx + c$$
この等式の右辺を $x^2$ について整理する。
$$P(x) = x^2 \{ (x-1) S(x) + a \} + bx + c$$
この形から、$P(x)$ を $x^2$ で割ったときの余りが $bx+c$ であることがわかる。(3) の結果より、この余りは $2^{n-1}(n+2) x + 2^n$ と一致しなければならないので、係数を比較する。
$$b = 2^{n-1}(n+2)$$
$$c = 2^n$$
次に、元の恒等式に $x=1$ を代入する。
$$P(1) = a + b + c$$
(1) の結果から $P(1) = 2 \cdot 3^n$ であるため、次が成り立つ。
$$a + b + c = 2 \cdot 3^n$$
求めた $b, c$ の値を代入して $a$ を求める。
$$\begin{aligned} a &= 2 \cdot 3^n - b - c \\ &= 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+2) - 2^n \\ &= 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+2) - 2 \cdot 2^{n-1} \\ &= 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+4) \end{aligned}$$
以上より、求める余りは $\{ 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+4) \} x^2 + 2^{n-1}(n+2) x + 2^n$ である。
解法2
(4) について、微分を用いる解法
$P(x)$ を $x^2(x-1)$ で割ったときの商を $S(x)$、余りを $ax^2+bx+c$ とおく。
$$P(x) = x^2(x-1)S(x) + ax^2 + bx + c$$
この両辺に $x=1$、$x=0$ をそれぞれ代入する。
$$P(1) = a + b + c$$
$$P(0) = c$$
元の定義式 $P(x) = (x+1)(x+2)^n$ より、$P(1) = 2 \cdot 3^n$、$P(0) = 2^n$ であるから、
$$a + b + c = 2 \cdot 3^n$$
$$c = 2^n$$
また、積の微分公式を用いて $P(x)$ を微分する。
$$\begin{aligned} P'(x) &= 1 \cdot (x+2)^n + (x+1) \cdot n(x+2)^{n-1} \\ &= (x+2)^{n-1} \{ (x+2) + n(x+1) \} \end{aligned}$$
これに $x=0$ を代入すると、
$$P'(0) = 2^{n-1} (2 + n) = 2^{n-1}(n+2)$$
一方で、設定した恒等式の両辺を微分する。
$$P'(x) = (3x^2-2x)S(x) + x^2(x-1)S'(x) + 2ax + b$$
これに $x=0$ を代入すると、
$$P'(0) = b$$
したがって、$b$ の値が定まる。
$$b = 2^{n-1}(n+2)$$
得られた $b, c$ を $a+b+c=2 \cdot 3^n$ に代入して $a$ を求める。
$$a = 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+2) - 2^n = 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+4)$$
よって、求める余りは $\{ 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+4) \} x^2 + 2^{n-1}(n+2) x + 2^n$ である。
解説
多項式の割り算における非常に教育的な良問である。 (4) において、3次式で割った余り $ax^2+bx+c$ を設定した後、闇雲に数値を代入しようとすると、代入できる数値が $x=0, 1$ の2種類しかなく条件が不足してしまう。(1)から(3)までの誘導がこの困難を回避するための手引きとなっている。 解法1のように、割り算の等式を「別の視点で括り直す」という式変形は、難関大の多項式の問題で頻出の技巧である。また、解法2のように完全平方式(ここでは $x^2$)で割る問題においては、微分を用いることで重解に相当する条件を導き出すアプローチも極めて有効である。
答え
(1) $2 \cdot 3^n$
(2) $n \cdot 2^{n-1} x + 2^n$
(3) $2^{n-1}(n+2) x + 2^n$
(4) $\{ 2 \cdot 3^n - 2^{n-1}(n+4) \} x^2 + 2^{n-1}(n+2) x + 2^n$
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