名古屋大学 2007年 文系 第3問 解説

方針・初手
与えられた方程式は $x^4$ と $x^2$ の項のみで構成される複2次式です。この方程式が相異なる4個の実数解をもつということは、関数 $y = x^4 + (8 - 2p)x^2 + p$ のグラフが $y$ 軸対称であることを考慮すると、4つの解は原点に対して対称に配置されることが分かります。 この対称性を利用して4つの解を直接文字でおく方針と、$x^2 = X$ とおいて2次方程式の解と係数の関係を利用する方針の2つが考えられます。
解法1
方程式 $x^4 + (8-2p)x^2 + p = 0$ は $x^3$ と $x$ の項を持たないため、$x$ が解ならば $-x$ も解となる。 したがって、相異なる4個の実数解は原点に対して対称に配置される。 これらが等差数列をなすとき、その公差を $2d \ (d > 0)$ とすると、4つの解は
$$-3d, -d, d, 3d$$
とおくことができる。 これらを解にもつ $x^4$ の係数が $1$ の4次方程式は
$$(x + 3d)(x + d)(x - d)(x - 3d) = 0$$
と表される。左辺を展開すると
$$(x^2 - 9d^2)(x^2 - d^2) = 0$$
$$x^4 - 10d^2 x^2 + 9d^4 = 0$$
これが元の式 $x^4 + (8-2p)x^2 + p = 0$ と恒等的に等しくなるので、係数を比較して
$$\begin{cases} -10d^2 = 8 - 2p \\ 9d^4 = p \end{cases}$$
第1式を変形して
$$p = 5d^2 + 4$$
これを第2式に代入すると
$$9d^4 = 5d^2 + 4$$
$$9d^4 - 5d^2 - 4 = 0$$
$$(9d^2 + 4)(d^2 - 1) = 0$$
$d$ は実数であるから $d^2 \geqq 0$ であり、$d^2 = 1$ となる。 このとき
$$p = 5 \cdot 1 + 4 = 9$$
逆に $p = 9$ のとき、元の方程式は $x^4 - 10x^2 + 9 = 0$ となり、$(x^2-1)(x^2-9)=0$ から解は $x = \pm 1, \pm 3$ となる。 これらを小さい順に並べると $-3, -1, 1, 3$ となって公差 $2$ の等差数列をなし、「相異なる4個の実数解をもつ」という条件を満たす。 よって求める $p$ の値は $p = 9$ である。
解法2
$x^2 = X$ とおく。 元の4次方程式は
$$X^2 + (8 - 2p)X + p = 0 \cdots \text{①}$$
となる。元の4次方程式が相異なる4個の実数解をもつための条件は、2次方程式①が相異なる2つの正の実数解をもつことである。 その2つの解を $\alpha, \beta \ (0 < \alpha < \beta)$ とすると、元の4次方程式の解は
$$x = \pm\sqrt{\alpha}, \pm\sqrt{\beta}$$
となる。これらを小さい順に並べると
$$-\sqrt{\beta}, -\sqrt{\alpha}, \sqrt{\alpha}, \sqrt{\beta}$$
となる。これらが等差数列をなすとき、隣り合う項の差が常に等しいから
$$-\sqrt{\alpha} - (-\sqrt{\beta}) = \sqrt{\alpha} - (-\sqrt{\alpha}) = \sqrt{\beta} - \sqrt{\alpha}$$
中央の辺から、公差は $2\sqrt{\alpha}$ である。 したがって
$$\sqrt{\beta} - \sqrt{\alpha} = 2\sqrt{\alpha}$$
$$\sqrt{\beta} = 3\sqrt{\alpha}$$
両辺は正であるから、2乗して
$$\beta = 9\alpha$$
方程式①において、解と係数の関係より
$$\begin{cases} \alpha + \beta = -(8 - 2p) \\ \alpha\beta = p \end{cases}$$
これに $\beta = 9\alpha$ を代入すると
$$\begin{cases} 10\alpha = 2p - 8 \\ 9\alpha^2 = p \end{cases}$$
第1式より $p = 5\alpha + 4$。これを第2式に代入して
$$9\alpha^2 = 5\alpha + 4$$
$$9\alpha^2 - 5\alpha - 4 = 0$$
$$(9\alpha + 4)(\alpha - 1) = 0$$
$\alpha > 0$ であるから、$\alpha = 1$ である。 このとき
$$p = 5 \cdot 1 + 4 = 9$$
逆に $p = 9$ のとき、方程式①は $X^2 - 10X + 9 = 0$ となり、$(X-1)(X-9)=0$ より $X = 1, 9$ を解にもつ。 これは相異なる2つの正の実数解をもつという条件を満たす。 よって求める $p$ の値は $p = 9$ である。
解説
複2次方程式の解の配置に関する典型問題です。 4次方程式の解の条件を問われた場合、$x^2=X$ とおいて $X$ の2次方程式に帰着させて考えるのが定石(解法2)です。 一方で、本問のように「解が等差数列をなす」という強い条件が与えられている場合は、方程式が偶関数である対称性を活かして、解を等差数列の形で直接おいて係数比較に持ち込む(解法1)と、計算が非常にスムーズに進みます。 いずれの解法においても、必要条件として求めた $p$ の値が、大前提である「相異なる4個の実数解をもつ」という条件を満たすかどうかの確認(十分性の確認)を忘れないように記述しましょう。
答え
$p = 9$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











