数学2 因数定理・剰余の定理 問題 29 解説

方針・初手
(1)は因数定理と背理法を用いて示す。$f(x)$が相反方程式であることに着目する。(2)は(1)の結果から方程式の解がすべて正の実数であることを利用し、解と係数の関係と相加平均・相乗平均の大小関係を組み合わせる。(3)は相反方程式の定石である $X = x + \frac{1}{x}$ の置換を行い、$X$についての2次方程式が満たすべき条件に帰着させる。
解法1
(1)
$f(x)$が$x-c$で割り切れるとき、因数定理より $f(c) = 0$ が成り立つ。
$$c^4 - ac^3 + bc^2 - ac + 1 = 0$$
$c=0$とすると $1=0$ となり矛盾するため、$c \neq 0$ である。 ここで、$c < 0$ と仮定する。$a, b$は正の実数であるから、$a > 0, b > 0$ である。このとき、
$$c^4 > 0, \quad -ac^3 > 0, \quad bc^2 > 0, \quad -ac > 0, \quad 1 > 0$$
となるため、$c^4 - ac^3 + bc^2 - ac + 1 > 0$ となり、$f(c) = 0$ に矛盾する。 したがって、$c > 0$ であることが示された。
次に、$f\left(\frac{1}{c}\right)$ を計算する。
$$\begin{aligned} f\left(\frac{1}{c}\right) &= \left(\frac{1}{c}\right)^4 - a\left(\frac{1}{c}\right)^3 + b\left(\frac{1}{c}\right)^2 - a\left(\frac{1}{c}\right) + 1 \\ &= \frac{1 - ac + bc^2 - ac^3 + c^4}{c^4} \\ &= \frac{f(c)}{c^4} \\ &= 0 \end{aligned}$$
よって因数定理より、$f(x)$は $x-\frac{1}{c}$ で割り切れる。 また、$c \neq \frac{1}{c}$ すなわち $c \neq 1$ のときは、$x-c$ と $x-\frac{1}{c}$ は互いに素であるため、$f(x)$は $(x-c)\left(x-\frac{1}{c}\right)$ で割り切れる。 $c = 1$ のときは、$f(1) = 0$ より $1 - a + b - a + 1 = 0$ すなわち $b = 2a - 2$ となる。 このとき$f(x)$を代入して因数分解する。
$$\begin{aligned} f(x) &= x^4 - ax^3 + (2a-2)x^2 - ax + 1 \\ &= x^4 - 2x^2 + 1 - ax(x^2 - 2x + 1) \\ &= (x^2-1)^2 - ax(x-1)^2 \\ &= (x-1)^2(x^2 + 2x + 1 - ax) \\ &= (x-1)^2\{x^2 - (a-2)x + 1\} \end{aligned}$$
これより、$f(x)$は $(x-1)^2$ すなわち $(x-c)\left(x-\frac{1}{c}\right)$ で割り切れる。 以上より、$f(x)$は $(x-c)\left(x-\frac{1}{c}\right)$ で割り切れることが示された。
(2)
$f(x)$が実数 $s, t, u, v$ を用いて $f(x) = (x-s)(x-t)(x-u)(x-v)$ と因数分解できるとき、方程式 $f(x) = 0$ は4つの実数解 $s, t, u, v$(重解を含む)を持つ。 (1)より、これらの解はすべて正の実数である。したがって、$s>0, t>0, u>0, v>0$ である。 方程式の解と係数の関係より、以下の2式が成り立つ。
$$\begin{aligned} s + t + u + v &= a \\ stuv &= 1 \end{aligned}$$
4つの正の実数 $s, t, u, v$ に対して、相加平均と相乗平均の大小関係を適用する。
$$\frac{s+t+u+v}{4} \geqq \sqrt[4]{stuv}$$
これに上の2式を代入する。
$$\frac{a}{4} \geqq \sqrt[4]{1} = 1$$
これを整理して、$a \geqq 4$ が成り立つことが示された。
(3)
$a=5$ のとき、$f(x) = x^4 - 5x^3 + bx^2 - 5x + 1$ となる。 $f(x)=0$ において $x=0$ は解ではないため、両辺を $x^2$ で割る。
$$x^2 - 5x + b - \frac{5}{x} + \frac{1}{x^2} = 0$$
$$\left(x^2 + \frac{1}{x^2}\right) - 5\left(x + \frac{1}{x}\right) + b = 0$$
ここで、$X = x + \frac{1}{x}$ とおく。(1)と同様に $x>0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$X = x + \frac{1}{x} \geqq 2\sqrt{x \cdot \frac{1}{x}} = 2$$
となる(等号は $x=1$ のとき成立)。 また、$x^2 + \frac{1}{x^2} = X^2 - 2$ であるから、方程式は次のように書き換えられる。
$$(X^2 - 2) - 5X + b = 0$$
$$X^2 - 5X + b - 2 = 0$$
$X \geqq 2$ の範囲にある1つの $X$ に対して、$x^2 - Xx + 1 = 0$ の判別式は $D = X^2 - 4 \geqq 0$ となるため、正の実数 $x$ は2つ($X=2$ のときは1つの重解)存在する。 したがって、$f(x)=0$ が4つの実数解(重解を含む)を持つための条件は、2次方程式 $g(X) = X^2 - 5X + b - 2 = 0$ が $X \geqq 2$ の範囲に2つの実数解(重解を含む)を持つことである。 $y = g(X)$ のグラフは下に凸の放物線であり、軸は直線 $X = \frac{5}{2}$ である。軸の位置は $X \geqq 2$ を満たしている。 条件を満たすためには、以下の2つが同時に成り立てばよい。
(i) 判別式 $D \geqq 0$
$$D = (-5)^2 - 4(b - 2) = 33 - 4b \geqq 0$$
これより、$b \leqq \frac{33}{4} = 8.25$ となる。
(ii) $g(2) \geqq 0$
$$g(2) = 2^2 - 5 \cdot 2 + b - 2 = b - 8 \geqq 0$$
これより、$b \geqq 8$ となる。
(i), (ii)より、求める範囲は $8 \leqq b \leqq \frac{33}{4}$ となる。 $b$ は自然数であるから、これを満たす $b$ は $8$ のみである。
解説
いわゆる相反方程式をテーマにした総合問題である。相反方程式が $x + \frac{1}{x} = X$ という置換で次数を下げられる性質を背景としている。 (1)では因数定理を用いるが、$c=1$(重解)となるケースでの論証を丁寧に行うことが重要である。(2)は解と係数の関係から相加平均と相乗平均の大小関係に持ち込む鮮やかな解法が要求される。(3)は(1)(2)の背景を踏まえ、定石通り $X$ に置換して解の配置問題(2次方程式の実数解の条件)に帰着させる。変域が $X \geqq 2$ となることに注意して処理したい。
答え
(1) 証明は解法1に示した通り。
(2) 証明は解法1に示した通り。
(3) $b = 8$
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