数学2 高次方程式 問題 16 解説

方針・初手
与えられた3次方程式が「すべて実数解をもつ」という条件を数式に翻訳することが第一歩である。 関数 $f(x) = x^3 - px + q$ とおき、微分を用いて極値の積の条件(あるいはグラフの形状)から $p, q$ が満たすべき不等式を導出する方法が自然である。
もう1つの視点として、3次方程式の3つの実数解を文字でおき、「解と係数の関係」を用いて示すべき方程式の解の形を直接突き止めるというエレガントな方法もある。ここでは両方の解法を示す。
解法1
$f(x) = x^3 - px + q$ とおく。 方程式 $f(x) = 0$ が虚数解をもたない、すなわち3つの実数解(重解を含む)をもつための条件を求める。 $f(x)$ を微分すると、
$$f'(x) = 3x^2 - p$$
(i) $p \le 0$ のとき つねに $f'(x) \ge 0$ となり、$f(x)$ は単調増加する。 3次関数が単調増加する場合、実数解が3つ(重解)となるのは、変曲点で $x$ 軸と交わるときに限られる。 すなわち、$p=0$ かつ $f(0) = q = 0$ の場合である。 ($p < 0$ のときは実数解がただ1つとなり、残り2つは虚数解となるため条件に反する。) $p=0, q=0$ のとき、示すべき方程式は $x^3 = 0$ となり、解は $x=0$(3重解)のみですべて実数となる。
(ii) $p > 0$ のとき $f'(x) = 0$ は $x = \pm \sqrt{\frac{p}{3}}$ の2つの実数解をもち、$f(x)$ は極大値と極小値をもつ。 $f(x) = 0$ が3つの実数解をもつための条件は、極大値と極小値の積が $0$ 以下になることである。 $x = \sqrt{\frac{p}{3}}$ を $\alpha$ とおく($\alpha > 0$)と、極値をとる $x$ は $\pm \alpha$ となる。
$$f(\alpha)f(-\alpha) \le 0$$
ここで、
$$f(\alpha) = \alpha(\alpha^2 - p) + q = \alpha\left(\frac{p}{3} - p\right) + q = -\frac{2}{3}p\alpha + q$$
$$f(-\alpha) = \frac{2}{3}p\alpha + q$$
これらを掛け合わせると、
$$f(\alpha)f(-\alpha) = q^2 - \frac{4}{9}p^2\alpha^2 = q^2 - \frac{4}{9}p^2 \cdot \frac{p}{3} = q^2 - \frac{4}{27}p^3 \le 0$$
よって、$q^2 \le \frac{4}{27}p^3$ が成り立つ。
次に、示すべき方程式の左辺を $g(x) = x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2$ とする。 方程式 $g(x) = 0$ の解がすべて実数であることを示す。 $g(x)$ を変形し、微分すると以下のようになる。
$$g(x) = x(x-p)^2 - q^2$$
$$g'(x) = 3x^2 - 4px + p^2 = (3x-p)(x-p)$$
$g'(x) = 0$ を解くと、$x = \frac{p}{3}, p$ である。 $p > 0$ より $g(x)$ は極値をもつので、これらの極値の積を調べる。
$$g\left(\frac{p}{3}\right) = \frac{p}{3}\left(\frac{p}{3}-p\right)^2 - q^2 = \frac{4}{27}p^3 - q^2$$
$$g(p) = p(p-p)^2 - q^2 = -q^2$$
極値の積は、
$$g\left(\frac{p}{3}\right)g(p) = -q^2\left(\frac{4}{27}p^3 - q^2\right)$$
仮定から導いた不等式により $\frac{4}{27}p^3 - q^2 \ge 0$ であり、また $q^2 \ge 0$ であるから、
$$g\left(\frac{p}{3}\right)g(p) \le 0$$
したがって、$g(x) = 0$ は極大値と極小値の異符号(または少なくとも一方が0)の条件を満たすため、虚数解をもたずすべての解が実数となる。
(i), (ii) より、題意は示された。
解法2
方程式 $x^3 - px + q = 0$ の3つの解を $\alpha, \beta, \gamma$ とする。 仮定より、これらはすべて実数である。 3次方程式の解と係数の関係より、以下の等式が成り立つ。 $$\begin{cases} \alpha + \beta + \gamma = 0 \ \alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha = -p \ \alpha\beta\gamma = -q \end{cases}$$
示すべき方程式の左辺を変形すると、
$$x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = x(x-p)^2 - q^2$$
この式に $x = \alpha^2$ を代入し、値が $0$ になるかを確認する。 まず $x - p$ の部分を計算する。解と係数の関係より $p = -(\alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha)$ であるから、
$$\alpha^2 - p = \alpha^2 + \alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha = \alpha(\alpha+\beta) + \gamma(\alpha+\beta) = (\alpha+\beta)(\alpha+\gamma)$$
ここで、$\alpha + \beta + \gamma = 0$ より $\alpha+\beta = -\gamma$、$\alpha+\gamma = -\beta$ であるため、
$$\alpha^2 - p = (-\gamma)(-\beta) = \beta\gamma$$
これを代入すると、
$$\alpha^2(\alpha^2 - p)^2 - q^2 = \alpha^2(\beta\gamma)^2 - (\alpha\beta\gamma)^2 = (\alpha\beta\gamma)^2 - (\alpha\beta\gamma)^2 = 0$$
よって、$x = \alpha^2$ は方程式 $x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = 0$ の解である。
式の対称性から、$x = \beta^2$ および $x = \gamma^2$ も同様にこの方程式の解となる。 方程式 $x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = 0$ は3次方程式であるため、その解は $\alpha^2, \beta^2, \gamma^2$ の3つに限られる。 仮定より $\alpha, \beta, \gamma$ はすべて実数であるから、その2乗である $\alpha^2, \beta^2, \gamma^2$ もすべて実数である。 ゆえに、$x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = 0$ の解もすべて実数であることが示された。
解説
解法1は、3次方程式が実数解を3つもつための条件「極大値と極小値の積が $0$ 以下」を利用するオーソドックスな手法である。文字 $p$ の符号による場合分けを忘れないように注意したい。 解法2は、解と係数の関係を巧みに利用した解法である。与えられた方程式の解を文字でおき、目標となる方程式の形を観察することで「元の解の2乗が新しい方程式の解になっているのではないか」と見抜くことができれば、計算量を大幅に減らすことができる。
答え
方程式 $x^3 - px + q = 0$ がすべて実数解をもつ条件から極値の条件(あるいは解と係数の関係)を導き、それを用いて方程式 $x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = 0$ がすべて実数解をもつことが示された。
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