数学2 高次方程式 問題 22 解説

方針・初手
与えられた解 $x=3-i$ を方程式に直接代入し、実部と虚部に分けて係数比較を行うのが最も素直な方法である。
また、実数係数の方程式において虚数解 $p+qi$ が存在するならば、その共役複素数 $p-qi$ も解になるという性質を利用すると、計算量を大きく減らすことができる。この性質からもう1つの解が $x=3+i$ であることが直ちに分かり、解と係数の関係や因数定理を用いて $a, b$ および残りの解を求める方針が立つ。
解法1
$x=3-i$ は方程式 $x^3+ax^2+bx+20=0$ の解であるから、代入して成り立つ。
$$(3-i)^3+a(3-i)^2+b(3-i)+20=0$$
ここで、各項を計算する。
$$\begin{aligned} (3-i)^2 &= 9-6i+i^2 = 8-6i \\ (3-i)^3 &= (8-6i)(3-i) = 24-8i-18i+6i^2 = 18-26i \end{aligned}$$
これらを代入して整理する。
$$(18-26i)+a(8-6i)+b(3-i)+20=0$$
$$(8a+3b+38)+(-6a-b-26)i=0$$
$a, b$ は実数であるから、$8a+3b+38$ と $-6a-b-26$ も実数である。複素数の相等条件より、以下の連立方程式を得る。
$$\begin{cases} 8a+3b+38=0 \\ -6a-b-26=0 \end{cases}$$
第2式より $b=-6a-26$ となり、これを第1式に代入する。
$$8a+3(-6a-26)+38=0$$
$$-10a-40=0$$
これを解いて $a=-4$ を得る。このとき、$b=-6(-4)-26=-2$ となる。
したがって、与えられた方程式は以下のようになる。
$$x^3-4x^2-2x+20=0$$
$x=3-i$ を解にもつことから、実数係数方程式の性質により $x=3+i$ も解にもつ。よって、この方程式の左辺は $(x-(3-i))(x-(3+i))=x^2-6x+10$ を因数にもつ。左辺を $x^2-6x+10$ で割ると以下のようになる。
$$x^3-4x^2-2x+20 = (x^2-6x+10)(x+2)$$
よって、方程式は $(x^2-6x+10)(x+2)=0$ と因数分解できるので、残りの解は $x=3+i, -2$ である。
解法2
実数係数の3次方程式が虚数解 $x=3-i$ をもつので、その共役複素数 $x=3+i$ も解である。 3次方程式の残りの解は実数であるから、これを $\alpha$ とおく。
3次方程式の解と係数の関係より、以下の3式が成り立つ。
$$\begin{cases} (3-i)+(3+i)+\alpha = -a \\ (3-i)(3+i)+(3+i)\alpha+\alpha(3-i) = b \\ (3-i)(3+i)\alpha = -20 \end{cases}$$
各大辺を整理する。第3式より、
$$(3^2+1^2)\alpha = -20$$
$$10\alpha = -20$$
よって、$\alpha = -2$ となる。これを第1式に代入する。
$$6+(-2) = -a$$
よって、$a=-4$ となる。また、$\alpha=-2$ を第2式に代入する。
$$10+6\alpha = b$$
$$10+6(-2) = b$$
よって、$b=-2$ となる。 以上より、$a=-4, b=-2$ であり、残りの解は $3+i$ と $-2$ である。
解法3
実数係数方程式が $x=3-i$ を解にもつため、共役複素数 $x=3+i$ も解にもつ。 したがって、方程式の左辺の多項式 $P(x)=x^3+ax^2+bx+20$ は、次の方程式の左辺である2次式で割り切れる。
$$(x-(3-i))(x-(3+i)) = x^2-6x+10$$
$P(x)$ を $x^2-6x+10$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $R(x)$ とすると、$P(x)$ は3次式で $x^3$ の係数が $1$ であるから、定数 $c$ を用いて $Q(x)=x+c$ と表せる。
定数項に注目すると、$P(x)$ の定数項は $20$ であり、$x^2-6x+10$ の定数項は $10$ であるから、$10c=20$ より $c=2$ となる。 したがって、商は $Q(x)=x+2$ であり、余り $R(x)=0$ となることから、以下の恒等式が成り立つ。
$$x^3+ax^2+bx+20 = (x^2-6x+10)(x+2)$$
右辺を展開する。
$$\begin{aligned} (x^2-6x+10)(x+2) &= x^3+2x^2-6x^2-12x+10x+20 \\ &= x^3-4x^2-2x+20 \end{aligned}$$
両辺の係数を比較して、$a=-4, b=-2$ を得る。 また、方程式は $(x^2-6x+10)(x+2)=0$ となるため、残りの解は $x=3+i, -2$ である。
解説
「実数係数の方程式が虚数解 $p+qi$ をもつならば、その共役複素数 $p-qi$ も必ず解となる」という重要な性質を利用できるかどうかがポイントである。この性質に気づけば、解法2や解法3のように計算の手間を大幅に削減できる。
解法1のようにそのまま代入して複素数の相等($A+Bi=0 \Leftrightarrow A=0, B=0$)に持ち込む方法は、どのような問題でも通用する汎用性の高い解法であるが、3乗の計算などで計算ミスが起こりやすい点に注意が必要である。
答え
$a = -4, b = -2$
残りの解:$3+i, -2$
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