数学2 高次方程式 問題 35 解説

方針・初手
(1) は、与えられた方程式の解が $x=\alpha$ であることから、方程式に代入して因数分解を行う。$p$ が素数であるという条件と、$\alpha$ が正の整数であるという条件から、約数の候補を絞り込む。
(2) は、実数係数の方程式が虚数解を持つ場合、その共役複素数も解になる性質を利用する。(1) で求めた解 $x=1$ と合わせて3つの解が確定するため、解と係数の関係を用いて立式し、$n$ と $p$ を求める。
解法1
(1) 方程式 $x^3 + nx^2 + n^2 x = p$ が $x = \alpha$ を解に持つから、代入して整理すると以下のようになる。
$$\alpha^3 + n\alpha^2 + n^2\alpha = p$$
$$\alpha(\alpha^2 + n\alpha + n^2) = p$$
$\alpha$ は正の整数、$n$ は整数であるから、$\alpha$ と $\alpha^2 + n\alpha + n^2$ はともに整数である。 ここで、$\alpha^2 + n\alpha + n^2$ を平方完成すると以下のようになる。
$$\alpha^2 + n\alpha + n^2 = \left(\alpha + \frac{n}{2}\right)^2 + \frac{3}{4}n^2$$
$\alpha > 0$ より $\alpha$ と $n$ が同時に $0$ になることはないため、$\alpha^2 + n\alpha + n^2 > 0$ である。 さらに、$p$ は素数であるから、正の整数の積として表す方法は $1 \times p$ または $p \times 1$ のみである。 したがって、以下の2つの場合が考えられる。
(i) $\alpha = 1$ かつ $\alpha^2 + n\alpha + n^2 = p$
(ii) $\alpha = p$ かつ $\alpha^2 + n\alpha + n^2 = 1$
(ii) の場合について考える。$\alpha = p \ge 2$ であり、$n$ は整数であるから、
$$\alpha^2 + n\alpha + n^2 = \left(\alpha + \frac{n}{2}\right)^2 + \frac{3}{4}n^2 \ge \left(2 + \frac{n}{2}\right)^2 + \frac{3}{4}n^2 = n^2 + 2n + 4 = (n+1)^2 + 3 \ge 3$$
となる。よって、$\alpha^2 + n\alpha + n^2 = 1$ を満たす整数 $n$ は存在せず、(ii) は不適である。
以上より、(i) のみが成り立ち、$\alpha = 1$ であることが示された。
(2) 方程式 $x^3 + nx^2 + n^2 x - p = 0$ の係数 $1, n, n^2, -p$ はすべて実数である。 実数係数方程式が虚数解 $x = k + \sqrt{2}i$ を持つとき、その共役複素数 $x = k - \sqrt{2}i$ も解となる。 また、(1) より $x = 1$ もこの方程式の解である。 したがって、3次方程式の3つの解は $1, k+\sqrt{2}i, k-\sqrt{2}i$ である。 解と係数の関係より、以下の3式が成り立つ。
$$\begin{cases} 1 + (k + \sqrt{2}i) + (k - \sqrt{2}i) = -n \\ 1 \cdot (k + \sqrt{2}i) + 1 \cdot (k - \sqrt{2}i) + (k + \sqrt{2}i)(k - \sqrt{2}i) = n^2 \\ 1 \cdot (k + \sqrt{2}i)(k - \sqrt{2}i) = p \end{cases}$$
これらを整理すると、
$$\begin{cases} 2k + 1 = -n & \cdots ① \\ k^2 + 2k + 2 = n^2 & \cdots ② \\ k^2 + 2 = p & \cdots ③ \end{cases}$$
①より $n = -2k - 1$ となり、これを②に代入する。
$$k^2 + 2k + 2 = (-2k - 1)^2$$
$$k^2 + 2k + 2 = 4k^2 + 4k + 1$$
$$3k^2 + 2k - 1 = 0$$
$$(3k - 1)(k + 1) = 0$$
これを解くと $k = \frac{1}{3}, -1$ を得る。
$k = \frac{1}{3}$ のとき、①より $n = -2 \cdot \frac{1}{3} - 1 = -\frac{5}{3}$ となるが、これは $n$ が整数であるという条件に反するため不適である。
$k = -1$ のとき、①より $n = -2 \cdot (-1) - 1 = 1$ となり、$n$ が整数である条件を満たす。 このとき、③より $p = (-1)^2 + 2 = 3$ となる。 $p=3$ は2以上の素数であるから、条件を満たす。
よって、$p = 3$ である。
解法2
(1) の (ii) の不適を示す別のアプローチを示す。 $\alpha = p$ のとき、方程式は以下のようになる。
$$p^3 + np^2 + n^2p = p$$
両辺を $p$ ($p \ne 0$) で割ると、
$$p^2 + np + n^2 - 1 = 0$$
これを $n$ についての2次方程式とみなし、解の公式を用いると、
$$n = \frac{-p \pm \sqrt{p^2 - 4(p^2 - 1)}}{2} = \frac{-p \pm \sqrt{-3p^2 + 4}}{2}$$
$p$ は2以上の素数であるから、$p \ge 2$ である。 このとき根号の中身は $-3p^2 + 4 \le -3 \cdot 2^2 + 4 = -8 < 0$ となり、$n$ は実数にならない。 $n$ は整数であるという条件に反するため、$\alpha = p$ は不適である。
解説
(1) は「素数」という条件を強烈な手がかりとして用いる典型的な整数問題である。積の形を作り、$p$ が素数であることから因数のペアを絞り込む手法は頻出である。(ii) の場合が不適であることを示す際、平方完成して最小値を見積もるか、2次方程式とみて判別式を利用するかなど、複数のアプローチが考えられる。
(2) は「実数係数方程式の虚数解」に関する基本的な性質と「解と係数の関係」を組み合わせる問題である。解と係数の関係を用いることで、計算量を抑えつつ見通しよく連立方程式を導くことができる。得られた解が問題文の条件($n$ は整数、$p$ は素数)を満たすかどうかの確認を忘れないようにすることが重要である。
答え
(1) 略証(積の形から $\alpha$ が $p$ の約数であることを示し、$\alpha=p$ が不適であることを示す)
(2) $p = 3$
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