数学2 高次方程式 問題 54 解説

方針・初手
(1) については、有理数解を $\alpha = \frac{q}{p}$ ($p, q$ は互いに素な整数)と既約分数でおき、方程式に代入して分母を払うことで整数問題に帰着させる手法が定石である。
(2) については、(1) の結果から $\alpha$ が整数であることが分かるので、それを元の方程式に代入する。方程式の定数項が $1$ であることに着目し、式を $\alpha \times (\text{整数の式}) = -1$ の形に変形して $\alpha$ の候補を絞り込む。
解法1
(1)
有理数 $\alpha$ を、互いに素な整数 $p, q$ ($p \geqq 1$) を用いて、$\alpha = \frac{q}{p}$ とおく。
これを $x^3 + mx^2 + (m+8)x + 1 = 0$ に代入すると、
$$\left( \frac{q}{p} \right)^3 + m \left( \frac{q}{p} \right)^2 + (m+8) \frac{q}{p} + 1 = 0$$
両辺に $p^3$ を掛けて分母を払うと、
$$q^3 + mpq^2 + (m+8)p^2q + p^3 = 0$$
$q^3$ 以外の項を右辺に移項し、$p$ でくくると、
$$q^3 = -p \{ mq^2 + (m+8)pq + p^2 \}$$
ここで、$m, p, q$ はすべて整数であるから、$- \{ mq^2 + (m+8)pq + p^2 \}$ も整数である。 したがって、$q^3$ は $p$ の倍数である。
一方、$p$ と $q$ は互いに素であるから、$p$ と $q^3$ も互いに素である。 $p$ と $q^3$ が互いに素であり、かつ $q^3$ が $p$ の倍数であるためには、$p = 1$ でなければならない。
よって、$\alpha = \frac{q}{1} = q$ となり、$\alpha$ は整数である。
(2)
(1) の結果より、方程式がもつ有理数の解 $\alpha$ は整数である。 $x = \alpha$ を元の方程式に代入すると、
$$\alpha^3 + m\alpha^2 + (m+8)\alpha + 1 = 0$$
定数項 $1$ を残して移項し、$\alpha$ でくくると、
$$\alpha \{ \alpha^2 + m\alpha + (m+8) \} = -1$$
$m$ と $\alpha$ は整数であるから、$\alpha^2 + m\alpha + (m+8)$ も整数である。 積が $-1$ となる整数の組は $(1, -1)$ または $(-1, 1)$ のみであるから、$\alpha = 1$ または $\alpha = -1$ である。
(i) $\alpha = 1$ のとき
方程式 $1^3 + m \cdot 1^2 + (m+8) \cdot 1 + 1 = 0$ より、
$$1 + m + m + 8 + 1 = 0$$
$$2m + 10 = 0$$
これを解いて、$m = -5$ となる。 このとき、$m$ は整数という条件を満たす。 元の3次方程式は $x^3 - 5x^2 + 3x + 1 = 0$ となり、左辺は $x = 1$ を解にもつことから $x - 1$ を因数にもつ。
$$(x - 1)(x^2 - 4x - 1) = 0$$
これより $x = 1, 2 \pm \sqrt{5}$ となり、確かに有理数の解 $\alpha = 1$ をもつ。
(ii) $\alpha = -1$ のとき
方程式 $(-1)^3 + m \cdot (-1)^2 + (m+8) \cdot (-1) + 1 = 0$ より、
$$-1 + m - m - 8 + 1 = 0$$
$$-8 = 0$$
これは矛盾である。よって $\alpha = -1$ となることはない。
以上 (i), (ii) より、求める $m$ の値は $m = -5$ である。
解説
有理数解の存在を仮定した際に、それを既約分数でおいて代入する処理は、整数係数多項式における「有理根定理」の証明そのものである。本問のように最高次の係数が $1$ (モニック多項式)で定数項が整数の場合、有理数解が存在すればそれは必ず整数となり、かつ定数項の約数となることが知られている。
(2) ではその性質を利用し、方程式を因数分解のような形に変形して $\alpha$ が定数項 $1$ の約数、すなわち $\pm 1$ のいずれかであることを導いている。候補を絞り込んだ後は、それぞれの場合について代入し、矛盾がないか(十分性)を確認するプロセスを踏むことが重要である。
答え
(1) 題意の通り証明された。($\alpha = \frac{q}{p}$ とおき、$p=1$ を導くことで示される)
(2) $m = -5$
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