数学2 三角関数 問題 8 解説

方針・初手
$\theta = \frac{2\pi}{5}$ が $5\theta = 2\pi$ を満たすことに着目して方程式を立てるか、方程式 $z^5=1$ の複素数解の実部と関連付けて解く手法が定石である。角を分割して加法定理や倍角の公式を活用し、$\cos \frac{2\pi}{5}$ についての2次方程式を導くことを目標とする。
解法1
$\theta = \frac{2\pi}{5}$ とおく。このとき、
$$5\theta = 2\pi$$
が成り立つ。これを $3\theta$ と $2\theta$ に分け、
$$3\theta = 2\pi - 2\theta$$
とする。両辺の余弦をとると、
$$\cos 3\theta = \cos(2\pi - 2\theta)$$
$$\cos 3\theta = \cos 2\theta$$
ここで、2倍角の公式 $\cos 2\theta = 2\cos^2\theta - 1$ と、3倍角の公式 $\cos 3\theta = 4\cos^3\theta - 3\cos\theta$ を用いて代入する。
$$4\cos^3\theta - 3\cos\theta = 2\cos^2\theta - 1$$
$$4\cos^3\theta - 2\cos^2\theta - 3\cos\theta + 1 = 0$$
$x = \cos \frac{2\pi}{5}$ とおくと、方程式は次のようになる。
$$4x^3 - 2x^2 - 3x + 1 = 0$$
左辺は $x=1$ を代入すると $4-2-3+1=0$ となるため、因数定理より $x-1$ を因数にもつ。左辺を因数分解して、
$$(x-1)(4x^2 + 2x - 1) = 0$$
$0 < \frac{2\pi}{5} < \frac{\pi}{2}$ であるため、
$$0 < \cos \frac{2\pi}{5} < 1$$
すなわち $0 < x < 1$ であり、$x \neq 1$ である。したがって、
$$4x^2 + 2x - 1 = 0$$
これを解くと、
$$x = \frac{-1 \pm \sqrt{1^2 - 4 \cdot (-1)}}{4} = \frac{-1 \pm \sqrt{5}}{4}$$
$x > 0$ であるから、正の解をとって次を得る。
$$x = \frac{-1 + \sqrt{5}}{4}$$
解法2
複素数 $z$ を $z = \cos \frac{2\pi}{5} + i \sin \frac{2\pi}{5}$ とおく。ド・モアブルの定理より、
$$z^5 = \left( \cos \frac{2\pi}{5} + i \sin \frac{2\pi}{5} \right)^5 = \cos 2\pi + i \sin 2\pi = 1$$
したがって、$z$ は方程式 $z^5 - 1 = 0$ の解である。これを因数分解すると、
$$(z-1)(z^4 + z^3 + z^2 + z + 1) = 0$$
$z \neq 1$ であるから、次の相反方程式が得られる。
$$z^4 + z^3 + z^2 + z + 1 = 0$$
$z \neq 0$ より、両辺を $z^2$ で割って整理する。
$$z^2 + z + 1 + \frac{1}{z} + \frac{1}{z^2} = 0$$
$$\left( z^2 + \frac{1}{z^2} \right) + \left( z + \frac{1}{z} \right) + 1 = 0$$
ここで、$z^2 + \frac{1}{z^2} = \left( z + \frac{1}{z} \right)^2 - 2$ を用いて変形する。
$$\left( z + \frac{1}{z} \right)^2 + \left( z + \frac{1}{z} \right) - 1 = 0$$
ド・モアブルの定理を用いて $\frac{1}{z}$ を計算すると、
$$\frac{1}{z} = z^{-1} = \cos\left(-\frac{2\pi}{5}\right) + i \sin\left(-\frac{2\pi}{5}\right) = \cos \frac{2\pi}{5} - i \sin \frac{2\pi}{5}$$
よって、$z + \frac{1}{z}$ の値は実部のみが残り、次のようになる。
$$z + \frac{1}{z} = 2\cos \frac{2\pi}{5}$$
$t = 2\cos \frac{2\pi}{5}$ とおくと、上の2次方程式は次のように表される。
$$t^2 + t - 1 = 0$$
これを解くと、
$$t = \frac{-1 \pm \sqrt{5}}{2}$$
$0 < \frac{2\pi}{5} < \frac{\pi}{2}$ より $\cos \frac{2\pi}{5} > 0$ であるから、$t > 0$ となり、次を得る。
$$t = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}$$
したがって、求める値は次のようになる。
$$\cos \frac{2\pi}{5} = \frac{t}{2} = \frac{-1 + \sqrt{5}}{4}$$
解説
$\frac{2\pi}{5}$(すなわち $72^\circ$)や $\frac{\pi}{5}$($36^\circ$)の三角比の値を求める問題は、大学入試で頻出である。
解法1の「$5\theta = 2\pi$ を $3\theta = 2\pi - 2\theta$ に変形する」アプローチは、2倍角・3倍角の公式を用いて三角方程式を解くための定石である。解法2の「$z^5=1$ を利用して相反方程式を解く」アプローチは、複素数平面や高次方程式の分野において非常に強力であり、こちらも典型的な手法として習熟しておくべきである。
また、今回は代数的な解法を紹介したが、図形的に「頂角が $36^\circ$ である二等辺三角形(または正五角形とその対角線)」を描き、相似な三角形を利用して辺の長さの比を求める幾何学的な手法を用いることでも、同様の結果を導くことができる。
答え
$$\frac{-1 + \sqrt{5}}{4}$$
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