数学2 三角関数 問題 28 解説

方針・初手
- 問1では、正方形の辺 $AD$ を含む直線と、それを原点中心に回転させた直線 $A'D'$ の方程式をそれぞれ求め、連立して交点 $P$ の座標を導く。
- 問2では、2つの正方形が重なる図形が原点に関して点対称であり、$90^\circ$ごとの回転対称性を持つことに着目する。正方形 $ABCD$ の面積から、4つの頂点 $A, B, C, D$ をそれぞれ含む4つの合同なはみ出した直角三角形の面積を引くことで、$S$ を効率よく計算できる。
- 問3では、問2で得られた $t$ の関数について最小値を求める。分数関数の微分(数学III)を用いるのが標準的であるが、分子の次数を下げて相加平均と相乗平均の大小関係を利用するとより簡潔に処理できる。
解法1
問1
点 $A(1, 1), D(1, -1)$ より、直線 $AD$ の方程式は $x = 1$ である。 直線 $A'D'$ は、直線 $x = 1$ を原点 $O$ を中心に $\theta$ 回転させた直線である。 直線 $x = 1$ 上の任意の点を $(1, k)$ とおく。これを原点を中心に $\theta$ 回転させた点を $(x, y)$ とすると、以下の関係が成り立つ。
$$x = \cos\theta - k\sin\theta$$
$$y = \sin\theta + k\cos\theta$$
この2式からパラメータ $k$ を消去する。第1式より $k\sin\theta = \cos\theta - x$、第2式より $k\cos\theta = y - \sin\theta$ となる。 両辺にそれぞれ $\cos\theta, \sin\theta$ を掛けて引くと、
$$k\sin\theta\cos\theta - k\sin\theta\cos\theta = \cos\theta(\cos\theta - x) - \sin\theta(y - \sin\theta)$$
$$0 = \cos^2\theta - x\cos\theta - y\sin\theta + \sin^2\theta$$
整理すると、直線 $A'D'$ の方程式は
$$x\cos\theta + y\sin\theta = 1$$
となる。 点 $P$ は直線 $AD$ と直線 $A'D'$ の交点であるから、$x = 1$ を代入して、
$$\cos\theta + y\sin\theta = 1$$
$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $\sin\theta \neq 0$ であるから、
$$y = \frac{1 - \cos\theta}{\sin\theta}$$
したがって、交点 $P$ の座標は $\left(1, \frac{1-\cos\theta}{\sin\theta}\right)$ である。
問2
2つの正方形が重なる部分の面積 $S$ は、正方形 $ABCD$ の面積 $4$ から、頂点 $A, B, C, D$ をそれぞれ含む4つのはみ出した直角三角形の面積を引いたものに等しい。 これらの直角三角形は図形の対称性から互いに合同であるため、頂点 $A$ を含む直角三角形の面積を求めればよい。
頂点 $A$ を含む直角三角形は、辺 $AD$(直線 $x=1$)、辺 $AB$(直線 $y=1$)と直線 $A'D'$ で囲まれる $\triangle APR$ である。 ここで、$R$ は直線 $AB$ と直線 $A'D'$ の交点である。 $x\cos\theta + y\sin\theta = 1$ に $y = 1$ を代入すると、
$$x\cos\theta + \sin\theta = 1$$
$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $\cos\theta \neq 0$ であるから、$x = \frac{1-\sin\theta}{\cos\theta}$ となる。 よって、$R\left(\frac{1-\sin\theta}{\cos\theta}, 1\right)$ である。
ここで $t = \tan\frac{\theta}{2}$ とすると、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < t < 1$ であり、
$$\sin\theta = \frac{2t}{1+t^2}, \quad \cos\theta = \frac{1-t^2}{1+t^2}$$
と表される。 これを用いて、直角三角形 $\triangle APR$ の2辺 $AP, AR$ の長さを $t$ で表す。 点 $P$ の $y$座標は、
$$y_P = \frac{1-\cos\theta}{\sin\theta} = \frac{1 - \frac{1-t^2}{1+t^2}}{\frac{2t}{1+t^2}} = \frac{2t^2}{2t} = t$$
点 $R$ の $x$座標は、
$$x_R = \frac{1-\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{1 - \frac{2t}{1+t^2}}{\frac{1-t^2}{1+t^2}} = \frac{1-2t+t^2}{1-t^2} = \frac{(1-t)^2}{(1-t)(1+t)} = \frac{1-t}{1+t}$$
これより、
$$AP = 1 - y_P = 1 - t$$
$$AR = 1 - x_R = 1 - \frac{1-t}{1+t} = \frac{2t}{1+t}$$
したがって、$\triangle APR$ の面積は、
$$\frac{1}{2} \cdot AR \cdot AP = \frac{1}{2} \cdot \frac{2t}{1+t} \cdot (1-t) = \frac{t(1-t)}{1+t}$$
求める面積 $S$ は、正方形 $ABCD$ の面積からこの直角三角形の面積の4倍を引いたものであるから、
$$S = 4 - 4 \cdot \frac{t(1-t)}{1+t} = \frac{4(1+t) - 4t(1-t)}{1+t} = \frac{4 + 4t^2}{1+t} = \frac{4(1+t^2)}{1+t}$$
問3
関数 $f(t) = \frac{1+t^2}{1+t}$ とおき、$0 < t < 1$ における最小値を求める。 商の微分法を用いて $f(t)$ を微分すると、
$$f'(t) = \frac{2t(1+t) - (1+t^2) \cdot 1}{(1+t)^2} = \frac{t^2+2t-1}{(1+t)^2}$$
$f'(t) = 0$ とすると $t^2+2t-1 = 0$ であり、$t > 0$ より $t = \sqrt{2}-1$ である。 $0 < t < 1$ の範囲で増減を調べると、$0 < t < \sqrt{2}-1$ のとき $f'(t) < 0$、$\sqrt{2}-1 < t < 1$ のとき $f'(t) > 0$ となる。 したがって、$f(t)$ は $t = \sqrt{2}-1$ で極小かつ最小となる。
このとき、
$$f(\sqrt{2}-1) = \frac{1+(\sqrt{2}-1)^2}{1+(\sqrt{2}-1)} = \frac{1+3-2\sqrt{2}}{\sqrt{2}} = \frac{4-2\sqrt{2}}{\sqrt{2}} = 2\sqrt{2}-2$$
よって、$S = 4 f(t)$ の最小値は、
$$4(2\sqrt{2}-2) = 8\sqrt{2}-8$$
である。
解法2
(問3における相加平均と相乗平均の大小関係を利用した別解)
問3
問2で求めた面積 $S$ について、分子を分母で割って式を変形する。
$$S = \frac{4(t^2+1)}{t+1} = \frac{4((t+1)^2 - 2(t+1) + 2)}{t+1} = 4(t+1) - 8 + \frac{8}{t+1}$$
$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < t < 1$ であるから、$t+1 > 0$ である。 したがって、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$4(t+1) + \frac{8}{t+1} \geqq 2\sqrt{4(t+1) \cdot \frac{8}{t+1}} = 2\sqrt{32} = 8\sqrt{2}$$
が成り立つ。 等号が成立するのは $4(t+1) = \frac{8}{t+1}$ のときであり、これを解くと $(t+1)^2 = 2$ となる。 $t+1 > 0$ より $t+1 = \sqrt{2}$、すなわち $t = \sqrt{2}-1$ であり、これは $0 < t < 1$ の条件を満たす。
よって、
$$S \geqq 8\sqrt{2} - 8$$
となり、$S$ の最小値は $8\sqrt{2}-8$ である。
解説
- 点の回転移動を考える際、各頂点の座標を個別に求める方法もあるが、辺を含む直線そのものを回転させる視点を持つと、問1のような交点の導出がスムーズになる。
- 複雑な多角形の面積を直接計算するのは手間がかかるため、図形の対称性に着目し、「元の正方形から欠けた部分(はみ出した部分)を引く」という発想が非常に有効である。どの直線によって正方形の角が切り取られるのかを、図から正確に判断することがポイントとなる。
- 問3の分数関数の最小値問題は微分して増減表を書くのが定石だが、分子の次数を下げて相加平均と相乗平均の大小関係を利用すると、計算ミスを減らしつつ鮮やかに解答することができる。
答え
問1: $P\left(1, \frac{1-\cos\theta}{\sin\theta}\right)$
問2: $S = \frac{4(1+t^2)}{1+t}$
問3: $8\sqrt{2}-8$
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