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数学2 三角関数 問題 31 解説

数学2 三角関数 問題 31 解説

方針・初手

地球の半径を $R$ とおき、2つの経路 $R_1$ と $R_2$ の長さをそれぞれ $R$ を用いて表すことから始める。 $R_1$ は同一緯度(北緯 $60^\circ$)の小円上の弧の長さとして求められる。 $R_2$ は大円上の弧の長さであるため、地球の中心 $O$ を頂点とする中心角を求める必要がある。これには、地点A、B間の直線距離(弦の長さ)から余弦定理を用いる幾何的な方法や、空間座標を導入してベクトルの内積を利用する方法がある。 求めた中心角の余弦の値と三角関数表を比較し、角度を評価することで、距離の短縮率を計算する。

解法1

地球を半径 $R$ の球とし、その中心を $O$ とする。 北緯 $60^\circ$ の平面による球の切り口は、半径 $r = R \cos 60^\circ = \frac{1}{2}R$ の円(小円)となる。この小円の中心を $O'$ とする。 地点Aと地点Bはこの小円の円周上にあり、経度の差は $135^\circ - 75^\circ = 60^\circ$ である。したがって、小円においてA、Bを見込む中心角は $\angle AO'B = 60^\circ$ である。

経路 $R_1$ はこの小円上の弧ABであるから、その飛行距離 $L_1$ は次のように求められる。

$$L_1 = r \times \frac{60^\circ}{180^\circ}\pi = \frac{1}{2}R \times \frac{\pi}{3} = \frac{\pi}{6}R$$

また、$\triangle AO'B$ は $O'A = O'B = r$ であり、$\angle AO'B = 60^\circ$ であるから正三角形となる。よって、直線距離(弦の長さ)$AB$ は以下のようになる。

$$AB = r = \frac{1}{2}R$$

次に、大円に沿った経路 $R_2$ を考える。 地球の中心 $O$、地点A、地点Bからなる $\triangle OAB$ に着目する。 $OA = R, OB = R, AB = \frac{1}{2}R$ である。$\angle AOB = \theta$ とし、$\triangle OAB$ において余弦定理を適用する。

$$\cos \theta = \frac{OA^2 + OB^2 - AB^2}{2 \cdot OA \cdot OB}$$

$$\cos \theta = \frac{R^2 + R^2 - \left(\frac{1}{2}R\right)^2}{2 \cdot R \cdot R} = \frac{2 - \frac{1}{4}}{2} = \frac{7}{8} = 0.875$$

経路 $R_2$ の飛行距離 $L_2$ は、半径 $R$ の大円上の中心角 $\theta$ に対応する弧の長さである。$\theta$ を度数法で $\alpha^\circ$ とすると、

$$L_2 = 2\pi R \times \frac{\alpha}{360} = \frac{\alpha\pi}{180} R$$

ここで、三角関数表より $\cos 28^\circ \approx 0.8829, \cos 29^\circ \approx 0.8746$ である。 $\cos \theta = 0.875$ であり、関数 $\cos x$ は $0^\circ < x < 90^\circ$ において単調減少であるから、以下の不等式が成り立つ。

$$\cos 29^\circ < \cos \theta < \cos 28^\circ$$

したがって、$28^\circ < \alpha^\circ < 29^\circ$ であり、特に $\alpha < 29$ が成り立つ。

$R_1$ に対する $R_2$ の長さの比を計算する。

$$\frac{L_2}{L_1} = \frac{\frac{\alpha\pi}{180} R}{\frac{\pi}{6}R} = \frac{\alpha}{30}$$

$\alpha < 29$ であるから、次のように評価できる。

$$\frac{L_2}{L_1} < \frac{29}{30}$$

短縮される割合は $1 - \frac{L_2}{L_1}$ であるから、

$$1 - \frac{L_2}{L_1} > 1 - \frac{29}{30} = \frac{1}{30}$$

$\frac{1}{30} = 0.0333\dots$ であり、これは $0.03$ より大きい。

$$\frac{L_1 - L_2}{L_1} > 0.03$$

以上より、$R_1$ に比べて $R_2$ は飛行距離が $3\%$ 以上短くなることが示された。

解法2

空間座標を導入し、地球の中心 $O$ を原点 $(0, 0, 0)$ とする。 赤道面を $xy$ 平面、北極を $z$ 軸の正の方向にとる。地球の半径を $R$ とする。 地点A、Bは北緯 $60^\circ$ であるから、$z$ 座標はともに $R \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{2}R$ である。 AとBの経度差は $60^\circ$ である。計算を簡略化するため、AとBの経度の中間を $x$ 軸の正の方向とする(すなわち、Aの経度を $30^\circ$、Bの経度を $-30^\circ$ とみなす)。 地点Aおよび地点Bの座標は次のように表される。

$$A\left(R \cos 60^\circ \cos 30^\circ, R \cos 60^\circ \sin 30^\circ, R \sin 60^\circ\right) = \left(\frac{\sqrt{3}}{4}R, \frac{1}{4}R, \frac{\sqrt{3}}{2}R\right)$$

$$B\left(R \cos 60^\circ \cos(-30^\circ), R \cos 60^\circ \sin(-30^\circ), R \sin 60^\circ\right) = \left(\frac{\sqrt{3}}{4}R, -\frac{1}{4}R, \frac{\sqrt{3}}{2}R\right)$$

経路 $R_1$ の長さ $L_1$ は、半径 $R \cos 60^\circ = \frac{1}{2}R$ の円周上で中心角 $60^\circ$ に相当する弧の長さである。

$$L_1 = \frac{1}{2}R \times \frac{\pi}{3} = \frac{\pi}{6}R$$

経路 $R_2$ に対応する大円の中心角を $\theta$ とすると、ベクトルの内積を用いて $\cos \theta$ を求めることができる。

$$\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = \left(\frac{\sqrt{3}}{4}R\right)^2 + \left(\frac{1}{4}R\right)\left(-\frac{1}{4}R\right) + \left(\frac{\sqrt{3}}{2}R\right)^2$$

$$\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = R^2 \left( \frac{3}{16} - \frac{1}{16} + \frac{3}{4} \right) = \frac{14}{16}R^2 = \frac{7}{8}R^2$$

一方、内積の定義より $\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = |\overrightarrow{OA}||\overrightarrow{OB}| \cos \theta = R^2 \cos \theta$ であるから、

$$R^2 \cos \theta = \frac{7}{8}R^2$$

$$\cos \theta = \frac{7}{8} = 0.875$$

これ以降の評価は解法1と同様である。三角関数表から中心角 $\theta$ を度数法で表した $\alpha^\circ$ が $29^\circ$ 未満であることが分かり、

$$\frac{L_1 - L_2}{L_1} = 1 - \frac{\alpha}{30} > 1 - \frac{29}{30} = \frac{1}{30} > 0.03$$

となり、題意は示される。

解説

球面上の2点間の距離を比較する典型的な問題である。同一緯度を飛ぶ経路と、大円に沿って飛ぶ最短経路(大圏コース)の長さの違いを数学的に証明する。 大円における中心角の余弦を求める際、解法1のように「弦の長さを求めてから余弦定理」という幾何的アプローチをとるか、解法2のように「空間座標を設定してベクトルの内積」をとるかの2通りの方針が考えられる。どちらを選んでも計算量はそれほど変わらないが、解法2は機械的に処理できる利点がある。 最後に得られた $\cos \theta = 0.875$ という値から角度の範囲を特定するために、問題文で指示されている三角関数表を利用する。表から近い値を見つけて不等式で評価する論証力が問われている。

答え

$R_1$ の長さは $\frac{\pi}{6}R$、大円の中心角 $\theta$ の余弦は $\cos \theta = 0.875$ となる。

三角関数表より $\theta$ が $29^\circ$ 未満であることがわかり、距離の差を比較することで $3\%$ 以上短くなることが示された。

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