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数学2 三角関数 問題 36 解説

数学2 三角関数 問題 36 解説

方針・初手

ビルの下端を原点とし、人がいる地上を $x$ 軸、ビルがある直線を $y$ 軸として座標平面を設定する。見込む角である $\angle\text{ABC}$ を直接扱うのは難しいため、直角三角形を利用して角を分割し、正接($\tan$)の加法定理を用いるのが定石である。角が最大となる条件は、正接の値が最大となる条件に帰着できる。式の形から、相加平均と相乗平均の大小関係を利用して最大値を求める。

幾何的な性質に着目し、2定点を見込む角が最大となる点を「2定点を通り、動点が存在する直線に接する円」の接点として求める別解も存在する。

解法1

ビルの下端を原点 $O(0, 0)$ とし、水平方向(人がいる側)を $x$ 軸の正の向き、鉛直上向きを $y$ 軸の正の向きとする座標平面を設定する。 条件より、鉄塔の下端 $C$ は $(0, 200)$、上端 $A$ は $(0, 250)$ と表せる。 人の位置 $B$ の座標を $(x, 0)$($x > 0$)とする。 $\angle\text{ABO} = \alpha$、$\angle\text{CBO} = \beta$ とおくと、$\angle\text{ABC} = \alpha - \beta$ である。 直角三角形 ABO および CBO において、

$$\tan\alpha = \frac{250}{x}, \quad \tan\beta = \frac{200}{x}$$

が成り立つ。正接の加法定理より、

$$\tan\angle\text{ABC} = \tan(\alpha - \beta) = \frac{\tan\alpha - \tan\beta}{1 + \tan\alpha\tan\beta}$$

$$= \frac{\frac{250}{x} - \frac{200}{x}}{1 + \frac{250}{x} \cdot \frac{200}{x}} = \frac{\frac{50}{x}}{1 + \frac{50000}{x^2}} = \frac{50}{x + \frac{50000}{x}}$$

$0 < \angle\text{ABC} < \frac{\pi}{2}$ であるから、$\tan\angle\text{ABC}$ が最大のとき $\angle\text{ABC}$ も最大となる。 $x > 0$ より $\frac{50000}{x} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より

$$x + \frac{50000}{x} \geqq 2\sqrt{x \cdot \frac{50000}{x}} = 2\sqrt{50000} = 200\sqrt{5}$$

が成り立つ。等号が成立するのは $x = \frac{50000}{x}$、すなわち $x^2 = 50000$ のときである。 $x > 0$ より $x = 100\sqrt{5}$ となる。 分母 $x + \frac{50000}{x}$ が最小となるとき、$\tan\angle\text{ABC}$ は最大となる。 したがって、人がビルから $100\sqrt{5}$ m 離れたとき、$\angle\text{ABC}$ は最大となる。

解法2

ビルの下端を原点 $O$ とする。2点 $A$, $C$ を通り、$x$ 軸(地面)の正の部分と接する円を考える。その接点を $B'$ とする。 弦 $AC$ に対して、円周角の定理より、同一円周上の点から弦 $AC$ を見込む角は等しい。また、円の外部の点から弦 $AC$ を見込む角は、円周上の点から見込む角よりも小さくなる。 点 $B$ は $x$ 軸の正の部分を動く点である。円が $x$ 軸に接しているため、接点 $B'$ 以外の $x$ 軸上の点はすべてこの円の外部にある。 したがって、$x$ 軸上の点 $B$ について $\angle\text{ABC}$ が最大となるのは、点 $B$ が接点 $B'$ と一致するときである。

方べきの定理より、原点 $O$ と接点 $B'$ について次が成り立つ。

$$OB'^2 = OC \cdot OA$$

$OA = 250$、$OC = 200$ であるから、

$$OB'^2 = 200 \times 250 = 50000$$

$OB' > 0$ であるから、

$$OB' = \sqrt{50000} = 100\sqrt{5}$$

よって、人がビルから $100\sqrt{5}$ m 離れたとき、$\angle\text{ABC}$ は最大となる。

解説

「ある線分を見込む角の最大化」を問う典型的な問題である。 解法1で示したように、正接の加法定理を用いて $\tan$ の式を導き、分母の形から相加平均と相乗平均の大小関係に持ち込んで最大・最小を議論する流れは頻出のパターンであるため、確実に押さえておきたい。 解法2の幾何的なアプローチは、計算量が劇的に少なくなる鮮やかな手法である。「見込む角が最大となるのは、対象の2点を通る円が直線に接するときである」という事実を知っていれば、方べきの定理を用いて一瞬で答えを出すことができる。

答え

$100\sqrt{5}$ m

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