数学2 三角関数 問題 45 解説

方針・初手
点 $\text{P}$ が $(x, x)$ と媒介変数表示されていることから、$\angle\text{APB} = \theta$ とおき、$\theta$ の三角関数を $x$ の式で表して最大値を求めるのが定石である。 $\cos\theta$ を余弦定理やベクトルの内積から直接求めると計算が複雑になるため、$\tan\theta$ を用いるのがよい。ベクトルの内積と三角形の面積から $\tan\theta$ を導く方法と、直線の傾きを利用して正接の加法定理を用いる方法が考えられる。また、図形的に円と直線の関係を用いて解くことも可能である。
解法1
$\angle\text{APB} = \theta$ とおく。点 $\text{P}$ は直線 $y=x$ 上の $x>0$ の部分にあるため、$0 < \theta < \pi$ である。 点 $\text{A}(0, 1), \text{B}(0, 2), \text{P}(x, x)$ について、ベクトル $\overrightarrow{\text{PA}}$ と $\overrightarrow{\text{PB}}$ は以下のようになる。
$$\overrightarrow{\text{PA}} = (0 - x, 1 - x) = (-x, 1-x)$$
$$\overrightarrow{\text{PB}} = (0 - x, 2 - x) = (-x, 2-x)$$
この2つのベクトルの内積は、
$$\begin{aligned} \overrightarrow{\text{PA}} \cdot \overrightarrow{\text{PB}} &= (-x) \cdot (-x) + (1-x)(2-x) \\ &= x^2 + (x^2 - 3x + 2) \\ &= 2x^2 - 3x + 2 \end{aligned}$$
となる。 次に、$\triangle\text{APB}$ の面積を $S$ とすると、底辺を線分 $\text{AB}$ とみたとき、長さは $2 - 1 = 1$ であり、高さは点 $\text{P}$ の $x$ 座標の絶対値、すなわち $x$ である。
$$S = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot x = \frac{x}{2}$$
また、面積 $S$ は内積の定義に現れる絶対値と $\sin\theta$ を用いて次のように表せる。
$$S = \frac{1}{2} |\overrightarrow{\text{PA}}| |\overrightarrow{\text{PB}}| \sin\theta$$
これらより、
$$|\overrightarrow{\text{PA}}| |\overrightarrow{\text{PB}}| \sin\theta = x$$
である。一方で内積の定義より、
$$|\overrightarrow{\text{PA}}| |\overrightarrow{\text{PB}}| \cos\theta = 2x^2 - 3x + 2$$
であるから、
$$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{|\overrightarrow{\text{PA}}| |\overrightarrow{\text{PB}}| \sin\theta}{|\overrightarrow{\text{PA}}| |\overrightarrow{\text{PB}}| \cos\theta} = \frac{x}{2x^2 - 3x + 2}$$
と求まる。 ここで、$x>0$ であり、分母の $2x^2 - 3x + 2 = 2\left(x - \frac{3}{4}\right)^2 + \frac{7}{8} > 0$ であるから、$\tan\theta > 0$ である。 $0 < \theta < \pi$ より $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ であり、$\theta$ が最大となるのは $\tan\theta$ が最大となるときである。 $x > 0$ より、分子と分母を $x$ で割ると、
$$\tan\theta = \frac{1}{2x - 3 + \frac{2}{x}}$$
となる。分母の $2x + \frac{2}{x}$ について、$x>0, \frac{2}{x}>0$ であるから相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$2x + \frac{2}{x} \ge 2\sqrt{2x \cdot \frac{2}{x}} = 2\sqrt{4} = 4$$
が成り立つ。等号成立は $2x = \frac{2}{x}$、すなわち $x^2 = 1$ であり、$x>0$ より $x=1$ のときである。 したがって、分母は
$$2x - 3 + \frac{2}{x} \ge 4 - 3 = 1$$
となり、分母の最小値は $1$ である。 ゆえに、$\tan\theta$ の最大値は $\frac{1}{1} = 1$ である。 $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ であるから、$\theta$ の最大値は $\frac{\pi}{4}$ となる。
解法2
$\angle\text{APB} = \theta$ とおく。直線 $\text{PA}$、直線 $\text{PB}$ の傾きをそれぞれ $m_1, m_2$ とすると、
$$m_1 = \frac{1-x}{0-x} = \frac{x-1}{x}$$
$$m_2 = \frac{2-x}{0-x} = \frac{x-2}{x}$$
である。 $x$ 軸の正の向きと直線 $\text{PA}$、$\text{PB}$ のなす角をそれぞれ $\alpha, \beta$ とすると、$\tan\alpha = m_1, \tan\beta = m_2$ と表せる。 $x>0$ において $m_1 - m_2 = \frac{1}{x} > 0$ であるため、$m_1 > m_2$ となる。 直線 $\text{PA}$ と直線 $\text{PB}$ のなす角 $\theta$ は $\alpha - \beta$ に対応し、正接の加法定理より、
$$\begin{aligned} \tan\theta &= \frac{\tan\alpha - \tan\beta}{1 + \tan\alpha\tan\beta} \\ &= \frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2} \\ &= \frac{\frac{x-1}{x} - \frac{x-2}{x}}{1 + \frac{x-1}{x} \cdot \frac{x-2}{x}} \\ &= \frac{\frac{1}{x}}{\frac{x^2 + (x-1)(x-2)}{x^2}} \\ &= \frac{x}{2x^2 - 3x + 2} \end{aligned}$$
となる。 以下、解法1と同様に $x>0$ より分子分母を $x$ で割り、相加平均と相乗平均の大小関係を用いることで、$\tan\theta$ の最大値が $1$ と求まる。 したがって、$\theta$ の最大値は $\frac{\pi}{4}$ である。
解法3
$\triangle\text{APB}$ の外接円の半径を $R$ とし、$\angle\text{APB} = \theta$ とおく。 正弦定理より、
$$\frac{\text{AB}}{\sin\theta} = 2R$$
が成り立つ。$\text{AB} = 1$ であるから、$\sin\theta = \frac{1}{2R}$ である。 $\theta$ を最大にするには、$R$ を最小にすればよい。 2点 $\text{A}(0, 1), \text{B}(0, 2)$ を通る円の中心を $\text{C}$ とすると、$\text{C}$ は線分 $\text{AB}$ の垂直二等分線 $y = \frac{3}{2}$ 上にあるため、$\text{C}\left(a, \frac{3}{2}\right)$ とおける。 この円の半径 $R$ は、
$$R = \sqrt{a^2 + \left(\frac{3}{2} - 1\right)^2} = \sqrt{a^2 + \frac{1}{4}}$$
である。 点 $\text{P}$ は直線 $x - y = 0$ ($x>0$) 上にあり、かつこの円周上にある。したがって、円と直線は少なくとも1つの共有点を持つ。 中心 $\text{C}$ と直線 $x - y = 0$ の距離を $d$ とすると、円と直線が共有点を持つ条件は $d \le R$ である。
$$d = \frac{\left|a - \frac{3}{2}\right|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{\left|a - \frac{3}{2}\right|}{\sqrt{2}}$$
であるから、
$$\frac{\left|a - \frac{3}{2}\right|}{\sqrt{2}} \le \sqrt{a^2 + \frac{1}{4}}$$
両辺を2乗して整理すると、
$$\frac{a^2 - 3a + \frac{9}{4}}{2} \le a^2 + \frac{1}{4}$$
$$a^2 - 3a + \frac{9}{4} \le 2a^2 + \frac{1}{2}$$
$$a^2 + 3a - \frac{7}{4} \ge 0$$
これを解くと、$a \le -\frac{7}{2}$ または $a \ge \frac{1}{2}$ となる。 半径 $R = \sqrt{a^2 + \frac{1}{4}}$ が最小となるのは、$|a|$ が最小のときであり、上記の範囲では $a = \frac{1}{2}$ のときである。 このとき、中心は $\text{C}\left(\frac{1}{2}, \frac{3}{2}\right)$ であり、円は直線 $y=x$ に接する。 接点の座標は、$\text{C}$ を通り直線 $y=x$ に垂直な直線 $y = -x + 2$ と $y=x$ の交点であるから、$(1, 1)$ となり、$x>0$ を満たす点 $\text{P}$ が確かに存在する。 (なお、$a = -\frac{7}{2}$ のときの接点は $(-1, -1)$ となり $x>0$ を満たさない) $a = \frac{1}{2}$ のとき、最小の半径は
$$R = \sqrt{\left(\frac{1}{2}\right)^2 + \frac{1}{4}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$$
となる。 このとき、$\sin\theta = \frac{1}{2R} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ である。 点 $\text{A, B}$ は $y$ 軸上にあり、$\text{P}$ は $y=x$ $(x>0)$ 上にあることから $\theta$ は鋭角となるため、$\theta = \frac{\pi}{4}$ である。
解説
見込む角の最大化問題である。そのまま $\cos\theta$ を用いると計算が泥沼化しやすいため、$\tan\theta$ に持ち込むのがこの手の問題の典型的な定石である。 解法1のように三角形の面積と内積を組み合わせて $\tan\theta$ を導出する手法は、成分計算に強く図形の制約を受けにくい優れたアプローチである。解法2は直線の傾きから加法定理を直接用いるもので、立式が非常にシンプルになる。 さらに、分母に $x$ の2次式、分子に $x$ の1次式が現れる分数関数の最大・最小問題は、分母分子を $x$ で割り、相加平均と相乗平均の大小関係を用いる基本処理が極めて有効である。 解法3は「定線分を見込む角が最大となるのは、定線分を弦とする円が点を含む直線に接するときである」という図形的性質を利用したもので、計算量が少なく見通しが良いエレガントな解法である。
答え
$\frac{\pi}{4}$
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