数学2 三角関数 問題 90 解説

方針・初手
与えられた不等式 $\sin 3x \geqq \sin x$ を解くために、三角関数の角を統一するか、積の形を作ることを考える。3倍角の公式を用いて $\sin x$ だけの不等式に帰着させる方法と、移項して和積公式を利用し、因数分解された形を作る方法がある。どちらの方針でも見通しよく解くことができる。
解法1
3倍角の公式 $\sin 3x = 3\sin x - 4\sin^3 x$ を用いる。
与えられた不等式は以下のように変形できる。
$$3\sin x - 4\sin^3 x \geqq \sin x$$
$$2\sin x - 4\sin^3 x \geqq 0$$
両辺を $-2$ で割り、因数分解する。
$$2\sin^3 x - \sin x \leqq 0$$
$$\sin x (2\sin^2 x - 1) \leqq 0$$
$$\sin x (\sqrt{2}\sin x - 1)(\sqrt{2}\sin x + 1) \leqq 0$$
これを解くと、$\sin x$ の範囲は以下のようになる。
$$\sin x \leqq -\frac{1}{\sqrt{2}} \quad \text{または} \quad 0 \leqq \sin x \leqq \frac{1}{\sqrt{2}}$$
$0 \leqq x < 2\pi$ の範囲において、それぞれの不等式を満たす $x$ の範囲を求める。
(i) $\sin x \leqq -\frac{1}{\sqrt{2}}$ のとき
単位円を考えて、これを満たす $x$ の範囲は以下の通りである。
$$\frac{5}{4}\pi \leqq x \leqq \frac{7}{4}\pi$$
(ii) $0 \leqq \sin x \leqq \frac{1}{\sqrt{2}}$ のとき
同様に単位円を考えて、これを満たす $x$ の範囲は以下の通りである。
$$0 \leqq x \leqq \frac{\pi}{4}, \quad \frac{3}{4}\pi \leqq x \leqq \pi$$
(i)、(ii) より、求める $x$ の範囲はこれらを合わせたものになる。
解法2
不等式を移項し、和積公式を用いて積の形に因数分解する。
$$\sin 3x - \sin x \geqq 0$$
和積公式 $\sin A - \sin B = 2\cos\left(\frac{A+B}{2}\right)\sin\left(\frac{A-B}{2}\right)$ を適用する。
$$2\cos\left(\frac{3x+x}{2}\right)\sin\left(\frac{3x-x}{2}\right) \geqq 0$$
$$2\cos 2x \sin x \geqq 0$$
すなわち、$\cos 2x \sin x \geqq 0$ である。 これは以下の2つの場合に分けられる。
(i) $\cos 2x \geqq 0$ かつ $\sin x \geqq 0$
$0 \leqq x < 2\pi$ において $\sin x \geqq 0$ を満たすのは $0 \leqq x \leqq \pi$ である。 このとき $0 \leqq 2x \leqq 2\pi$ であり、$\cos 2x \geqq 0$ を満たす $2x$ の範囲は以下のようになる。
$$0 \leqq 2x \leqq \frac{\pi}{2}, \quad \frac{3}{2}\pi \leqq 2x \leqq 2\pi$$
したがって、$x$ の範囲は以下のようになる。
$$0 \leqq x \leqq \frac{\pi}{4}, \quad \frac{3}{4}\pi \leqq x \leqq \pi$$
これらは $0 \leqq x \leqq \pi$ を満たしている。
(ii) $\cos 2x \leqq 0$ かつ $\sin x \leqq 0$
$0 \leqq x < 2\pi$ において $\sin x \leqq 0$ を満たすのは $\pi \leqq x < 2\pi$ である。 このとき $2\pi \leqq 2x < 4\pi$ であり、$\cos 2x \leqq 0$ を満たす $2x$ の範囲は以下のようになる。
$$\frac{5}{2}\pi \leqq 2x \leqq \frac{7}{2}\pi$$
したがって、$x$ の範囲は以下のようになる。
$$\frac{5}{4}\pi \leqq x \leqq \frac{7}{4}\pi$$
これらは $\pi \leqq x < 2\pi$ を満たしている。
以上 (i)、(ii) より、求める解が得られる。
解説
三角関数を含む方程式・不等式において、角が異なる場合は「角を揃える」のが第一の定石である。本問では $3x$ と $x$ が混在しているため、解法1のように3倍角の公式で角を $x$ に統一するアプローチが自然であり、確実である。
一方で、$\sin A - \sin B$ の形を作り出せることに着目すれば、解法2のように和積公式を用いて積の形に持ち込むこともできる。この場合、3次不等式を解く手間が省け、2つの関数の符号の組み合わせに帰着できるため、処理が簡明になる。どちらの手法も基本的な変形であるため、柔軟に使い分けられるようにしておきたい。
答え
$0 \leqq x \leqq \frac{\pi}{4}$
$\frac{3}{4}\pi \leqq x \leqq \pi$
$\frac{5}{4}\pi \leqq x \leqq \frac{7}{4}\pi$
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