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数学2 三角関数 問題 97 解説

数学2 三角関数 問題 97 解説

方針・初手

与えられた $3$ つの式をそれぞれ文字で置き、差をとって符号を調べることで大小関係を比較する。三角関数の和積の公式や加法定理を利用して積の形を作り、各因数の符号を判定するのが定石である。

解法1

$3$ つの数を次のように置く。

$$X = \frac{\sin A + \sin B}{2}, \quad Y = \sin\frac{A+B}{2}, \quad Z = \sin\frac{A}{2} + \sin\frac{B}{2}$$

まず、$X$ と $Y$ の大小を比較する。 和積の公式 $\sin A + \sin B = 2 \sin\frac{A+B}{2} \cos\frac{A-B}{2}$ を用いると、$X$ は次のように変形できる。

$$X = \frac{1}{2} \cdot 2 \sin\frac{A+B}{2} \cos\frac{A-B}{2} = \sin\frac{A+B}{2} \cos\frac{A-B}{2}$$

$Y$ との差をとると、次のようになる。

$$Y - X = \sin\frac{A+B}{2} - \sin\frac{A+B}{2} \cos\frac{A-B}{2} = \sin\frac{A+B}{2} \left( 1 - \cos\frac{A-B}{2} \right)$$

問題の条件より、$A, B$ はいずれも鋭角であるから、$0 < A < \frac{\pi}{2}, 0 < B < \frac{\pi}{2}$ である。 よって、$0 < \frac{A+B}{2} < \frac{\pi}{2}$ となり、$\sin\frac{A+B}{2} > 0$ である。 また、$A \neq B$ より $-\frac{\pi}{2} < \frac{A-B}{2} < \frac{\pi}{2}$ であり、かつ $\frac{A-B}{2} \neq 0$ であるから、$0 < \cos\frac{A-B}{2} < 1$ となる。 したがって、$1 - \cos\frac{A-B}{2} > 0$ である。

以上より、$Y - X > 0$ すなわち $X < Y$ が成り立つ。

次に、$Y$ と $Z$ の大小を比較する。 $Y$ について、加法定理を用いると次のように展開できる。

$$Y = \sin\left(\frac{A}{2} + \frac{B}{2}\right) = \sin\frac{A}{2} \cos\frac{B}{2} + \cos\frac{A}{2} \sin\frac{B}{2}$$

$Z$ との差をとると、次のようになる。

$$\begin{aligned} Z - Y &= \sin\frac{A}{2} + \sin\frac{B}{2} - \left( \sin\frac{A}{2} \cos\frac{B}{2} + \cos\frac{A}{2} \sin\frac{B}{2} \right) \\ &= \sin\frac{A}{2} \left( 1 - \cos\frac{B}{2} \right) + \sin\frac{B}{2} \left( 1 - \cos\frac{A}{2} \right) \end{aligned}$$

$A, B$ は鋭角であるから、$0 < \frac{A}{2} < \frac{\pi}{4}, 0 < \frac{B}{2} < \frac{\pi}{4}$ である。 よって、$\sin\frac{A}{2} > 0, \sin\frac{B}{2} > 0$ である。 また、$0 < \cos\frac{A}{2} < 1, 0 < \cos\frac{B}{2} < 1$ であるから、$1 - \cos\frac{A}{2} > 0, 1 - \cos\frac{B}{2} > 0$ となる。

これより、第 $1$ 項、第 $2$ 項ともに正となるため、$Z - Y > 0$ すなわち $Y < Z$ が成り立つ。

以上の結果をまとめると、$X < Y < Z$ となる。 したがって、最小値は $X$、最大値は $Z$ である。

解法2

$y = \sin x$ のグラフの凸性を利用して $X$ と $Y$ の大小を比較することもできる。

$f(x) = \sin x$ とおくと、$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $f''(x) = -\sin x < 0$ であるから、グラフは上に凸である。 上に凸な関数の性質から、区間内の相異なる $2$ 点 $A, B$ に対して、次の不等式が成り立つ。

$$\frac{f(A) + f(B)}{2} < f\left( \frac{A+B}{2} \right)$$

すなわち、次が成り立つ。

$$\frac{\sin A + \sin B}{2} < \sin\frac{A+B}{2}$$

これにより、$X < Y$ が示される。

また、$Y$ と $Z$ の大小比較については、和積の公式を用いて次のように示すこともできる。 $Y$ は $2$ 倍角の公式により次のように表せる。

$$Y = \sin\left( 2 \cdot \frac{A+B}{4} \right) = 2 \sin\frac{A+B}{4} \cos\frac{A+B}{4}$$

一方、$Z$ に和積の公式を適用すると、次のようになる。

$$Z = \sin\frac{A}{2} + \sin\frac{B}{2} = 2 \sin\frac{A+B}{4} \cos\frac{A-B}{4}$$

両者の差をとると、次のようになる。

$$Z - Y = 2 \sin\frac{A+B}{4} \left( \cos\frac{A-B}{4} - \cos\frac{A+B}{4} \right)$$

$0 < A < \frac{\pi}{2}, 0 < B < \frac{\pi}{2}$ より $0 < A+B < \pi$ であるから、$0 < \frac{A+B}{4} < \frac{\pi}{4}$ となり、$\sin\frac{A+B}{4} > 0$ である。 また、$A \neq B$ より $|A-B| < A+B$ であるから、次が成り立つ。

$$0 \leqq \frac{|A-B|}{4} < \frac{A+B}{4} < \frac{\pi}{4}$$

$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ において $y = \cos \theta$ は単調減少であるから、次が成り立つ。

$$\cos\frac{A-B}{4} = \cos\frac{|A-B|}{4} > \cos\frac{A+B}{4}$$

すなわち、$\cos\frac{A-B}{4} - \cos\frac{A+B}{4} > 0$ である。 以上より、$Z - Y > 0$ となり、$Y < Z$ が示される。

よって、$X < Y < Z$ である。

解説

複数の式の大小を比較する典型問題である。方針としては「差をとって積の形に変形し、符号を判定する」か「関数の凸性を利用する」のが一般的である。 三角関数の和積の公式や加法定理を適切に選択できるかが鍵となる。解法1における $\sin\frac{A+B}{2}$ を $\sin\left(\frac{A}{2}+\frac{B}{2}\right)$ とみなして加法定理を展開する工夫は、因数分解を容易にするための鮮やかな変形である。

答え

カ: $\frac{\sin A + \sin B}{2}$

キ: $\sin\frac{A}{2} + \sin\frac{B}{2}$

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