数学2 三角関数 問題 115 解説

方針・初手
(1) 三角関数の合成を行い、$y = r\sin(x+\alpha)$ の形に変形します。定義域における位相の範囲を確認し、最大値・最小値とそのときの $x$ の値を求めます。グラフは、基本となる正弦曲線を平行移動したものであることを意識し、主要な点の座標を求めて描きます。
(2) 「〜でないことを示せ」という否定の証明であるため、背理法を用いるのが定石です。関数 $f(x)$ が周期関数であると仮定し、正の周期 $p$ が存在してすべての実数 $x$ で $f(x+p) = f(x)$ が成り立つとしたうえで、$\pi$ が無理数であるという事実に矛盾する結果を導きます。
解法1
(1)
$a=1$ のとき、与えられた関数は以下のように合成できる。
$$f(x) = \sqrt{3}\sin x + \cos x = 2\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\sin x + \frac{1}{2}\cos x\right) = 2\sin\left(x + \frac{\pi}{6}\right)$$
$0 \leqq x \leqq 2\pi$ より、位相 $x + \frac{\pi}{6}$ のとり得る範囲は
$$\frac{\pi}{6} \leqq x + \frac{\pi}{6} \leqq \frac{13\pi}{6}$$
となる。この範囲において、$\sin\left(x + \frac{\pi}{6}\right)$ が最大・最小となるのは以下のときである。
- $x + \frac{\pi}{6} = \frac{\pi}{2}$ すなわち $x = \frac{\pi}{3}$ のとき、最大値 $1$
- $x + \frac{\pi}{6} = \frac{3\pi}{2}$ すなわち $x = \frac{4\pi}{3}$ のとき、最小値 $-1$
したがって、$f(x)$ は、
- $x = \frac{\pi}{3}$ のとき、最大値 $2 \times 1 = 2$
- $x = \frac{4\pi}{3}$ のとき、最小値 $2 \times (-1) = -2$
をとる。
また、グラフをかくために、定義域の端点および $x$ 軸との交点($f(x)=0$ となる点)を調べる。
- $x=0$ のとき、$y = 2\sin\frac{\pi}{6} = 1$
- $x=2\pi$ のとき、$y = 2\sin\frac{13\pi}{6} = 1$
- $f(x)=0$ となるのは、$x + \frac{\pi}{6} = \pi, 2\pi$ すなわち $x = \frac{5\pi}{6}, \frac{11\pi}{6}$ のときである。
以上より、$y=f(x)$ のグラフは、$y=2\sin x$ のグラフを $x$ 軸方向に $-\frac{\pi}{6}$ だけ平行移動したものであり、以下の主要な点を通る滑らかな正弦曲線となる。
- $(0, 1)$ (左端)
- $\left(\frac{\pi}{3}, 2\right)$ (最大値をとる点)
- $\left(\frac{5\pi}{6}, 0\right)$ ($x$軸との交点)
- $\left(\frac{4\pi}{3}, -2\right)$ (最小値をとる点)
- $\left(\frac{11\pi}{6}, 0\right)$ ($x$軸との交点)
- $(2\pi, 1)$ (右端)
(2)
$a=\pi$ のとき、
$$f(x) = \sqrt{3}\sin x + \cos(\pi x)$$
$f(x)$ が周期関数であると仮定すると、ある正の定数 $p$ が存在して、すべての実数 $x$ に対して
$$f(x+p) = f(x)$$
が成り立つ。
この恒等式に $x=0$ を代入すると、$f(p) = f(0)$ より、
$$\sqrt{3}\sin p + \cos(\pi p) = \sqrt{3}\sin 0 + \cos 0 = 1 \quad \cdots ①$$
また、恒等式に $x=-p$ を代入すると、$f(0) = f(-p)$ より、
$$1 = \sqrt{3}\sin(-p) + \cos(-\pi p) = -\sqrt{3}\sin p + \cos(\pi p) \quad \cdots ②$$
①と②の辺々を足し合わせると、
$$2\cos(\pi p) = 2$$
$$\cos(\pi p) = 1$$
これより、整数 $n$ を用いて $\pi p = 2n\pi$ と表せるため、
$$p = 2n$$
となる。$p>0$ であるから、$n$ は正の整数である。
一方、①から②の辺々を引くと、
$$2\sqrt{3}\sin p = 0$$
$$\sin p = 0$$
これより、整数 $m$ を用いて $p = m\pi$ と表せる。
先に求めた $p=2n$ と等置すると、
$$2n = m\pi$$
$n$ は正の整数であるから $2n \neq 0$ であり、したがって等式を満たすためには $m \neq 0$ でなければならない。両辺を $m$ で割ると、
$$\pi = \frac{2n}{m}$$
$m, n$ はともに整数であるから、$\frac{2n}{m}$ は有理数である。 しかし、これは $\pi$ が無理数であるという事実に矛盾する。
したがって、当初の仮定は誤りであり、$f(x)$ は周期関数ではないことが示された。
解説
(1) は基本的な三角関数の合成の問題です。定義域に注意して、最大値と最小値、およびそのときの $x$ の値を正確に求める必要があります。グラフをかく際には、最大・最小となる頂点の座標だけでなく、定義域の端点や $x$ 軸との交点の座標を求めて明示することが、正確なグラフを描くためのポイントになります。
(2) は命題の否定を証明するため、背理法が極めて有効です。周期関数の定義である「すべての実数 $x$ に対して $f(x+p) = f(x)$ を満たす正の定数 $p$ が存在する」ことを利用します。これは $x$ についての恒等式なので、計算が容易になる都合の良い $x$ の値を代入して矛盾を導くのが定石の手法です。本解法では $x=0$ と $x=-p$ を代入することで、$\sin p$ と $\cos(\pi p)$ についての連立方程式を作り、周期 $p$ が有理数かつ無理数の定数倍であるという2つの相反する条件を引き出しています。
答え
(1) 最大値 $2$ ($x = \frac{\pi}{3}$ のとき)、最小値 $-2$ ($x = \frac{4\pi}{3}$ のとき)。グラフは解答欄の主要な点を通る正弦曲線となる。
(2) 証明は解答の通り。
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