数学2 面積・接線 問題 7 解説

方針・初手
2つの曲線(1)と(2)は互いに $x$ と $y$ を入れ替えた形をしており、直線 $y=x$ に関して対称である。まず、それぞれの式から導関数を求め、原点における接線の傾きが一致するという条件を立式して $a$ の値を求める。面積を求める際は、対称性を利用して直線 $y=x$ と曲線の間の面積を2倍する方針をとる。その際、曲線どうしの交点が $y=x$ 上にしかないことを論理的に確認する。
解法1
(1) 曲線(1):$y = x^3+x^2+ax$ を $x$ で微分すると
$$y' = 3x^2+2x+a$$
原点 $(0,0)$ は(1)上の点であり、そこでの接線の傾きは $a$ となる。したがって、原点における(1)の接線の方程式は $y=ax$ である。 一方、曲線(2):$x = y^3+y^2+ay$ の両辺を $x$ で微分すると
$$1 = (3y^2+2y+a) y'$$
原点 $(0,0)$ は(2)上の点であり、そこでの接線の傾きを $m$ とすると、$x=0, y=0$ を代入して $1 = am$ が成り立つ。 仮に $a=0$ とすると $1=0$ となり矛盾するため、$a \neq 0$ である。 よって $m = \frac{1}{a}$ となり、(2)の原点における接線の方程式は $y = \frac{1}{a}x$ である。 これらが同一の直線を表すので、$a = \frac{1}{a}$ すなわち $a^2=1$ が成り立つ。 したがって、$a = \pm 1$ である。
(2) 曲線(1)と(2)は直線 $y=x$ に関して対称である。 曲線(1)と直線 $y=x$ の交点の $x$ 座標は、$x^3+x^2+ax = x$ より
$$x^3+x^2+(a-1)x = 0$$
を満たす。
(i) $a=1$ のとき 交点の方程式は $x^3+x^2 = 0$ となり、$x^2(x+1)=0$ より $x=-1, 0$ である。 曲線(1)と(2)の交点が直線 $y=x$ 上にしかないことを示す。 (1)と(2)の式を辺々引くと
$$y-x = x^3-y^3 + x^2-y^2 + x-y$$
$$2(y-x) = (x-y)(x^2+xy+y^2+x+y)$$
$$(x-y)(x^2+xy+y^2+x+y+2) = 0$$
ここで、第2因数について平方完成を行うと
$$x^2+xy+y^2+x+y+2 = \left( y+\frac{x+1}{2} \right)^2 + \frac{3}{4}\left( x+\frac{1}{3} \right)^2 + \frac{5}{3} > 0$$
となるため、$x-y=0$ すなわち $y=x$ 以外に交点をもたない。 区間 $-1 \le x \le 0$ において、(1)と直線 $y=x$ の上下関係を調べると
$$(x^3+x^2+x) - x = x^2(x+1) \ge 0$$
であるから、曲線(1)は $y=x$ の上側にある。 対称性より、求める面積 $S$ はこの区間において(1)と $y=x$ で囲まれた部分の面積の2倍である。
$$S = 2 \int_{-1}^{0} (x^3+x^2) dx = 2 \left[ \frac{x^4}{4} + \frac{x^3}{3} \right]_{-1}^{0} = 2 \left( 0 - \left( \frac{1}{4} - \frac{1}{3} \right) \right) = \frac{1}{6}$$
(ii) $a=-1$ のとき 交点の方程式は $x^3+x^2-2x = 0$ となり、$x(x+2)(x-1)=0$ より $x=-2, 0, 1$ である。 この場合も $y=x$ 以外の交点がないことを確認する。 (1)と(2)の式を辺々引いて整理すると
$$(x-y)(x^2+xy+y^2+x+y) = 0$$
$x^2+xy+y^2+x+y = 0$ と(1)の式 $y = x^3+x^2-x$ を連立する。 左辺を変形して $y$ に代入すると
$$\begin{aligned} x^2+xy+y^2+x+y &= x(x+1) + y(x+y+1) \\ &= x(x+1) + (x^3+x^2-x)(x^3+x^2+1) \\ &= x \{ x+1 + (x^2+x-1)(x^3+x^2+1) \} \\ &= x ( x^5+2x^4+2x ) \\ &= x^2 ( x^4+2x^3+2 ) \end{aligned}$$
関数 $h(x) = x^4+2x^3+2$ とおき微分すると、$h'(x) = 4x^3+6x^2 = 2x^2(2x+3)$ となる。 増減を調べると、$h(x)$ は $x=-\frac{3}{2}$ で最小値 $h\left(-\frac{3}{2}\right) = \frac{5}{16} > 0$ をとるため、$h(x)=0$ を満たす実数解は存在しない。 よって交点は $y=x$ 上のみである。 区間 $-2 \le x \le 0$ において
$$(x^3+x^2-x) - x = x(x+2)(x-1) \ge 0$$
区間 $0 \le x \le 1$ において
$$(x^3+x^2-x) - x = x(x+2)(x-1) \le 0$$
であるから、求める面積 $S$ は対称性を用いて以下のように計算できる。
$$\begin{aligned} S &= 2 \int_{-2}^{0} (x^3+x^2-2x) dx + 2 \int_{0}^{1} \{ x - (x^3+x^2-x) \} dx \\ &= 2 \int_{-2}^{0} (x^3+x^2-2x) dx - 2 \int_{0}^{1} (x^3+x^2-2x) dx \\ &= 2 \left[ \frac{x^4}{4} + \frac{x^3}{3} - x^2 \right]_{-2}^{0} - 2 \left[ \frac{x^4}{4} + \frac{x^3}{3} - x^2 \right]_{0}^{1} \\ &= 2 \left( 0 - \left( 4 - \frac{8}{3} - 4 \right) \right) - 2 \left( \frac{1}{4} + \frac{1}{3} - 1 \right) \\ &= 2 \cdot \frac{8}{3} - 2 \left( -\frac{5}{12} \right) \\ &= \frac{16}{3} + \frac{5}{6} \\ &= \frac{37}{6} \end{aligned}$$
解説
逆関数のグラフに関する対称性と、それらによって囲まれる面積を問う頻出問題である。 (1)においては、それぞれの曲線に対して微分を行い、原点での接線の傾きを比較するだけで容易に $a$ の値を絞り込める。 (2)では、曲線(1)と(2)が直線 $y=x$ について対称であることに着目し、$y=x$ との上下関係のみから面積を求めるのが定石である。ただし、論述においては「交点が直線 $y=x$ 上にしかないこと」を明記する必要がある。(ii)の $a=-1$ の場合における交点の確認は、連立して生じる高次方程式を適切に処理する力が問われる部分であり、差がつきやすい。
答え
(1) $a = 1, -1$
(2) $a=1$ のとき $S = \frac{1}{6}$
(2) $a=-1$ のとき $S = \frac{37}{6}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





