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京都大学 2020年 文系 第1問 解説

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京都大学 2020年 文系 第1問 解説

方針・初手

曲線 $C$ の方程式に含まれる絶対値記号を外すため、$x \geqq 0$ と $x < 0$ で場合分けを行います。 $C$ と直線 $l$ が接するということは、場合分けされたいずれかの放物線と $l$ が接するということです。連立して得られる2次方程式の判別式 $D=0$ を用いて接する条件を立式し、$a$ が負の実数であること、および接点の $x$ 座標が場合分けの条件を満たすことを確認します。 $a$ の値が定まったら、2つのグラフの交点と上下関係を調べ、定積分により面積を計算します。

解法1

曲線 $C: y = |x|x - 3x + 1$ は、$x$ の符号によって以下のように場合分けできる。

(i) $x \geqq 0$ のとき

$C: y = x^2 - 3x + 1$

この部分を $C_1$ とする。

$C_1$ と直線 $l: y = x + a$ が接すると仮定する。

$$ x^2 - 3x + 1 = x + a $$

$$ x^2 - 4x + 1 - a = 0 \quad \cdots ① $$

この2次方程式の判別式を $D_1$ とすると、接するためには $D_1 = 0$ となればよい。

$$ \frac{D_1}{4} = 4 - (1 - a) = 3 + a = 0 $$

よって、$a = -3$

このとき、接点の $x$ 座標は方程式 ① の重解であるから $x = 2$ となる。

これは $x \geqq 0$ を満たし、また $a = -3$ は「$a$ を負の実数とする」という条件も満たしている。

(ii) $x < 0$ のとき

$C: y = -x^2 - 3x + 1$

この部分を $C_2$ とする。

$C_2$ と直線 $l: y = x + a$ が接すると仮定する。

$$ -x^2 - 3x + 1 = x + a $$

$$ x^2 + 4x - 1 + a = 0 \quad \cdots ② $$

この2次方程式の判別式を $D_2$ とすると、接するためには $D_2 = 0$ となればよい。

$$ \frac{D_2}{4} = 4 - (a - 1) = 5 - a = 0 $$

よって、$a = 5$

しかし、これは $a$ が負の実数であることに反するため不適である。

以上より、求める $a$ の値は $a = -3$ である。

次に、$a = -3$ のときの $C$ と $l$ で囲まれた部分の面積 $S$ を求める。

$l: y = x - 3$ である。

まず、$C_2\ (x < 0)$ と $l$ の交点の $x$ 座標を求める。

$$ -x^2 - 3x + 1 = x - 3 $$

$$ x^2 + 4x - 4 = 0 $$

$$ x = \frac{-4 \pm \sqrt{16 + 16}}{2} = -2 \pm 2\sqrt{2} $$

$x < 0$ を満たすのは $x = -2 - 2\sqrt{2}$ である。($-2 + 2\sqrt{2} = 2(\sqrt{2}-1) > 0$ より不適)

$x \geqq 0$ における $C_1$ と $l$ の交点は、接点である $x = 2$ のみである。

また、区間 $-2 - 2\sqrt{2} \leqq x \leqq 2$ において、グラフの上下関係は $C \geqq l$ である。

(例えば $x=0$ のとき $C$ の $y=1$、$l$ の $y=-3$ より $C > l$)

したがって、求める面積 $S$ は

$$ S = \int_{-2-2\sqrt{2}}^{0} \{(-x^2 - 3x + 1) - (x - 3)\}\, dx + \int_{0}^{2} \{(x^2 - 3x + 1) - (x - 3)\}\, dx $$

第1項の積分を計算する。$-x^2 - 4x + 4 = -(x+2)^2 + 8$ と変形して積分すると計算が容易になる。

$$\begin{aligned} \int_{-2-2\sqrt{2}}^{0} (-x^2 - 4x + 4)\, dx &= \int_{-2-2\sqrt{2}}^{0} \{-(x+2)^2 + 8\}\, dx \\ &= \left[-\frac{(x+2)^3}{3} + 8x\right]_{-2-2\sqrt{2}}^{0} \\ &= \left(-\frac{8}{3}\right) - \left(-\frac{(-2\sqrt{2})^3}{3} + 8(-2-2\sqrt{2})\right) \\ &= -\frac{8}{3} - \left(\frac{16\sqrt{2}}{3} - 16 - 16\sqrt{2}\right) \\ &= -\frac{8}{3} - \frac{16\sqrt{2}}{3} + 16 + 16\sqrt{2} \\ &= \frac{-8 - 16\sqrt{2} + 48 + 48\sqrt{2}}{3} \\ &= \frac{40 + 32\sqrt{2}}{3} \end{aligned}$$

第2項の積分を計算する。

$$\begin{aligned} \int_{0}^{2} (x^2 - 4x + 4)\, dx &= \int_{0}^{2} (x-2)^2\, dx \\ &= \left[\frac{(x-2)^3}{3}\right]_{0}^{2} \\ &= 0 - \left(-\frac{8}{3}\right) = \frac{8}{3} \end{aligned}$$

これらを足し合わせて、

$$ S = \frac{40 + 32\sqrt{2}}{3} + \frac{8}{3} = \frac{48 + 32\sqrt{2}}{3} = \frac{16(3 + 2\sqrt{2})}{3} $$

解説

絶対値を含む関数のグラフと直線の接する条件、および囲まれた図形の面積を求める標準的な問題です。

グラフが接する条件を考える際、「どちらの区間のグラフと接するか」で場合分けを行い、得られた解が前提条件(接点の $x$ 座標がその区間にあるか、$a < 0$ を満たすか)をクリアしているかを必ずチェックする必要があります。

積分の計算では、被積分関数が $-(x-\alpha)(x-\beta)$ の形になっていないため $\dfrac{1}{6}$ 公式は直接使えません。しかし、$(x+a)^2$ の形に平方完成して積分する工夫を行うことで、代入時の計算ミスを大幅に減らすことができます。

答え

$$ a = -3, \quad S = \frac{16(3 + 2\sqrt{2})}{3} $$

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