数学2 面積・接線 問題 64 解説

方針・初手
放物線上の点における接線の方程式を立て、それが点 $\text{A}(0, -9)$ を通るという条件から接点の座標を求めるのが第一歩である。
(1) 2つの接線と放物線で囲まれる面積は、定積分を用いて計算する。接点の $x$ 座標の中点が交点の $x$ 座標と一致することを利用すると、被積分関数が完全平方式になり計算が容易になる。
(2) 2つの半直線のなす角が $45^\circ$ であるという条件を立式する。ベクトルの内積を用いる方法と、直線の傾きからタンジェントの加法定理を用いる方法が考えられる。ただし、2つの「直線」のなす角と2つの「半直線」のなす角の違いに注意し、なす角が鋭角であるための条件を見落とさないようにする必要がある。
解法1
(1) 放物線 $C: y = x^2 - ax$ について、微分すると $y' = 2x - a$ である。 放物線 $C$ 上の点 $(t, t^2 - at)$ における接線の方程式は、
$$y - (t^2 - at) = (2t - a)(x - t)$$
すなわち、
$$y = (2t - a)x - t^2$$
と表される。 この接線が点 $\text{A}(0, -9)$ を通るので、代入して、
$$-9 = -t^2$$
これを解くと $t = \pm 3$ となる。 点 $\text{P}$ の $x$ 座標の方が点 $\text{Q}$ の $x$ 座標より大きいという条件から、点 $\text{P}$ の $x$ 座標は $3$、点 $\text{Q}$ の $x$ 座標は $-3$ である。 したがって、それぞれの接線 $l, m$ の方程式は以下のようになる。
接線 $l$ (接点 $\text{P}$ の $x$ 座標が $3$):
$$y = (6 - a)x - 9$$
接線 $m$ (接点 $\text{Q}$ の $x$ 座標が $-3$):
$$y = (-6 - a)x - 9$$
求める面積を $S$ とすると、積分区間 $[-3, 0]$ では放物線と接線 $m$ の間の面積、積分区間 $[0, 3]$ では放物線と接線 $l$ の間の面積となる。 よって、面積 $S$ は次のように計算できる。
$$\begin{aligned} S &= \int_{-3}^{0} \{ (x^2 - ax) - ( (-6 - a)x - 9 ) \} dx + \int_{0}^{3} \{ (x^2 - ax) - ( (6 - a)x - 9 ) \} dx \\ &= \int_{-3}^{0} (x^2 + 6x + 9) dx + \int_{0}^{3} (x^2 - 6x + 9) dx \\ &= \int_{-3}^{0} (x + 3)^2 dx + \int_{0}^{3} (x - 3)^2 dx \\ &= \left[ \frac{(x + 3)^3}{3} \right]_{-3}^{0} + \left[ \frac{(x - 3)^3}{3} \right]_{0}^{3} \\ &= \frac{27}{3} - 0 + 0 - \left( -\frac{27}{3} \right) \\ &= 9 + 9 \\ &= 18 \end{aligned}$$
(2) 接点 $\text{P}$ と $\text{Q}$ の座標はそれぞれ $\text{P}(3, 9 - 3a)$, $\text{Q}(-3, 9 + 3a)$ である。 点 $\text{A}(0, -9)$ を始点とするベクトル $\vec{\text{AP}}$ と $\vec{\text{AQ}}$ は、
$$\vec{\text{AP}} = (3, (9 - 3a) - (-9)) = (3, 18 - 3a) = 3(1, 6 - a)$$
$$\vec{\text{AQ}} = (-3, (9 + 3a) - (-9)) = (-3, 18 + 3a) = 3(-1, 6 + a)$$
となる。 $\angle\text{PAQ} = 45^\circ$ であるから、内積の定義により以下の関係が成り立つ。
$$\vec{\text{AP}} \cdot \vec{\text{AQ}} = |\vec{\text{AP}}| |\vec{\text{AQ}}| \cos 45^\circ$$
ここで、それぞれの成分を計算する。
$$\vec{\text{AP}} \cdot \vec{\text{AQ}} = 3 \times (-3) + (18 - 3a)(18 + 3a) = -9 + 324 - 9a^2 = 9(35 - a^2)$$
$$|\vec{\text{AP}}| = 3\sqrt{1^2 + (6 - a)^2} = 3\sqrt{a^2 - 12a + 37}$$
$$|\vec{\text{AQ}}| = 3\sqrt{(-1)^2 + (6 + a)^2} = 3\sqrt{a^2 + 12a + 37}$$
$\cos 45^\circ = \frac{1}{\sqrt{2}} > 0$ であり、$|\vec{\text{AP}}| > 0, |\vec{\text{AQ}}| > 0$ であるから、内積 $\vec{\text{AP}} \cdot \vec{\text{AQ}}$ は正でなければならない。 すなわち、
$$9(35 - a^2) > 0 \implies a^2 < 35$$
が満たすべき条件となる。 内積の式に代入して整理する。
$$9(35 - a^2) = 9\sqrt{a^2 - 12a + 37} \sqrt{a^2 + 12a + 37} \times \frac{1}{\sqrt{2}}$$
両辺を $9$ で割り、さらに2乗して整理する。
$$\begin{aligned} (35 - a^2)^2 &= \frac{1}{2} (a^2 - 12a + 37)(a^2 + 12a + 37) \\ 2(a^4 - 70a^2 + 1225) &= (a^2 + 37)^2 - (12a)^2 \\ 2a^4 - 140a^2 + 2450 &= a^4 + 74a^2 + 1369 - 144a^2 \\ 2a^4 - 140a^2 + 2450 &= a^4 - 70a^2 + 1369 \\ a^4 - 70a^2 + 1081 &= 0 \end{aligned}$$
左辺を因数分解する。
$$(a^2 - 23)(a^2 - 47) = 0$$
よって、$a^2 = 23$ または $a^2 = 47$ である。 ここで、条件 $a^2 < 35$ より、$a^2 = 47$ は不適となる。 したがって、$a^2 = 23$ であり、求める $a$ の値は以下のようになる。
$$a = \pm \sqrt{23}$$
解法2
(2)のみ別解
直線 $l$ の傾きを $m_1$、直線 $m$ の傾きを $m_2$ とすると、(1)より $m_1 = 6 - a$、$m_2 = -6 - a$ である。 これら2直線のなす鋭角を $\theta$ とすると、タンジェントの加法定理により、
$$\tan \theta = \left| \frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2} \right|$$
が成り立つ。$\angle\text{PAQ} = 45^\circ$ であるためには、少なくとも2直線 $l, m$ のなす鋭角が $45^\circ$ である必要がある。 よって、$\tan 45^\circ = 1$ より、
$$\begin{aligned} 1 &= \left| \frac{(6 - a) - (-6 - a)}{1 + (6 - a)(-6 - a)} \right| \\ 1 &= \left| \frac{12}{1 - (36 - a^2)} \right| \\ 1 &= \left| \frac{12}{a^2 - 35} \right| \end{aligned}$$
絶対値を外すと、
$$\frac{12}{a^2 - 35} = \pm 1$$
となる。
(i) $\frac{12}{a^2 - 35} = 1$ のとき
$$a^2 - 35 = 12 \implies a^2 = 47$$
(ii) $\frac{12}{a^2 - 35} = -1$ のとき
$$a^2 - 35 = -12 \implies a^2 = 23$$
ここで求めた $a^2 = 47, 23$ は、「直線」$l$ と $m$ が $45^\circ$ で交わるための条件である。 しかし、問題で指定されているのは「半直線」$\text{AP}$ と $\text{AQ}$ のなす角 $\angle\text{PAQ}$ が $45^\circ$(鋭角)になることである。 ベクトル $\vec{\text{AP}}$ と $\vec{\text{AQ}}$ の内積は、解法1の通り、
$$\vec{\text{AP}} \cdot \vec{\text{AQ}} = 9(35 - a^2)$$
である。$\angle\text{PAQ}$ が鋭角であるためには、内積が正でなければならない。 よって、
$$35 - a^2 > 0 \implies a^2 < 35$$
が必要となる。 $a^2 = 47$ のときはこの条件を満たさず、$\angle\text{PAQ} = 135^\circ$ となってしまうため不適である。 $a^2 = 23$ のときはこの条件を満たす。 したがって、求める $a$ の値は以下の通りである。
$$a = \pm \sqrt{23}$$
解説
(1) は放物線とその2接線で囲まれる面積の基本問題である。接点の $x$ 座標が $\alpha, \beta$ のとき、2接線の交点の $x$ 座標が $\frac{\alpha + \beta}{2}$ となる性質を知っていると、積分区間の設定や被積分関数が完全平方式になることの見通しが立ちやすい。
(2) は「2直線のなす角」と「2つの半直線のなす角」の違いに気づけるかが最大のポイントである。タンジェントの加法定理を用いると計算は比較的楽だが、求まるのはあくまで「直線のなす角」であるため、最後にそれが「線分 $\text{AP}, \text{AQ}$ のなす角」として妥当か(内積が正になるか)を確認しなければならない。最初からベクトルを用いて内積の定義式を立てれば、この条件を見落とすリスクは減るが、計算量がやや多くなる。
答え
(1) $18$
(2) $a = \pm \sqrt{23}$
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