数学2 面積・接線 問題 68 解説

方針・初手
(1) 絶対値記号を外すため、絶対値の中の式の符号で場合分けをして曲線 $C$ の方程式を求める。次に直線 $\ell$ の方程式と連立し、原点以外の共有点の $x$ 座標を求める。それらが場合分けの条件を満たし、かつ互いに異なり、さらに $0$ でないという条件から $m$ の範囲を絞る。
(2) (1)で求めた $x$ 座標の大小関係から、2つの図形がどの区間に存在するのかを把握する。「2つの図形の面積が等しい」という条件は、2つの共有点間で上下が入れ替わることを利用し、「端から端まで一方から他方を引いた関数の定積分が $0$ になる」と言い換えることができる。この性質を利用して計算量を減らす。
解法1
(1)
曲線 $C: y = |x^2 - 5x| - 2x$ 絶対値の中身の符号で場合分けを行う。
(i) $x^2 - 5x \ge 0$ すなわち $x \le 0, 5 \le x$ のとき
$$y = (x^2 - 5x) - 2x = x^2 - 7x$$
(ii) $x^2 - 5x < 0$ すなわち $0 < x < 5$ のとき
$$y = -(x^2 - 5x) - 2x = -x^2 + 3x$$
直線 $\ell: y = (m - 7)x$ は原点を通る。 $C$ と $\ell$ の共有点の $x$ 座標は、次の方程式の解である。
(i) $x \le 0, 5 \le x$ のとき
$$x^2 - 7x = (m - 7)x$$
$$x^2 - mx = 0$$
$$x(x - m) = 0$$
よって、$x = 0, m$。 $x = m$ が共有点となる条件は、$m \le 0$ または $5 \le m$ である。
(ii) $0 < x < 5$ のとき
$$-x^2 + 3x = (m - 7)x$$
$$x^2 + (m - 10)x = 0$$
$$x(x + m - 10) = 0$$
よって、$x = 0, 10 - m$。 $x = 10 - m$ が共有点となる条件は、$0 < 10 - m < 5$ より $5 < m < 10$ である。
$C$ と $\ell$ が原点以外に2つの共有点をもつのは、(i)と(ii)でそれぞれ原点以外の共有点を1つずつもち、それらが一致しないときである。 (i)における原点以外の共有点の $x$ 座標は $m$、(ii)における原点以外の共有点の $x$ 座標は $10 - m$ である。 これらが同時に存在するための条件は、$(m \le 0 \text{ または } 5 \le m) \text{ かつ } 5 < m < 10$ すなわち
$$5 < m < 10$$
このとき、$m$ と $10 - m$ が異なることを確認する。 $m = 10 - m$ とすると $m = 5$ となるが、これは $5 < m < 10$ を満たさないため、2つの共有点は常に異なる。 したがって、求める $m$ の値の範囲は
$$5 < m < 10$$
(2)
(1)より、$5 < m < 10$ であるから、原点以外の2つの共有点の $x$ 座標 $10 - m$ と $m$ の大小関係は、$0 < 10 - m < 5 < m$ となる。 したがって、3つの共有点の $x$ 座標は $x = 0, 10 - m, m$ の順に並ぶ。
区間 $0 < x < 10 - m$ では、
$$(-x^2 + 3x) - (m - 7)x = -x^2 + (10 - m)x = x(10 - m - x) > 0$$
より、$C$ が $\ell$ の上側にある。 区間 $10 - m < x < m$ では、$C$ は $x = 5$ を境に式が変わるが、連続な曲線であり、この区間内に $\ell$ との共有点はないため、常に $\ell$ が $C$ の上側にある。
曲線 $C$ の方程式を $y = f(x)$ とする。 $C$ と $\ell$ で囲まれた2つの部分の面積をそれぞれ $S_1, S_2$ とすると、
$$S_1 = \int_{0}^{10-m} \{f(x) - (m - 7)x\} \,dx$$
$$S_2 = \int_{10-m}^{m} \{(m - 7)x - f(x)\} \,dx$$
条件より $S_1 = S_2$ であるから、$S_1 - S_2 = 0$ より
$$\int_{0}^{10-m} \{f(x) - (m - 7)x\} \,dx - \int_{10-m}^{m} \{(m - 7)x - f(x)\} \,dx = 0$$
$$\int_{0}^{10-m} \{f(x) - (m - 7)x\} \,dx + \int_{10-m}^{m} \{f(x) - (m - 7)x\} \,dx = 0$$
積分区間を結合すると、
$$\int_{0}^{m} \{f(x) - (m - 7)x\} \,dx = 0$$
が成り立つ。 左辺の定積分を、関数 $f(x)$ の式が切り替わる $x = 5$ を境に区間 $[0, 5]$ と $[5, m]$ に分けて計算する。
$$\int_{0}^{5} \{(-x^2 + 3x) - (m - 7)x\} \,dx + \int_{5}^{m} \{(x^2 - 7x) - (m - 7)x\} \,dx = 0$$
$$\int_{0}^{5} (-x^2 + (10 - m)x) \,dx + \int_{5}^{m} (x^2 - mx) \,dx = 0$$
それぞれの積分を計算すると、
$$\left[ -\frac{1}{3}x^3 + \frac{10 - m}{2}x^2 \right]_{0}^{5} + \left[ \frac{1}{3}x^3 - \frac{m}{2}x^2 \right]_{5}^{m} = 0$$
$$\left(-\frac{125}{3} + \frac{25(10 - m)}{2}\right) + \left\{ \left(\frac{1}{3}m^3 - \frac{1}{2}m^3\right) - \left(\frac{125}{3} - \frac{25m}{2}\right) \right\} = 0$$
整理すると、
$$-\frac{125}{3} + 125 - \frac{25}{2}m - \frac{1}{6}m^3 - \frac{125}{3} + \frac{25}{2}m = 0$$
$$-\frac{250}{3} + 125 - \frac{1}{6}m^3 = 0$$
$$\frac{125}{3} - \frac{1}{6}m^3 = 0$$
$$m^3 = 250$$
$m$ は実数であるから、
$$m = \sqrt[3]{250} = 5\sqrt[3]{2}$$
$1 < 2 < 8$ より $1 < \sqrt[3]{2} < 2$ であるから、$5 < 5\sqrt[3]{2} < 10$ となり、これは(1)の条件 $5 < m < 10$ を満たす。
解説
絶対値を含む関数のグラフと直線の共有点・面積に関する標準的な問題である。 (1)は、絶対値記号の中身の符号で場合分けをして方程式を解き、それぞれの解が場合分けの条件(定義域)を満たすかを考える。原点「以外」の共有点が「2つ」であるための条件を整理し、解が互いに一致しないことの確認も忘れないようにしたい。 (2)は、そのまま面積 $S_1, S_2$ を求めて等号で結ぶと、定積分の計算量が多くなりミスを誘発しやすい。「2つの図形の面積が等しい」という条件は、「交点をまたぐ両端までの、一方の関数から他方の関数を引いた定積分の値が $0$ になる」と言い換えることができる。この積分の相殺を利用することで、中間にある交点 $x = 10 - m$ を定積分の計算に組み込まずに済み、計算量を大幅に削減できる。
答え
(1) $5 < m < 10$
(2) $m = 5\sqrt[3]{2}$
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