数学2 面積・接線 問題 76 解説

方針・初手
- (1)は微分して増減表を作り、極値と $y$ 切片などの主要な点を確認してグラフの概形を把握する。
- (2)は「接点をおく」という接線問題の基本方針に従う。原点を通る条件から接点の $x$ 座標についての3次方程式を導き、実数解がただ1つであることを示す。
- (3)は(2)で求めた接線と曲線の交点を求め、上下関係を把握してから定積分を計算する。その際、交点の1つが接点であることを利用すると計算の見通しが良くなる。
解法1
(1)
曲線 $C$ の方程式 $y = x^3 - 4x^2 + 5x - 6$ について、$f(x) = x^3 - 4x^2 + 5x - 6$ とおく。
関数 $f(x)$ を $x$ で微分すると、
$$f'(x) = 3x^2 - 8x + 5 = (3x - 5)(x - 1)$$
$f'(x) = 0$ となる $x$ の値は $x = 1, \frac{5}{3}$ である。これより、$f(x)$ の増減表は次のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ | $\frac{5}{3}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
極大値は $f(1) = 1^3 - 4 \cdot 1^2 + 5 \cdot 1 - 6 = -4$
極小値は $f\left(\frac{5}{3}\right) = \left(\frac{5}{3}\right)^3 - 4 \left(\frac{5}{3}\right)^2 + 5 \left(\frac{5}{3}\right) - 6 = \frac{125}{27} - \frac{100}{9} + \frac{25}{3} - 6 = -\frac{112}{27}$
また、$y$ 切片は $f(0) = -6$ である。さらに $f(3) = 27 - 36 + 15 - 6 = 0$ より $x$ 軸と点 $(3, 0)$ で交わる。
したがって、曲線 $C$ は点 $(1, -4)$ で極大、点 $\left(\frac{5}{3}, -\frac{112}{27}\right)$ で極小となり、$y$ 軸と $(0, -6)$ で交わる、右上がりの3次関数曲線となる。
(2)
曲線 $C$ 上の点を $(t, t^3 - 4t^2 + 5t - 6)$ とおく。
この点における接線の傾きは $3t^2 - 8t + 5$ であるから、接線の方程式は次のように表される。
$$y - (t^3 - 4t^2 + 5t - 6) = (3t^2 - 8t + 5)(x - t)$$
この接線が原点 $(0, 0)$ を通るため、$x = 0, y = 0$ を代入する。
$$0 - (t^3 - 4t^2 + 5t - 6) = (3t^2 - 8t + 5)(0 - t)$$
$$-t^3 + 4t^2 - 5t + 6 = -3t^3 + 8t^2 - 5t$$
$$2t^3 - 4t^2 + 6 = 0$$
$$t^3 - 2t^2 + 3 = 0$$
左辺を $P(t)$ とおくと、$P(-1) = -1 - 2 + 3 = 0$ であるから、$P(t)$ は $t+1$ を因数にもつ。因数分解すると、
$$(t + 1)(t^2 - 3t + 3) = 0$$
ここで、$t^2 - 3t + 3 = \left(t - \frac{3}{2}\right)^2 + \frac{3}{4} > 0$ であるから、$t^2 - 3t + 3 = 0$ は実数解をもたない。
したがって、上記の方程式を満たす実数 $t$ は $t = -1$ のただ1つである。これは、原点を通る $C$ の接線がただ1つであることを示している。
接点の座標は、求めた $t = -1$ を $(t, t^3 - 4t^2 + 5t - 6)$ に代入して、
$$x = -1$$
$$y = (-1)^3 - 4(-1)^2 + 5(-1) - 6 = -16$$
よって、接点の座標は $(-1, -16)$ である。
また、接線の傾きは $3(-1)^2 - 8(-1) + 5 = 16$ となり、原点を通るため、接線の方程式は
$$y = 16x$$
(3)
曲線 $C$ と (2) で求めた接線の交点の $x$ 座標を求める。
$$x^3 - 4x^2 + 5x - 6 = 16x$$
$$x^3 - 4x^2 - 11x - 6 = 0$$
この方程式は $x = -1$ を重解にもつ($x=-1$ で接するため)ので、左辺は $(x+1)^2$ を因数にもつ。
$$(x+1)^2(x-6) = 0$$
よって、交点の $x$ 座標は $x = -1$ (接点)と $x = 6$ である。
区間 $-1 \leqq x \leqq 6$ において、$(x+1)^2 \geqq 0$ かつ $x-6 \leqq 0$ であるから、$(x+1)^2(x-6) \leqq 0$ となる。
すなわち、$x^3 - 4x^2 + 5x - 6 \leqq 16x$ であり、この区間では接線 $y = 16x$ が曲線 $C$ の上側(または境界上)にある。
求める面積を $S$ とすると、
$$S = \int_{-1}^{6} \left\{ 16x - (x^3 - 4x^2 + 5x - 6) \right\} dx$$
$$S = \int_{-1}^{6} (-x^3 + 4x^2 + 11x + 6) dx$$
ここで、被積分関数は $-(x+1)^2(x-6)$ と因数分解できることを利用する。
$$S = \int_{-1}^{6} -(x+1)^2(x-6) dx$$
$$S = \int_{-1}^{6} (x+1)^2(6-x) dx$$
定積分の公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2 (\beta-x) dx = \frac{(\beta-\alpha)^4}{12}$ を用いると、
$$S = \frac{ \{ 6 - (-1) \}^4 }{12} = \frac{7^4}{12} = \frac{2401}{12}$$
解説
微積分を用いた関数の増減の把握、接線の方程式の導出、定積分による面積計算という、数学IIにおける微分積分の標準的かつ総合的な問題である。
(2) では「曲線外の点から引いた接線」を求めるための定石である「接点の座標を文字でおいて接線の方程式を立て、それが与えられた点を通るという条件から文字の値を決定する」という方針を確実に実行する。方程式を解く過程で、因数定理を用いて実数解が1つしかないことを論理的に示す記述が求められる。
(3) の面積計算においては、3次曲線と接線で囲まれた図形の面積を求める際によく用いられる公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2(\beta-x)dx = \frac{(\beta-\alpha)^4}{12}$ を活用することで、多項式の展開や各項の積分計算といった煩雑な手順を省略できる。これにより、計算時間を短縮するとともに計算ミスのリスクを大幅に軽減できる。展開して計算しても正答には辿り着くが、工夫によって計算量に大きな差が生じる場面である。
答え
(1) 増減表より、極大値 $-4$ $(x=1)$、極小値 $-\frac{112}{27}$ $\left(x=\frac{5}{3}\right)$ をもち、$y$ 軸と $(0, -6)$ で交わる概形となる(作図は省略)。
(2) 証明は解答の通り。接点の座標は $(-1, -16)$、接線の方程式は $y = 16x$
(3) $\frac{2401}{12}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





