数学2 面積・接線 問題 84 解説

方針・初手
(1) 直線 $\ell$ の方程式を $a$ について整理し、$a$ についての恒等式となる条件を考える。
(2) 曲線 $C$ と直線 $\ell$ の方程式を連立し、交点の $x$ 座標を求める3次方程式を作成する。(1)で求めた定点Pの $x$ 座標が解の一つになることを利用して因数分解し、異なる3つの実数解をもつ条件を2次方程式の判別式と解の条件に帰着させる。
(3) (2)で現れた2次方程式の2つの解と、$x=2$ の大小関係を把握する。問題文の「$\ell$ の上方にある部分」とは、曲線 $C$ が直線 $\ell$ より上側($y$ 座標が大きい側)にある区間を指す。該当する区間を特定し、定積分を計算して $a$ の値を求める。定積分の計算では、解と係数の関係や積分公式を工夫して用いると見通しが良くなる。
解法1
(1) 直線 $\ell$ の方程式 $y = ax - 2a + 1$ を $a$ について整理すると、以下のようになる。
$$a(x-2) - (y-1) = 0$$
この等式が $a$ の値にかかわらず成り立つための条件は、
$$x-2 = 0 \quad \text{かつ} \quad y-1 = 0$$
したがって、$x=2, y=1$ となり、定点Pの座標は $(2, 1)$ である。
(2) $\ell$ と $C$ の交点の $x$ 座標は、方程式 $x^3 - 4x + 1 = ax - 2a + 1$ の実数解である。整理すると、
$$x^3 - (a+4)x + 2a = 0$$
(1)より、直線 $\ell$ は $a$ にかかわらず点 $(2, 1)$ を通り、曲線 $C$ も $x=2$ のとき $y = 8 - 8 + 1 = 1$ となるため、点 $(2, 1)$ は交点の一つである。よって $x=2$ は上記の3次方程式の解であり、左辺を因数分解すると、
$$(x-2)(x^2 + 2x - a) = 0$$
$\ell$ と $C$ が異なる3点で交わるためには、2次方程式 $x^2 + 2x - a = 0$ が異なる2つの実数解を持ち、かつその解が $x=2$ でないことが必要十分条件である。 $x^2 + 2x - a = 0$ の判別式を $D$ とすると、
$$\frac{D}{4} = 1^2 - (-a) = a + 1 > 0 \quad \therefore a > -1$$
また、$x=2$ が解にならない条件は、
$$2^2 + 2\cdot 2 - a \neq 0 \quad \therefore a \neq 8$$
したがって、求める条件は $a > -1$ かつ $a \neq 8$ である。
(3) $0 < a < 4$ のとき、(2)の条件を満たす。$x^2 + 2x - a = 0$ の2つの解を $\alpha, \beta \ (\alpha < \beta)$ とすると、解の公式より
$$\alpha = -1 - \sqrt{a+1}, \quad \beta = -1 + \sqrt{a+1}$$
ここで $0 < a < 4$ であるから、$1 < \sqrt{a+1} < \sqrt{5}$ となり、
$$-2 < \alpha < -1 - \sqrt{5}, \quad 0 < \beta < -1 + \sqrt{5} < 2$$
よって、3つの交点の $x$ 座標の大小関係は $\alpha < \beta < 2$ となる。 $C$ と $\ell$ の位置関係を調べるため、差の関数 $g(x) = (x^3 - 4x + 1) - (ax - 2a + 1)$ を考える。
$$g(x) = x^3 - (a+4)x + 2a = (x-\alpha)(x-\beta)(x-2)$$
$g(x)$ の符号は、$\alpha < x < \beta$ において $g(x) > 0$ であり、$\beta < x < 2$ において $g(x) < 0$ である。「$\ell$ の上方にある部分」とは、$C$ が $\ell$ より上側にある部分であるため、$g(x) \geqq 0$ を満たす区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ が該当する。この部分の面積を $S$ とすると、
$$S = \int_{\alpha}^{\beta} \{ x^3 - (a+4)x + 2a \} dx = \left[ \frac{1}{4}x^4 - \frac{a+4}{2}x^2 + 2ax \right]_{\alpha}^{\beta}$$
$$= \frac{1}{4}(\beta^4 - \alpha^4) - \frac{a+4}{2}(\beta^2 - \alpha^2) + 2a(\beta - \alpha)$$
$$= (\beta - \alpha) \left\{ \frac{1}{4}(\beta + \alpha)(\beta^2 + \alpha^2) - \frac{a+4}{2}(\beta + \alpha) + 2a \right\}$$
解と係数の関係より、$\alpha + \beta = -2$、$\alpha\beta = -a$ である。これを用いて $\beta^2 + \alpha^2 = (\alpha + \beta)^2 - 2\alpha\beta = 4 + 2a$ を代入すると、
$$S = (\beta - \alpha) \left\{ \frac{1}{4}(-2)(2a+4) - \frac{a+4}{2}(-2) + 2a \right\}$$
$$= (\beta - \alpha) \{ -(a+2) + (a+4) + 2a \} = 2(a+1)(\beta - \alpha)$$
ここで $\beta - \alpha = 2\sqrt{a+1}$ であるから、
$$S = 2(a+1) \cdot 2\sqrt{a+1} = 4(a+1)^{\frac{3}{2}}$$
これが $\frac{27}{2}$ と等しいから、
$$4(a+1)^{\frac{3}{2}} = \frac{27}{2}$$
$$(a+1)^{\frac{3}{2}} = \frac{27}{8} = \left( \frac{3}{2} \right)^3$$
$$a+1 = \frac{9}{4}$$
$$a = \frac{5}{4}$$
これは $0 < a < 4$ を満たす。
解法2
(3)の面積計算において、積分を以下のようにも計算できる。
$$S = \int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta)(x-2) dx$$
被積分関数の $x-2$ を $(x-\beta) + (\beta-2)$ と変形すると、
$$(x-\alpha)(x-\beta)(x-2) = (x-\alpha)(x-\beta)^2 + (\beta-2)(x-\alpha)(x-\beta)$$
これを積分すると、
$$S = \int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta)^2 dx + (\beta-2) \int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta) dx$$
$$= \frac{1}{12}(\beta-\alpha)^4 + (\beta-2) \left\{ -\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3 \right\}$$
$$= \frac{1}{12}(\beta-\alpha)^3 \{ (\beta-\alpha) - 2(\beta-2) \}$$
$$= \frac{1}{12}(\beta-\alpha)^3 (4 - \alpha - \beta)$$
解と係数の関係 $\alpha + \beta = -2$ を代入して、
$$S = \frac{1}{12}(\beta-\alpha)^3 (4 - (-2)) = \frac{1}{2}(\beta-\alpha)^3$$
$\beta - \alpha = 2\sqrt{a+1}$ より、
$$S = \frac{1}{2} (2\sqrt{a+1})^3 = 4(a+1)^{\frac{3}{2}}$$
これ以降は解法1と同様にして $a$ を求めることができる。
解説
(3)において、「$\ell$ の上方にある部分」という表現の解釈が最大のポイントである。$\ell$ と $C$ で囲まれた2つの図形のうち、$\ell$ 自体が上に位置する図形ではなく、「$\ell$ よりも上側にある図形(すなわち $C$ の方が上にある図形)」を指すことに注意が必要である。 また、文字を含む面積計算では、交点の $x$ 座標を直接代入して計算すると非常に煩雑になる。解法1のように対称式を利用して次数を下げて因数分解するか、解法2のように平行移動や展開の工夫をして面積公式(いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式の派生)に持ち込むことで、計算ミスを大幅に防ぐことができる。
答え
(1) $(2, 1)$
(2) $a > -1 \text{ かつ } a \neq 8$
(3) $a = \frac{5}{4}$
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