数学2 面積・接線 問題 85 解説

方針・初手
(1) は与えられた2点の座標から直線の方程式を求める。 (2) は導関数の図形的な意味、すなわち接線の傾きが微分係数に一致することを利用する。 (3) は $f(x)$ を微分し、点 $\text{O}(0, 0)$ および点 $\text{A}(1, 1)$ を通ることと、(2) で求めた微分係数の値を用いて未定係数 $a, b, c$ を決定する。 (4) は2つの接線と3次関数のグラフの上下関係を調べ、定積分を用いて面積を計算する。愚直に積分区間を分けて計算する方法と、三角形の面積を利用して計算を簡略化する方法がある。
解法1
(1) 点 $\text{O}(0, 0)$ と点 $\text{P}\left(\frac{1}{3}, r\right)$ を通る直線 $\text{OP}$ の方程式は、傾きが $\frac{r - 0}{\frac{1}{3} - 0} = 3r$ であるから、
$$y = 3rx$$
点 $\text{P}\left(\frac{1}{3}, r\right)$ と点 $\text{A}(1, 1)$ を通る直線 $\text{PA}$ の方程式は、傾きが $\frac{1 - r}{1 - \frac{1}{3}} = \frac{3(1 - r)}{2}$ であるから、
$$y - 1 = \frac{3(1 - r)}{2}(x - 1)$$
これを整理して、
$$y = \frac{3(1 - r)}{2}x + \frac{3r - 1}{2}$$
(2) 直線 $\text{OP}$ は $x = 0$ における曲線 $y = f(x)$ の接線であるから、その傾きは $f'(0)$ に等しい。
$$f'(0) = 3r$$
直線 $\text{PA}$ は $x = 1$ における曲線 $y = f(x)$ の接線であるから、その傾きは $f'(1)$ に等しい。
$$f'(1) = \frac{3(1 - r)}{2}$$
(3) $f(x) = ax^3 + bx^2 + cx$ より、
$$f'(x) = 3ax^2 + 2bx + c$$
(2) の結果と、$f(x)$ が点 $\text{A}(1, 1)$ を通るという条件から、以下の連立方程式を得る。
$$\begin{cases} f'(0) = c = 3r & \cdots \text{(i)} \\ f(1) = a + b + c = 1 & \cdots \text{(ii)} \\ f'(1) = 3a + 2b + c = \frac{3(1 - r)}{2} & \cdots \text{(iii)} \end{cases}$$
(i) を (ii) に代入すると、
$$a + b + 3r = 1 \iff b = 1 - 3r - a \quad \cdots \text{(iv)}$$
(i), (iv) を (iii) に代入すると、
$$3a + 2(1 - 3r - a) + 3r = \frac{3(1 - r)}{2}$$
$$a + 2 - 3r = \frac{3 - 3r}{2}$$
$$a = \frac{3 - 3r}{2} - 2 + 3r = \frac{3 - 3r - 4 + 6r}{2} = \frac{3r - 1}{2}$$
これを (iv) に代入して $b$ を求める。
$$b = 1 - 3r - \frac{3r - 1}{2} = \frac{2 - 6r - 3r + 1}{2} = \frac{3(1 - 3r)}{2}$$
したがって、
$$a = \frac{3r - 1}{2}, \quad b = \frac{3(1 - 3r)}{2}, \quad c = 3r$$
(4) 求める面積を $S$ とする。直線 $\text{OP}$, $\text{PA}$ と $y = f(x)$ の上下関係を調べる。 $0 \leqq x \leqq \frac{1}{3}$ において、直線 $\text{OP}$ と $f(x)$ の差を計算する。
$$3rx - f(x) = 3rx - (ax^3 + bx^2 + 3rx) = -ax^2 \left( x + \frac{b}{a} \right)$$
ここで、$a = \frac{3r - 1}{2}$, $b = \frac{3 - 9r}{2}$ であるから、$\frac{b}{a} = \frac{3(1 - 3r)}{3r - 1} = -3$ となる。
$$3rx - f(x) = -ax^2(x - 3)$$
$r > \frac{1}{3}$ より $a > 0$ であり、$0 \leqq x \leqq \frac{1}{3}$ において $x - 3 < 0$ であるから、$-ax^2(x - 3) \geqq 0$ となる。 すなわち、この区間では $($直線 $\text{OP}) \geqq f(x)$ である。
次に、$\frac{1}{3} \leqq x \leqq 1$ において、直線 $\text{PA}$ と $f(x)$ の差を計算する。 $x = 1$ で直線 $\text{PA}$ は $f(x)$ と接するため、差は $(x - 1)^2$ を因数に持つ。
$$f(x) - \left( \frac{3(1 - r)}{2}x + \frac{3r - 1}{2} \right) = ax^3 + bx^2 + \frac{9r - 3}{2}x - \frac{3r - 1}{2}$$
$a = \frac{3r - 1}{2}$ を用いて定数項を $-a$ とおくと、この式は $a(x - 1)^3$ と因数分解できることが分かる(展開して係数を比較すると一致する)。 $a > 0$ であり、$\frac{1}{3} \leqq x \leqq 1$ において $x - 1 \leqq 0$ であるから、$a(x - 1)^3 \leqq 0$ となる。 すなわち、この区間では $($直線 $\text{PA}) \geqq f(x)$ である。
以上より、面積 $S$ は次のように求められる。
$$S = \int_0^{\frac{1}{3}} \{3rx - f(x)\} dx + \int_{\frac{1}{3}}^1 \left\{ \left( \frac{3(1 - r)}{2}x + \frac{3r - 1}{2} \right) - f(x) \right\} dx$$
$$S = \int_0^{\frac{1}{3}} -ax^2(x - 3) dx + \int_{\frac{1}{3}}^1 -a(x - 1)^3 dx$$
それぞれの積分を計算する。
$$\int_0^{\frac{1}{3}} (-ax^3 + 3ax^2) dx = a \left[ -\frac{1}{4}x^4 + x^3 \right]_0^{\frac{1}{3}} = a \left( -\frac{1}{324} + \frac{1}{27} \right) = \frac{11}{324}a$$
$$\int_{\frac{1}{3}}^1 -a(x - 1)^3 dx = -a \left[ \frac{1}{4}(x - 1)^4 \right]_{\frac{1}{3}}^1 = -a \left\{ 0 - \frac{1}{4} \left( -\frac{2}{3} \right)^4 \right\} = \frac{4}{81}a = \frac{16}{324}a$$
これらを足し合わせると、
$$S = \frac{11}{324}a + \frac{16}{324}a = \frac{27}{324}a = \frac{1}{12}a$$
$a = \frac{3r - 1}{2}$ を代入して、
$$S = \frac{1}{12} \cdot \frac{3r - 1}{2} = \frac{3r - 1}{24}$$
解法2
(4) の別解 求める面積 $S$ は、3点 $\text{O}(0, 0)$, $\text{P}\left(\frac{1}{3}, r\right)$, $\text{A}(1, 1)$ を頂点とする $\triangle \text{OPA}$ の面積と、直線 $\text{OA}$ と曲線 $y = f(x)$ の間の定積分を用いて工夫して計算することができる。 折れ線 $\text{OPA}$ を表す関数を $y = L(x)$ とすると、$S$ は次のように表せる。
$$S = \int_0^1 \{L(x) - f(x)\} dx = \int_0^1 \{L(x) - x\} dx + \int_0^1 \{x - f(x)\} dx$$
第1項 $\int_0^1 \{L(x) - x\} dx$ は、直線 $\text{OA}$ (方程式 $y = x$)と折れ線 $\text{OPA}$ で囲まれた部分の面積、すなわち $\triangle \text{OPA}$ の面積に等しい。($r > \frac{1}{3}$ より、点 $\text{P}$ は直線 $\text{OA}$ の上側にあるため)
$$\triangle \text{OPA} = \frac{1}{2} \left| 0 \cdot 1 + \frac{1}{3} \cdot 1 + r \cdot 0 - \left( 0 \cdot r + \frac{1}{3} \cdot 0 + 1 \cdot 1 \right) \right| = \frac{1}{2} \left| \frac{1}{3} - r \right|$$
$r > \frac{1}{3}$ より、
$$\triangle \text{OPA} = \frac{1}{2} \left( r - \frac{1}{3} \right) = \frac{3r - 1}{6}$$
次に第2項の積分を計算する。
$$\int_0^1 \{x - f(x)\} dx = \int_0^1 (-ax^3 - bx^2 + (1 - c)x) dx = \left[ -\frac{a}{4}x^4 - \frac{b}{3}x^3 + \frac{1 - c}{2}x^2 \right]_0^1 = -\frac{a}{4} - \frac{b}{3} + \frac{1 - c}{2}$$
$a = \frac{3r - 1}{2}$, $b = \frac{3 - 9r}{2}$, $c = 3r$ を代入する。
$$\int_0^1 \{x - f(x)\} dx = -\frac{3r - 1}{8} - \frac{3 - 9r}{6} + \frac{1 - 3r}{2} = \frac{-3(3r - 1) - 4(3 - 9r) + 12(1 - 3r)}{24}$$
$$= \frac{-9r + 3 - 12 + 36r + 12 - 36r}{24} = \frac{-9r + 3}{24} = -\frac{3r - 1}{8}$$
よって、求める面積 $S$ は、
$$S = \frac{3r - 1}{6} - \frac{3r - 1}{8} = \frac{4(3r - 1) - 3(3r - 1)}{24} = \frac{3r - 1}{24}$$
解説
(3) までは微分の基本的な計算問題である。導関数と接線の傾きの関係を正確に式に落とし込むことができれば難なく解ける。 (4) の面積計算において、直接被積分関数を構成して計算する方法(解法1)は、3次関数と接線の差が $(x - \alpha)^2$ の形を因数に持つ性質を利用すると積分計算が容易になる。特に $x = 1$ における接線との差が $(x - 1)^3$ になることは計算を大幅に楽にする重要な気付きである。 また、面積を「図形の足し引き」として捉え直す視点(解法2)を持てると、複雑な積分計算を避け、計算ミスを減らすことができる。これは図形と方程式の融合問題において非常に有効なテクニックである。
答え
(1)
直線 $\text{OP}$ : $y = 3rx$
直線 $\text{PA}$ : $y = \frac{3(1 - r)}{2}x + \frac{3r - 1}{2}$
(2)
$f'(0) = 3r$
$f'(1) = \frac{3(1 - r)}{2}$
(3)
$a = \frac{3r - 1}{2}$
$b = \frac{3(1 - 3r)}{2}$
$c = 3r$
(4)
$\frac{3r - 1}{24}$
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