数学2 面積・接線 問題 97 解説

方針・初手
(1) グラフの対称性を示すには、対称の中心となる点が原点にくるように平行移動を行い、その関数が奇関数($g(-x) = -g(x)$)になることを示す手法が定石である。 (2) 接線の方程式を微分から立てることも可能だが、「点Aを通る接線」であることを利用し、接点の $x$ 座標を $t$ として因数定理から恒等式を設定する方針が計算上有利である。 (3) (1)で示した対称性を活用する。面積 $S_1$ は片方の面積を求めて2倍し、面積 $S_2$ は四角形が平行四辺形になることに気づけば、容易に計算できる。
解法1
(1) $c = \frac{a+b}{2}$ とおく。 関数 $f(x)$ は以下のように表せる。
$$f(x) = (x-a)(x-c)(x-b)$$
曲線 $y = f(x)$ を $x$ 軸方向に $-c$ だけ平行移動した曲線を $y = g(x)$ とすると、$g(x) = f(x+c)$ である。
$$g(x) = (x+c-a)x(x+c-b)$$
ここで、$c-a = \frac{b-a}{2}$、$c-b = -\frac{b-a}{2}$ であるから、これを代入する。
$$g(x) = \left(x + \frac{b-a}{2}\right)x\left(x - \frac{b-a}{2}\right) = x \left\{ x^2 - \left(\frac{b-a}{2}\right)^2 \right\}$$
このとき、$g(-x)$ を計算すると以下のようになる。
$$g(-x) = -x \left\{ (-x)^2 - \left(\frac{b-a}{2}\right)^2 \right\} = - x \left\{ x^2 - \left(\frac{b-a}{2}\right)^2 \right\} = -g(x)$$
$g(-x) = -g(x)$ が成り立つので、関数 $y=g(x)$ のグラフは原点に関して対称である。 したがって、もとの関数 $y=f(x)$ のグラフは、原点を $x$ 軸方向に $c$ だけ平行移動した点 $\left(\frac{a+b}{2}, 0\right)$ に関して対称であることが示された。
(2) 点 $\text{C}$ は $y=f(x)$ 上の点であり、接線 $\ell_1$ は点 $\text{A}(a, 0)$ を通る。 よって、接線 $\ell_1$ の方程式を $y = m(x-a)$ とおくことができる。 点 $\text{C}$ の $x$ 座標を $t$ ($t \neq a$) とすると、方程式 $f(x) = m(x-a)$ は $x=t$ で重解をもち、$x=a$ を解にもつ。 したがって、次のような恒等式が成立する。
$$f(x) - m(x-a) = (x-a)(x-t)^2$$
$$(x-a)\left(x-\frac{a+b}{2}\right)(x-b) - m(x-a) = (x-a)(x-t)^2$$
$x \neq a$ のとき、両辺を $x-a$ で割って展開すると、
$$\left(x-\frac{a+b}{2}\right)(x-b) - m = (x-t)^2$$
$$x^2 - \left(\frac{a+3b}{2}\right)x + \frac{b(a+b)}{2} - m = x^2 - 2tx + t^2$$
これが $x$ についての恒等式となるため、係数を比較する。
$$2t = \frac{a+3b}{2}$$
$$t^2 = \frac{b(a+b)}{2} - m$$
上の式から、$t = \frac{a+3b}{4}$ と求まる。 点 $\text{C}$ の $y$ 座標は $f(t)$ であるから、代入して計算する。
$$f\left(\frac{a+3b}{4}\right) = \left(\frac{a+3b}{4} - a\right)\left(\frac{a+3b}{4} - \frac{2a+2b}{4}\right)\left(\frac{a+3b}{4} - \frac{4b}{4}\right)$$
$$= \left(\frac{-3a+3b}{4}\right)\left(\frac{-a+b}{4}\right)\left(\frac{a-b}{4}\right)$$
$$= \frac{3(b-a)}{4} \cdot \frac{b-a}{4} \cdot \frac{-(b-a)}{4}$$
$$= -\frac{3}{64}(b-a)^3$$
よって、点 $\text{C}$ の座標は $\left( \frac{a+3b}{4}, -\frac{3}{64}(b-a)^3 \right)$ である。
(3) (1)の対称性より、$y=f(x)$ と $x$ 軸で囲まれる2つの部分の面積は等しい。 計算を簡略化するため、(1)で考えた $y=g(x)$ のグラフを用いて面積 $S_1$ を求める。 $\alpha = \frac{b-a}{2}$ とおくと、$g(x) = x(x^2 - \alpha^2)$ となる。 $a < b$ より $\alpha > 0$ であり、区間 $-\alpha \leqq x \leqq 0$ において $g(x) \geqq 0$ であるから、
$$S_1 = 2 \int_{-\alpha}^0 g(x) dx = 2 \int_{-\alpha}^0 (x^3 - \alpha^2 x) dx$$
$$= 2 \left[ \frac{x^4}{4} - \alpha^2 \frac{x^2}{2} \right]_{-\alpha}^0$$
$$= 2 \left\{ 0 - \left( \frac{\alpha^4}{4} - \frac{\alpha^4}{2} \right) \right\} = 2 \cdot \frac{\alpha^4}{4} = \frac{\alpha^4}{2}$$
$\alpha = \frac{b-a}{2}$ を代入すると、
$$S_1 = \frac{1}{2} \left( \frac{b-a}{2} \right)^4 = \frac{(b-a)^4}{32}$$
次に、四角形 $\text{ACBD}$ の面積 $S_2$ を求める。 (1)の対称性より、点 $\text{D}$ は点 $\text{C}$ と点 $\left(\frac{a+b}{2}, 0\right)$ に関して対称な点である。 線分 $\text{AB}$ の中点が $\left(\frac{a+b}{2}, 0\right)$ であり、これが対角線 $\text{AB}$ と $\text{CD}$ の交点となる。 対角線が互いの中点で交わるため、四角形 $\text{ACBD}$ は平行四辺形である。 したがって、$S_2$ は $\triangle\text{ABC}$ の面積の2倍となる。 底辺を $\text{AB}$ とすると、$\text{AB} = b-a$ である。 高さは点 $\text{C}$ の $y$ 座標の絶対値 $|y_C|$ であり、$a < b$ より $b-a > 0$ だから $|y_C| = \frac{3}{64}(b-a)^3$ となる。
$$S_2 = 2 \times \triangle\text{ABC} = 2 \times \left( \frac{1}{2} \times \text{AB} \times |y_C| \right) = \text{AB} \times |y_C|$$
$$= (b-a) \times \frac{3}{64}(b-a)^3 = \frac{3}{64}(b-a)^4$$
以上より、$S_1$ と $S_2$ の比を計算する。
$$S_1 : S_2 = \frac{1}{32}(b-a)^4 : \frac{3}{64}(b-a)^4 = \frac{2}{64} : \frac{3}{64} = 2 : 3$$
解説
3次関数のグラフの対称性と、接線の性質を組み合わせた標準的な問題である。(1)で示した点 $\left(\frac{a+b}{2}, 0\right)$ は、関数 $y=f(x)$ の変曲点であり、3次関数は必ず自身の変曲点に関して点対称になるという性質を背景としている。 (2)の接線の計算において、微分の公式を用いるよりも、交点条件から恒等式を導く解法の方が圧倒的に計算ミスを防ぎやすい。 (3)では、愚直に積分や多角形の面積計算を行うのではなく、(1)の対称性を図形的な性質(面積の等価性や平行四辺形になること)に還元して考えることが重要である。
答え
(1) 略(解説参照)
(2) $\left( \frac{a+3b}{4}, -\frac{3}{64}(b-a)^3 \right)$
(3) $S_1 : S_2 = 2 : 3$
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