数学2 定積分 問題 18 解説

方針・初手
条件 (A) から定数 $b, c$ を $a$ を用いて表し、関数 $f(x)$ の式を $a$ のみを含む形に決定する。 次に条件 (B) の不等式に $f(x)$ を代入し、$-1 \le x \le 1$ において常に不等式が成立するような $a$ のとりうる範囲を求める。最後に定積分 $I$ を $a$ の式として計算し、$a$ の範囲に基づいて $I$ のとりうる値の範囲を決定する。
解法1
条件 (A) より、$f(-1) = -1$ および $f(1) = 1$ であるから、
$$\begin{cases} a - b + c = -1 \\ a + b + c = 1 \end{cases}$$
この連立方程式を解くと、2式の差から $2b = 2$ すなわち $b=1$ となり、和から $2a + 2c = 0$ すなわち $c = -a$ を得る。 したがって、$f(x)$ は $a$ を用いて次のように表される。
$$f(x) = ax^2 + x - a$$
条件 (B) より、$-1 \le x \le 1$ を満たすすべての $x$ に対して、
$$ax^2 + x - a \le 3x^2 - 1$$
整理して、
$$(3-a)x^2 - x + a - 1 \ge 0$$
が成り立つ。ここで、$g(x) = (3-a)x^2 - x + a - 1$ とおく。
(i) $3-a = 0$ すなわち $a=3$ のとき
$g(x) = -x + 2$ となる。 $-1 \le x \le 1$ において、最小値は $x=1$ のときの $g(1) = 1 > 0$ であるから、常に $g(x) \ge 0$ が成立する。
(ii) $3-a < 0$ すなわち $a>3$ のとき
$g(x)$ は上に凸の 2 次関数である。 区間 $[-1, 1]$ における最小値は両端点のいずれかの値となる。
$$g(-1) = (3-a) \cdot (-1)^2 - (-1) + a - 1 = 3 > 0$$
$$g(1) = (3-a) \cdot 1^2 - 1 + a - 1 = 1 > 0$$
両端点での値がともに正であるため、区間内で常に $g(x) \ge 0$ となり、条件を満たす。
(iii) $3-a > 0$ すなわち $a<3$ のとき
$g(x)$ は下に凸の 2 次関数である。平方完成すると、
$$g(x) = (3-a) \left( x - \frac{1}{2(3-a)} \right)^2 - \frac{1}{4(3-a)} + a - 1$$
軸の方程式は $x = \frac{1}{2(3-a)}$ である。$3-a > 0$ より、軸は常に正($x>0$)である。
(ア) 軸が区間内にあるとき($\frac{1}{2(3-a)} \le 1$)
不等式を解くと $2(3-a) \ge 1$ より $a \le \frac{5}{2}$ となる。 このとき、最小値は頂点の $y$ 座標であるから、
$$-\frac{1}{4(3-a)} + a - 1 \ge 0$$
$3-a > 0$ であるから、両辺に $4(3-a)$ を掛けて整理する。
$$-1 + 4(a-1)(3-a) \ge 0$$
$$4a^2 - 16a + 13 \le 0$$
これを解くと、$\frac{4-\sqrt{3}}{2} \le a \le \frac{4+\sqrt{3}}{2}$ を得る。 ここで $a \le \frac{5}{2}$ との共通範囲をとる。$\frac{4+\sqrt{3}}{2} = 2 + \frac{\sqrt{3}}{2} > 2.5 = \frac{5}{2}$ であるため、
$$\frac{4-\sqrt{3}}{2} \le a \le \frac{5}{2}$$
(イ) 軸が区間外にあるとき($\frac{1}{2(3-a)} > 1$)
条件より $\frac{5}{2} < a < 3$ となる。 このとき、区間 $[-1, 1]$ において $g(x)$ は単調減少であるから、最小値は $g(1)$ となる。
$$g(1) = 1 > 0$$
よって、この範囲の $a$ はすべて条件を満たす。
以上の (i), (ii), (iii) より、条件を満たす $a$ の範囲は $a \ge \frac{4-\sqrt{3}}{2}$ である。 なお、$a \ge \frac{4-\sqrt{3}}{2} = 2 - \frac{\sqrt{3}}{2} > 0$ より、問題文の前提である $a \neq 0$ も満たされる。
次に、定積分 $I$ を計算する。$f'(x) = 2ax + 1$ より、
$$\begin{aligned} I &= \int_{-1}^{1} (2ax+1)^2 dx \\ &= \int_{-1}^{1} (4a^2x^2 + 4ax + 1) dx \end{aligned}$$
積分区間が対称であるため、偶関数と奇関数の性質を用いて計算すると、
$$\begin{aligned} I &= 2 \int_{0}^{1} (4a^2x^2 + 1) dx \\ &= 2 \left[ \frac{4}{3}a^2x^3 + x \right]_{0}^{1} \\ &= \frac{8}{3}a^2 + 2 \end{aligned}$$
ここで、$a \ge \frac{4-\sqrt{3}}{2} > 0$ において、$I$ は $a$ の単調増加関数である。 したがって、$I$ は $a = \frac{4-\sqrt{3}}{2}$ のときに最小となる。 このとき、$a^2$ の値は以下のようになる。
$$\begin{aligned} a^2 &= \left( \frac{4-\sqrt{3}}{2} \right)^2 \\ &= \frac{16 - 8\sqrt{3} + 3}{4} \\ &= \frac{19 - 8\sqrt{3}}{4} \end{aligned}$$
これを $I$ の式に代入する。
$$\begin{aligned} I &\ge \frac{8}{3} \cdot \frac{19 - 8\sqrt{3}}{4} + 2 \\ &= \frac{2(19 - 8\sqrt{3})}{3} + \frac{6}{3} \\ &= \frac{38 - 16\sqrt{3} + 6}{3} \\ &= \frac{44 - 16\sqrt{3}}{3} \end{aligned}$$
解説
条件をすべて文字定数に還元し、不等式が常に成立する条件を導く標準的な問題である。 2次不等式が指定された閉区間で常に成立する条件を処理する際、最高次係数の正負(上に凸か下に凸か、または直線か)と、軸の位置による場合分けを漏れなく行うことが求められる。$x=-1, 1$ の両端点での値が $a$ に依存しない正の定数になるという構造に気付けば、上に凸の場合や軸が区間外にある場合の吟味が簡略化され、計算ミスを防ぎやすくなる。積分計算は平易であるため、場合分けの緻密さが完答への鍵となる。
答え
$I \ge \frac{44 - 16\sqrt{3}}{3}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





