東京大学 1963年 理系 第6問 解説

方針・初手
放物線 $y = f(x)$ の式を $a, b, c$ などの文字を用いておき、与えられた $3$ 点を通るという条件から各係数を決定する。次に、 $2$ つの曲線で囲まれる面積 $S_1, S_2$ が等しいという条件を定積分の式で表す。このとき、区間によって上下関係が入れ替わることに着目し、 $1$ つの定積分の方程式 $\int_0^2 \{ x^n - f(x) \} dx = 0$ に帰着させると計算が大幅に軽減される。最後に得られた $n$ の方程式を解く。
解法1
放物線 $y = f(x)$ の軸は $y$ 軸に平行であるから、 $f(x) = ax^2 + bx + c$ ($a \neq 0$)とおける。
放物線は $3$ 点 $O(0, 0), A(1, 1), B(2, 2^n)$ を通るので、次の連立方程式が成り立つ。
$$ \begin{cases} c = 0 \\ a + b + c = 1 \\ 4a + 2b + c = 2^n \end{cases} $$
これより $c=0$ であり、残りの式は以下のようになる。
$$ \begin{cases} a + b = 1 \\ 2a + b = 2^{n-1} \end{cases} $$
下式から上式を引いて $a = 2^{n-1} - 1$ となり、これを代入して $b = 2 - 2^{n-1}$ を得る。 $n$ は $2$ より大きい正の整数($n \ge 3$)であるため、 $a = 2^{n-1} - 1 \ge 3 \neq 0$ となり、確かに $f(x)$ は放物線を表す。
次に、曲線 (i) $y = x^n$ と放物線 (ii) $y = f(x)$ によって囲まれる面積について考える。 $g(x) = x^n - f(x)$ とおくと、 $x=0, 1, 2$ において $2$ 曲線は交わるため、 $g(0) = g(1) = g(2) = 0$ である。 $g(x)$ の第 $2$ 次導関数は $g''(x) = n(n-1)x^{n-2} - 2a$ となる。 $x > 0$ において $g''(x)$ は単調増加であるため、 $g''(x) = 0$ は $x > 0$ においてただ $1$ つの実数解をもつ。 したがって、ロルの定理などの考察から、 $g'(x) = 0$ は $x > 0$ において最大 $2$ つの実数解をもつ。よって、 $g(x) = 0$ は $x > 0$ において最大 $3$ つの実数解をもつ。 すでに $x=1, 2$ が解であることが分かっているため、 $x > 0$ における交点はこれらに限られ、区間 $(0, 1)$ および $(1, 2)$ において $g(x)$ の符号は変化せず、 $x=1$ の前後で符号が反転することがわかる。
ゆえに、面積 $S_1$ と $S_2$ は定積分を用いて次のように表される。
$$ S_1 = \left| \int_0^1 \{ x^n - f(x) \} dx \right|, \quad S_2 = \left| \int_1^2 \{ x^n - f(x) \} dx \right| $$
両区間で $x^n - f(x)$ の符号は互いに逆であるから、 $S_1 = S_2$ となるための条件は次のように変形できる。
$$ \int_0^1 \{ x^n - f(x) \} dx + \int_1^2 \{ x^n - f(x) \} dx = 0 $$
すなわち、求める条件は以下の定積分が $0$ となることである。
$$ \int_0^2 \{ x^n - f(x) \} dx = 0 $$
この積分を計算する。
$$ \begin{aligned} \int_0^2 \{ x^n - (ax^2 + bx) \} dx &= \left[ \frac{x^{n+1}}{n+1} - \frac{a}{3}x^3 - \frac{b}{2}x^2 \right]_0^2 \\ &= \frac{2^{n+1}}{n+1} - \frac{8}{3}a - 2b \end{aligned} $$
ここで、 $a$ と $b$ に求めた値を代入する。
$$ \begin{aligned} \frac{8}{3}a + 2b &= \frac{8}{3}(2^{n-1} - 1) + 2(2 - 2^{n-1}) \\ &= \frac{4}{3} \cdot 2^n - \frac{8}{3} + 4 - 2^n \\ &= \frac{1}{3} \cdot 2^n + \frac{4}{3} \\ &= \frac{2^n + 4}{3} \end{aligned} $$
したがって、条件 $\int_0^2 \{ x^n - f(x) \} dx = 0$ は次の方程式となる。
$$ \frac{2^{n+1}}{n+1} - \frac{2^n + 4}{3} = 0 $$
両辺に $3(n+1)$ を掛けて整理する。
$$ \begin{aligned} 3 \cdot 2^{n+1} &= (n+1)(2^n + 4) \\ 6 \cdot 2^n &= n \cdot 2^n + 2^n + 4n + 4 \\ (5 - n) 2^n &= 4(n+1) \end{aligned} $$
$n$ は $2$ より大きい正の整数($n \ge 3$)であるから、場合分けして方程式を満たす $n$ を探す。
(i)
$n=3$ のとき
$$ \text{左辺} = (5-3) \cdot 2^3 = 2 \cdot 8 = 16 $$
$$ \text{右辺} = 4 \cdot (3+1) = 4 \cdot 4 = 16 $$
となり、等式は成立する。
(ii)
$n=4$ のとき
$$ \text{左辺} = (5-4) \cdot 2^4 = 1 \cdot 16 = 16 $$
$$ \text{右辺} = 4 \cdot (4+1) = 4 \cdot 5 = 20 $$
となり、等式は成立しない。
(iii)
$n \ge 5$ のとき
$5 - n \le 0$ かつ $2^n > 0$ であるため、 $\text{左辺} \le 0$ となる。 一方、 $4(n+1) > 0$ であるため、 $\text{右辺} > 0$ となる。 したがって、等式は成立しない。
以上より、方程式を満たす $n$ は $n=3$ のみである。
解説
本問の最大のポイントは、 $S_1 = S_2$ という面積の等式を $\int_0^2 \{ x^n - f(x) \} dx = 0$ に帰着できるかどうかである。交点で上下関係が入れ替わる $2$ つの領域の面積が等しいとき、端から端までそのまま積分すると $0$ になるという性質は、数学II・数学IIIの面積計算で頻出のテクニックである。まともに $S_1$ と $S_2$ を個別に計算して等号で結ぶと、計算量が無駄に増えてミスを誘発しやすい。
また、最後に出現する $(5 - n) 2^n = 4(n+1)$ のような、指数関数と多項式が混在する方程式は代数的に解くことができない。このような場合は、整数という条件を活かして小さな値から順に代入し、ある程度以上の値では不等式評価によって「解が存在しない」ことを示すのが定石である。本問では $n \ge 5$ で左辺が $0$ 以下になり、自明に不適となる。
答え
$n = 3$
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