数学2 定積分 問題 36 解説

方針・初手
(1) 偶関数・奇関数の定義式 $f(-x)=f(x)$ または $f(-x)=-f(x)$ の両辺を $x$ で微分し、合成関数の微分法を用いる。 (2) $g(-x)$ を計算し、置換積分を用いて $g(-x)=-g(x)$ を導く。その際、(1)で示した性質を利用する。 (3) 二項定理を用いて $f(x-t) = (x-t)^n$ を展開し、$x$ の多項式として整理したうえで定積分を計算する。積分変数は $t$ であることに注意し、$n$ の偶奇によって定積分の値が $0$ になる項を見極める。
解法1
(1) $f(x)$ が偶関数のとき、すべての実数 $x$ について次が成り立つ。
$$f(-x) = f(x)$$
この両辺を $x$ について微分すると、合成関数の微分法により
$$-f'(-x) = f'(x)$$
すなわち $f'(-x) = -f'(x)$ となるため、$f'(x)$ は奇関数である。
次に、$f(x)$ が奇関数のとき、すべての実数 $x$ について次が成り立つ。
$$f(-x) = -f(x)$$
この両辺を $x$ について微分すると、合成関数の微分法により
$$-f'(-x) = -f'(x)$$
すなわち $f'(-x) = f'(x)$ となるため、$f'(x)$ は偶関数である。
(2) $g(x)$ の定義式より、$g(-x)$ は次のようになる。
$$g(-x) = \int_{-1}^{1} f'(t)f(-x-t) dt$$
ここで $t = -s$ とおくと、$dt = -ds$ であり、積分区間は $t: -1 \to 1$ のとき $s: 1 \to -1$ となる。
$$g(-x) = \int_{1}^{-1} f'(-s)f(-x+s) (-1) ds = \int_{-1}^{1} f'(-s)f(-(x-s)) ds$$
(i) $f(x)$ が偶関数の場合 (1)より $f'(x)$ は奇関数であるから、$f'(-s) = -f'(s)$ が成り立つ。また、$f(x)$ は偶関数であるから $f(-(x-s)) = f(x-s)$ である。 これらを代入すると
$$g(-x) = \int_{-1}^{1} \{-f'(s)\}f(x-s) ds = -\int_{-1}^{1} f'(s)f(x-s) ds = -g(x)$$
(ii) $f(x)$ が奇関数の場合 (1)より $f'(x)$ は偶関数であるから、$f'(-s) = f'(s)$ が成り立つ。また、$f(x)$ は奇関数であるから $f(-(x-s)) = -f(x-s)$ である。 これらを代入すると
$$g(-x) = \int_{-1}^{1} f'(s)\{-f(x-s)\} ds = -\int_{-1}^{1} f'(s)f(x-s) ds = -g(x)$$
(i)、(ii) のいずれの場合も $g(-x) = -g(x)$ が成り立つため、$g(x)$ は奇関数である。
(3) $f(x) = x^n$ のとき、$f'(t) = nt^{n-1}$ である。 二項定理より $f(x-t) = (x-t)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_n\mathrm{C}_k x^{n-k} (-t)^k$ と展開できるので、$g(x)$ は次のように計算できる。
$$g(x) = \int_{-1}^{1} nt^{n-1} \sum_{k=0}^{n} {}_n\mathrm{C}_k x^{n-k} (-1)^k t^k dt = \sum_{k=0}^{n} \left\{ n \cdot {}_n\mathrm{C}_k (-1)^k \left( \int_{-1}^{1} t^{n+k-1} dt \right) x^{n-k} \right\}$$
$g(x)$ を $x$ について降べきの順に整理したとき、定積分 $\int_{-1}^{1} t^{n+k-1} dt$ の値が $0$ でない最小の $k$ に対応する項が最高次の項となる。 定積分 $\int_{-1}^{1} t^m dt$ は、$m$ が偶数のとき $\frac{2}{m+1}$、$m$ が奇数のとき $0$ となることに注意して、$n$ の偶奇で場合分けをする。
(i) $n$ が奇数のとき $k=0$ (すなわち $x^n$ の項)のとき、定積分の被積分関数は $t^{n-1}$ となる。 $n$ は奇数なので $n-1$ は偶数であり、$\int_{-1}^{1} t^{n-1} dt = \frac{2}{n} \neq 0$ となる。 したがって、最高次の項は $k=0$ のときの項であり、その値は
$$n \cdot {}_n\mathrm{C}_0 (-1)^0 \left( \int_{-1}^{1} t^{n-1} dt \right) x^n = n \cdot 1 \cdot 1 \cdot \frac{2}{n} x^n = 2x^n$$
(ii) $n$ が偶数のとき $k=0$ のとき、定積分の被積分関数は $t^{n-1}$ となる。 $n$ は偶数なので $n-1$ は奇数となり、$\int_{-1}^{1} t^{n-1} dt = 0$ であるから、$x^n$ の係数は $0$ となる。 次に $k=1$ (すなわち $x^{n-1}$ の項)のとき、定積分の被積分関数は $t^n$ となる。 $n$ は偶数なので $\int_{-1}^{1} t^n dt = \frac{2}{n+1} \neq 0$ となる。 したがって、最高次の項は $k=1$ のときの項であり、その値は
$$n \cdot {}_n\mathrm{C}_1 (-1)^1 \left( \int_{-1}^{1} t^n dt \right) x^{n-1} = n \cdot n \cdot (-1) \cdot \frac{2}{n+1} x^{n-1} = -\frac{2n^2}{n+1}x^{n-1}$$
以上より、求める最高次の項は、$n$ が奇数のとき $2x^n$、$n$ が偶数のとき $-\frac{2n^2}{n+1}x^{n-1}$ である。
解説
関数の偶奇性に関する証明と、それを利用した定積分・多項式の計算問題である。 (1) の合成関数の微分は基本であるが、$-x$ の微分による符号の出現を見落とさないようにしたい。 (2) の証明においては、定積分の変数 $x$ を $-x$ に置き換えた上で、積分変数 $t$ を $-s$ に置換することで元の形に戻していく典型的な処理を行う。 (3) は「最高次の項」を求めるため、二項定理を用いて展開し、$x$ の次数が高い項から順に係数が $0$ にならないかを確認していく。偶関数・奇関数の定積分の性質 $\int_{-1}^{1} t^{\text{奇数}} dt = 0$ が計算の鍵となる。
答え
(1) 略(解法に記載の通り)
(2) 略(解法に記載の通り)
(3) $n$ が奇数のとき $2x^n$、$n$ が偶数のとき $-\frac{2n^2}{n+1}x^{n-1}$
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