トップ 基礎問題 数学2 積分法 定積分 問題 44

数学2 定積分 問題 44 解説

数学2 定積分 問題 44 解説

方針・初手

絶対値を含む関数の定積分を求める問題である。定積分の計算においては、絶対値記号を外すことが第一歩となる。 絶対値の中身 $x^2 - ax = x(x-a)$ の符号は $x=0, a$ を境に変化するが、本問の定積分の積分区間は $0 \le x \le 2$ で固定されている。一方で境界となる $x=a$ は正の実数全体を動くため、$a$ の値によって積分区間内に符号変化の境界が含まれるかどうかが変わる。 したがって、積分区間の上限である $2$ と、境界である $a$ の大小関係に着目して場合分けを行うのが基本的な方針である。

解法1

(1)

関数 $y = |x^2 - ax| = |x(x-a)|$ のグラフの概形を考える。 $a > 0$ であることに注意して、絶対値の中身の符号を調べると、

$x \le 0, a \le x$ のとき、$x(x-a) \ge 0$ であるから、

$$y = x^2 - ax$$

$0 < x < a$ のとき、$x(x-a) < 0$ であるから、

$$y = -(x^2 - ax) = -x^2 + ax$$

以上より、求めるグラフの概形は、放物線 $y = x^2 - ax$ の $x$ 軸より下側の部分($0 < x < a$ の区間)を $x$ 軸に関して対称に折り返したものになる。 グラフは原点 $(0,0)$ および点 $(a,0)$ を通り、$0 \le x \le a$ の範囲では上に凸、それ以外の範囲では下に凸となる。

(2)

与えられた定積分は以下の通りである。

$$S(a) = \int_0^2 |x^2 - ax| dx$$

積分区間 $0 \le x \le 2$ と、絶対値の中身の符号が変わる $x=a$ との位置関係によって場合分けを行う。

(i) $0 < a < 2$ のとき

積分区間 $[0, 2]$ の途中に $x=a$ が存在する。 $0 \le x \le a$ においては $x^2 - ax \le 0$ であり、$a \le x \le 2$ においては $x^2 - ax \ge 0$ であるから、積分を2つの区間に分けて計算する。

$$S(a) = \int_0^a (-x^2 + ax) dx + \int_a^2 (x^2 - ax) dx$$

$$S(a) = \left[ -\frac{1}{3}x^3 + \frac{a}{2}x^2 \right]_0^a + \left[ \frac{1}{3}x^3 - \frac{a}{2}x^2 \right]_a^2$$

$$S(a) = \left( -\frac{1}{3}a^3 + \frac{1}{2}a^3 \right) + \left( \frac{8}{3} - 2a \right) - \left( \frac{1}{3}a^3 - \frac{1}{2}a^3 \right)$$

$$S(a) = \frac{1}{6}a^3 + \frac{8}{3} - 2a + \frac{1}{6}a^3$$

$$S(a) = \frac{1}{3}a^3 - 2a + \frac{8}{3}$$

(ii) $a \ge 2$ のとき

積分区間 $[0, 2]$ において、つねに $0 \le x \le a$ を満たすため、$x^2 - ax \le 0$ となる。

$$S(a) = \int_0^2 (-x^2 + ax) dx$$

$$S(a) = \left[ -\frac{1}{3}x^3 + \frac{a}{2}x^2 \right]_0^2$$

$$S(a) = -\frac{8}{3} + 2a$$

以上より、$S(a)$ は次のように表される。

$$S(a) = \begin{cases} \frac{1}{3}a^3 - 2a + \frac{8}{3} & (0 < a < 2 \text{ のとき}) \\ 2a - \frac{8}{3} & (a \ge 2 \text{ のとき}) \end{cases}$$

(3)

(2) で求めた $S(a)$ について、$a > 0$ における増減を調べる。

(i) $0 < a < 2$ のとき

$$S'(a) = a^2 - 2$$

$S'(a) = 0$ となる $a$ は $a = \pm\sqrt{2}$ であり、このうち $0 < a < 2$ を満たすのは $a = \sqrt{2}$ である。

(ii) $a \ge 2$ のとき

$$S(a) = 2a - \frac{8}{3}$$

この区間では $S(a)$ は傾き $2$ の直線の一部であり、単調に増加する。

ここで、$a=2$ における連続性を確認する。(i) の式において $a \to 2$ の極限をとると $\frac{1}{3} \cdot 8 - 4 + \frac{8}{3} = \frac{4}{3}$ となり、(ii) の式に $a=2$ を代入した値 $4 - \frac{8}{3} = \frac{4}{3}$ と一致するため、$S(a)$ は $a=2$ で連続である。

以上の結果をまとめると、$a > 0$ における $S(a)$ の増減表は次のようになる。

$a$ $(0)$ $\cdots$ $\sqrt{2}$ $\cdots$ $2$ $\cdots$
$S'(a)$ $-$ $0$ $+$ $+$
$S(a)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$ $\frac{4}{3}$ $\nearrow$

増減表より、$S(a)$ は $a = \sqrt{2}$ のとき最小となる。 最小値は、

$$S(\sqrt{2}) = \frac{1}{3}(\sqrt{2})^3 - 2\sqrt{2} + \frac{8}{3}$$

$$S(\sqrt{2}) = \frac{2\sqrt{2}}{3} - \frac{6\sqrt{2}}{3} + \frac{8}{3}$$

$$S(\sqrt{2}) = \frac{8 - 4\sqrt{2}}{3}$$

解説

絶対値を含む定積分の典型的な問題である。定積分の値がパラメータ $a$ に依存する関数 $S(a)$ となるため、区間を分割して積分を計算し、さらにその関数の増減を微分によって調べるという、数IIの微積分の総合的な力が問われる。 (1) でグラフを描かせることで、定積分の幾何学的な意味(面積としての解釈)を意識させ、(2) の場合分けを視覚的にサポートしている。場合分けの境界における関数の連続性を確認することで、より厳密に最小値を求めることができる。

答え

(1)

グラフは $x$ 軸と原点 $(0,0)$ および点 $(a, 0)$ で交わり、$0 \le x \le a$ の範囲で上に凸、$x < 0$ および $x > a$ の範囲で下に凸となる、放物線 $y=x^2-ax$ の $y<0$ の部分を $x$ 軸で折り返した形。

(2)

$$S(a) = \begin{cases} \frac{1}{3}a^3 - 2a + \frac{8}{3} & (0 < a < 2 \text{ のとき}) \\ 2a - \frac{8}{3} & (a \ge 2 \text{ のとき}) \end{cases}$$

(3)

最小値 $\frac{8 - 4\sqrt{2}}{3}$

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