数学2 定積分 問題 50 解説

方針・初手
定積分を含む等式の扱いにおいて、積分区間の下端と上端を一致させるような値を代入して等式を得るのは定石である。(1)ではこの操作を行う。
(2)や(3)のように未知の関数(今回は整式)を決定する問題では、関数の最高次の項に着目して次数を決定するのが有効なアプローチである。本問では、与えられた等式をそのまま用いて次数を比較する方法と、等式の両辺を $x$ で微分して得られる微分方程式から次数を比較する方法がある。
解法1
(1)
与えられた等式
$$ 3 \int_0^x t f'(t) dt = 2(x+1)f(x) - 1 $$
の両辺に $x = 0$ を代入すると、
$$ 3 \int_0^0 t f'(t) dt = 2(0+1)f(0) - 1 $$
$$ 0 = 2f(0) - 1 $$
よって、
$$ f(0) = \frac{1}{2} $$
(2)
等式の両辺を $x$ について微分すると、
$$ 3x f'(x) = 2 f(x) + 2(x+1)f'(x) $$
これを整理して、
$$ (x-2)f'(x) = 2f(x) \quad \cdots \text{①} $$
$f(x)$ が定数関数 $f(x) = c$ であると仮定すると、①式は $0 = 2c$ となり $c=0$ となる。これは(1)で求めた $f(0) = \frac{1}{2}$ に矛盾するため、$f(x)$ は定数関数ではない。
したがって、$f(x)$ の次数を $n$($n \geqq 1$)、最高次の項の係数を $a$($a \neq 0$)とすると、$f(x)$ の最高次の項は $ax^n$、$f'(x)$ の最高次の項は $nax^{n-1}$ と表せる。
①式の両辺の最高次の項を比較すると、 左辺の最高次の項は $x \cdot nax^{n-1} = nax^n$ 右辺の最高次の項は $2 \cdot ax^n = 2ax^n$
これが $x$ についての恒等式として成り立つため、
$$ n a = 2a $$
$a \neq 0$ であるから、両辺を $a$ で割って
$$ n = 2 $$
よって、$f(x)$ の次数は $2$ である。
(3)
(1) および (2) の結果から、$f(x)$ は $f(0) = \frac{1}{2}$ を満たす $2$ 次式であるから、
$$ f(x) = ax^2 + bx + \frac{1}{2} \quad (a \neq 0) $$
とおくことができる。
これを①式に代入すると、
$$ (x-2)\left(2ax + b\right) = 2\left(ax^2 + bx + \frac{1}{2}\right) $$
展開して整理すると、
$$ 2ax^2 + (b-4a)x - 2b = 2ax^2 + 2bx + 1 $$
これが $x$ についての恒等式であるから、両辺の係数を比較して
$$ \begin{cases} 2a = 2a \\ b - 4a = 2b \\ -2b = 1 \end{cases} $$
第3式より $b = -\frac{1}{2}$。
これを第2式に代入して、
$$ -\frac{1}{2} - 4a = -1 $$
$$ -4a = -\frac{1}{2} $$
$$ a = \frac{1}{8} $$
これは $a \neq 0$ を満たす。
以上より、求める整式 $f(x)$ は
$$ f(x) = \frac{1}{8}x^2 - \frac{1}{2}x + \frac{1}{2} $$
解法2
(1)の解答は解法1と同じであるため省略し、等式を微分せずに直接処理する(2)および(3)の別解を示す。
(2)
$f(x)$ の次数を $n$($n \geqq 0$)、最高次の項の係数を $a$($a \neq 0$)とする。 すなわち、$f(x) = ax^n + \cdots$ とおく。
与えられた等式
$$ 3 \int_0^x t f'(t) dt = 2(x+1)f(x) - 1 \quad \cdots \text{②} $$
の両辺の最高次の項を比較する。
$f'(x) = n a x^{n-1} + \cdots$ であるから、被積分関数は
$$ t f'(t) = t(n a t^{n-1} + \cdots) = n a t^n + \cdots $$
となる。
よって、②式の左辺は
$$ 3 \int_0^x (n a t^n + \cdots) dt = 3 \left( \frac{na}{n+1}x^{n+1} + \cdots \right) = \frac{3na}{n+1}x^{n+1} + \cdots $$
となり、その最高次の項は $\frac{3na}{n+1}x^{n+1}$ である。
一方、②式の右辺は
$$ 2(x+1)(ax^n + \cdots) - 1 = 2ax^{n+1} + \cdots $$
となり、その最高次の項は $2ax^{n+1}$ である。
これらが一致しなければならないので、
$$ \frac{3na}{n+1} = 2a $$
$a \neq 0$ であるから、両辺を $a$ で割って分母を払うと、
$$ 3n = 2(n+1) $$
$$ 3n = 2n + 2 $$
$$ n = 2 $$
よって、$f(x)$ の次数は $2$ である。
(3)
(1)および(2)より、$f(x) = ax^2 + bx + \frac{1}{2}$($a \neq 0$)とおく。 $f'(x) = 2ax + b$ である。
②式の左辺を計算する。
$$ \begin{aligned} 3 \int_0^x t(2at + b) dt &= 3 \int_0^x (2at^2 + bt) dt \\ &= 3 \left[ \frac{2}{3}at^3 + \frac{1}{2}bt^2 \right]_0^x \\ &= 2ax^3 + \frac{3}{2}bx^2 \end{aligned} $$
②式の右辺を計算する。
$$ \begin{aligned} 2(x+1)\left(ax^2 + bx + \frac{1}{2}\right) - 1 &= 2\left(ax^3 + (a+b)x^2 + \left(b+\frac{1}{2}\right)x + \frac{1}{2}\right) - 1 \\ &= 2ax^3 + 2(a+b)x^2 + (2b+1)x + 1 - 1 \\ &= 2ax^3 + 2(a+b)x^2 + (2b+1)x \end{aligned} $$
これらが恒等的に等しいので、係数を比較して
$$ \begin{cases} 2a = 2a \\ \frac{3}{2}b = 2(a+b) \\ 0 = 2b+1 \end{cases} $$
第3式より $b = -\frac{1}{2}$。
第2式を整理すると $-\frac{1}{2}b = 2a$ となるため、これに代入して
$$ \frac{1}{4} = 2a $$
$$ a = \frac{1}{8} $$
これは $a \neq 0$ を満たす。
よって、
$$ f(x) = \frac{1}{8}x^2 - \frac{1}{2}x + \frac{1}{2} $$
解説
整式の決定問題における典型的なアプローチを問う標準的な問題である。
(2)で次数を決定する際、解法2のように積分を含む等式をそのまま扱うことも可能だが、解法1のように両辺を微分して微分方程式(恒等式)の形に帰着させるほうが計算量が減り、見通しが良くなることが多い。積分方程式を見た際には「代入して条件を絞る」ことと「微分して被積分関数を取り出す」ことの2つをセットで思い浮かべることが重要である。
答え
(1) $f(0) = \frac{1}{2}$
(2) $2$
(3) $f(x) = \frac{1}{8}x^2 - \frac{1}{2}x + \frac{1}{2}$
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