数学3 微分の基本 問題 19 解説

方針・初手
(1) は導関数の形が与えられているので、数学的帰納法を用いて $n$ と $n+1$ の関係を調べ、漸化式を導出する。
(2) は (1) で得られた連立漸化式を解く。$b_n$ は容易に求まるので、それを $a_n$ の式に代入して階差数列の形に持ち込むのが定石である。階乗が絡む漸化式は、両辺を階乗で割ることで見通しが良くなる。
解法1
(1)
$f(x) = \frac{\log x}{x}$ に対して、$f^{(n)}(x) = \frac{a_n + b_n \log x}{x^{n+1}}$ ……(A) と表されることを、数学的帰納法により示す。
(i) $n=1$ のとき 商の微分公式より
$$f'(x) = \frac{\frac{1}{x} \cdot x - (\log x) \cdot 1}{x^2} = \frac{1 - \log x}{x^2}$$
よって、$a_1 = 1, b_1 = -1$ とおけば、(A) の形で表すことができる。
(ii) $n=k$ ($k=1, 2, \dots$) のとき、(A) が成り立つと仮定する。すなわち、
$$f^{(k)}(x) = \frac{a_k + b_k \log x}{x^{k+1}}$$
両辺を $x$ で微分すると、
$$f^{(k+1)}(x) = \frac{b_k \cdot \frac{1}{x} \cdot x^{k+1} - (a_k + b_k \log x)(k+1)x^k}{(x^{k+1})^2}$$
$$= \frac{b_k x^k - (k+1)x^k(a_k + b_k \log x)}{x^{2k+2}}$$
$$= \frac{b_k - (k+1)(a_k + b_k \log x)}{x^{k+2}}$$
$$= \frac{ \{ b_k - (k+1)a_k \} - (k+1)b_k \log x}{x^{k+2}}$$
これが $n=k+1$ のときの (A) の形、すなわち $\frac{a_{k+1} + b_{k+1} \log x}{x^{k+2}}$ と一致するためには、
$$a_{k+1} = -(k+1)a_k + b_k$$
$$b_{k+1} = -(k+1)b_k$$
が成り立てばよい。これらは実数列 $\{a_n\}, \{b_n\}$ の漸化式として意味を持つ。 以上から、$n=k+1$ のときも (A) の形で表される。
(i), (ii) より、すべての自然数 $n$ について (A) の形で表されることが示された。 また、$a_n, b_n$ に関する漸化式は、上記の議論より
$$a_{n+1} = -(n+1)a_n + b_n$$
$$b_{n+1} = -(n+1)b_n$$
である。(ただし、$a_1 = 1, b_1 = -1$)
(2)
(1) で求めた漸化式から、$b_n$ の一般項を求める。 $b_{n+1} = -(n+1)b_n$ より、
$$b_n = -n \cdot b_{n-1} = (-n)\{-(n-1)\}b_{n-2} = \dots = (-1)^{n-1} n(n-1)\dots 2 \cdot b_1$$
$b_1 = -1$ であるから、
$$b_n = (-1)^n n!$$
次に、$a_n$ の一般項を求める。$b_n$ を $a_{n+1}$ の漸化式に代入すると、
$$a_{n+1} = -(n+1)a_n + (-1)^n n!$$
両辺を $(-1)^{n+1}(n+1)!$ で割ると、
$$\frac{a_{n+1}}{(-1)^{n+1}(n+1)!} = \frac{-(n+1)a_n}{(-1)^{n+1}(n+1)!} + \frac{(-1)^n n!}{(-1)^{n+1}(n+1)!}$$
$$\frac{a_{n+1}}{(-1)^{n+1}(n+1)!} = \frac{a_n}{(-1)^n n!} - \frac{1}{n+1}$$
ここで、$c_n = \frac{a_n}{(-1)^n n!}$ とおくと、
$$c_{n+1} - c_n = -\frac{1}{n+1}$$
数列 $\{c_n\}$ の階差数列が $-\frac{1}{n+1}$ であるから、$n \ge 2$ のとき
$$c_n = c_1 + \sum_{k=1}^{n-1} \left( -\frac{1}{k+1} \right)$$
$c_1 = \frac{a_1}{(-1)^1 \cdot 1!} = \frac{1}{-1} = -1$ であり、$h_n = \sum_{k=1}^n \frac{1}{k}$ を用いると
$$c_n = -1 - \sum_{k=2}^{n} \frac{1}{k} = -1 - (h_n - 1) = -h_n$$
この式は、$h_1 = 1$ より $n=1$ のとき $c_1 = -1$ となり、$n=1$ のときも成り立つ。 したがって、
$$\frac{a_n}{(-1)^n n!} = -h_n$$
$$a_n = -(-1)^n n! h_n = (-1)^{n+1} n! h_n$$
解説
微分の繰り返しによって現れる規則性を帰納法で証明し、得られた連立漸化式を解くという、難関大でよく見られる典型的な微分と数列の融合問題である。
(2)における漸化式の処理がポイントとなる。$a_{n+1} = p_n a_n + q_n$ の形をしており、係数に $n$ が含まれている。このような漸化式では、両辺を適切な式で割ることで、階差数列の形 $c_{n+1} - c_n = r_n$ を作り出すのが基本方針である。今回は $b_n$ の形に階乗が含まれることから、階乗と $(-1)^n$ の組み合わせで割る発想が自然に出てくるようにしたい。
答え
(1)
証明は解答参照
漸化式:$a_{n+1} = -(n+1)a_n + b_n$, $b_{n+1} = -(n+1)b_n$
(2)
$a_n = (-1)^{n+1} n! h_n$
$b_n = (-1)^n n!$
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