数学3 微分の基本 問題 20 解説

方針・初手
与えられた関数方程式 $f(s+t) = f(s) + f(t)$ を用いて、関数の性質を順に導いていく典型問題である。 (1)は、恒等式に適切な特定の値を代入して値を求める。 (2)は、導関数の定義式に従って式を変形し、与えられた条件である「$x=0$ における微分係数 $f'(0)$」の極限の形を作り出す。 (3)は、(2)で得られた導関数についての関係式を積分することで元の関数を決定する。
解法1
(1)
与えられた関係式
$$f(s+t) = f(s) + f(t)$$
はすべての実数 $s, t$ で成り立つ。 $s = 0, t = 0$ を代入すると
$$f(0) = f(0) + f(0)$$
$$f(0) = 2f(0)$$
したがって
$$f(0) = 0$$
(2)
$f(x)$ が $x = 0$ で微分可能であるから、次の極限が存在して $f'(0)$ に一致する。
$$f'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(0+h) - f(0)}{h}$$
(1)より $f(0) = 0$ であるため、上式は次のように表される。
$$f'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(h)}{h}$$
次に、任意の実数 $a$ について、$x = a$ における微分係数を定義に従って考える。
$$\lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$$
与式 $f(s+t) = f(s) + f(t)$ において $s = a, t = h$ とすると $f(a+h) = f(a) + f(h)$ であるから、これを代入して変形する。
$$\lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{f(a) + f(h) - f(a)}{h}$$
$$= \lim_{h \to 0} \frac{f(h)}{h}$$
この極限は $f'(0)$ として存在するため、任意の $a$ において極限 $\lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$ は存在し、その値は $f'(0)$ に等しい。 したがって、$f(x)$ はすべての実数 $a$ に対して $x = a$ で微分可能である。(証明終)
(3)
(2)の証明過程より、任意の実数 $x$ に対して次が成り立つ。
$$f'(x) = f'(0)$$
問題の条件より $f'(0) = 0$ であるから、すべての実数 $x$ について
$$f'(x) = 0$$
これを $x$ について積分すると、定数 $C$ を用いて次のように表される。
$$f(x) = C$$
(1)の結果より $f(0) = 0$ であるから、代入して $C = 0$ を得る。 したがって、求める関数は
$$f(x) = 0$$
解説
コーシーの関数方程式に関連する標準的な微分の問題である。 関数方程式から関数の性質を引き出すアプローチとして、(1)のような特定の値($0$ など)の代入や、(2)のような定義式への代入は非常に汎用性が高い。 「$x=0$ で微分可能」という局所的な条件から、式変形によって「任意の点 $x$ で微分可能」という大域的な性質が導かれるのがこの関数方程式の特徴である。 一般に、$f(x)$ が $x=0$ で微分可能で $f'(0) = k$ ($k$ は定数)であるとすると、$f'(x) = k$ を積分して $f(x) = kx + C$ となり、$f(0)=0$ より $f(x) = kx$ が導かれる。本問はその特別な場合($k=0$)に該当する。
答え
(1) $f(0) = 0$
(2) 略(解法1を参照)
(3) $f(x) = 0$
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