数学3 微分の基本 問題 22 解説

方針・初手
与えられた無限級数の第 $N$ 部分和 $S_N$ を立式し、$N \to \infty$ としたときの極限が存在する条件を考えます。
$\cos x$ を1つの変数 $t$ と見立てて整理すると、等比数列の和の公式が利用できます。その際、公比となる $t$ の値($t=1$ かそれ以外か)によって場合分けを行う必要があります。極限が $t$ の取りうるすべての値に対して収束するように、$k$ の条件を定めます。
解法1
(1)
与えられた級数の第 $N$ 部分和を $S_N$ とし、$t = \cos x$ とおく。
$x$ がすべての実数を動くとき、$t$ は $-1 \le t \le 1$ の範囲のすべての実数値をとる。
したがって、「すべての実数 $x$ に対して級数が収束する」ことは、「すべての $t \in [-1, 1]$ に対して $\lim_{N \to \infty} S_N$ が存在する」ことと同値である。
部分和 $S_N$ は次のように変形できる。
$$S_N = \sum_{n=1}^N \{t^{n-1} - t^{n+k-1}\} = \sum_{n=1}^N t^{n-1}(1 - t^k)$$
ここで、$t$ の値によって場合分けを行う。
(i) $t = 1$ のとき
$$S_N = \sum_{n=1}^N 1^{n-1}(1 - 1^k) = 0$$
したがって、$\lim_{N \to \infty} S_N = 0$ となり、自然数 $k$ の値によらず収束する。
(ii) $t \neq 1$ かつ $-1 \le t \le 1$ のとき
等比数列の和の公式を用いて $S_N$ を計算すると、以下のようになる。
$$S_N = (1 - t^k) \sum_{n=1}^N t^{n-1} = (1 - t^k) \frac{1 - t^N}{1 - t}$$
これが $N \to \infty$ で収束する条件を考える。
$-1 < t < 1$ のときは $\lim_{N \to \infty} t^N = 0$ であるから、次のように収束する。
$$\lim_{N \to \infty} S_N = \frac{1 - t^k}{1 - t}$$
この場合も、自然数 $k$ の値によらず収束する。
一方、$t = -1$ のときは次のようになる。
$$S_N = (1 - (-1)^k) \frac{1 - (-1)^N}{2}$$
$N \to \infty$ としたとき、$(-1)^N$ は $1$ と $-1$ の値を交互にとり振動する。
そのため、$S_N$ が収束するための必要十分条件は、振動する項の係数が $0$ になること、すなわち $1 - (-1)^k = 0$ となることである。
これより $(-1)^k = 1$ であり、これを満たす自然数 $k$ の条件は偶数であることである。
以上 (i)、(ii) より、すべての $t \in [-1, 1]$ で極限が収束するための条件は、$k$ が偶数となることである。
(2)
(1) の結果より、$k$ は偶数である。級数の和 $f(x)$ を求める。
(1) の計算結果から、極限 $\lim_{N \to \infty} S_N$ は以下のようになる。
$t = 1$ のとき、
$$\lim_{N \to \infty} S_N = 0$$
$t \neq 1$ のとき、
$$\lim_{N \to \infty} S_N = \frac{1 - t^k}{1 - t}$$
なお、$t = -1$ のときも $k$ が偶数であることから $\frac{1 - (-1)^k}{1 - (-1)} = 0$ となり、上記の結果に矛盾しない。
したがって、$t = \cos x$ より、関数 $f(x)$ は次のように表される。
$\cos x = 1$ のとき、
$$f(x) = 0$$
$\cos x \neq 1$ のとき、
$$f(x) = \frac{1 - (\cos x)^k}{1 - \cos x}$$
ここで、$x = 0$ における関数 $f(x)$ の連続性を調べる。
$x = 0$ のとき $\cos 0 = 1$ であるから、関数値は $f(0) = 0$ である。
次に、$x \to 0$ の極限を考える。
$x \to 0$ のとき $\cos x \to 1$ であるが、極限の定義より $\cos x \neq 1$ とみなして計算する。
$$\lim_{x \to 0} f(x) = \lim_{x \to 0} \frac{1 - (\cos x)^k}{1 - \cos x}$$
ここで、一般に $\frac{1 - t^k}{1 - t} = 1 + t + t^2 + \cdots + t^{k-1}$ と因数分解できることを用いると、極限は次のように計算できる。
$$\lim_{x \to 0} f(x) = \lim_{x \to 0} \{1 + \cos x + (\cos x)^2 + \cdots + (\cos x)^{k-1}\}$$
$$= 1 + 1 + 1^2 + \cdots + 1^{k-1} = k$$
$k$ は偶数(自然数)であるから、$k \ge 2$ であり $k \neq 0$ である。
したがって、極限値と関数値が一致しない。
$$\lim_{x \to 0} f(x) \neq f(0)$$
ゆえに、関数 $f(x)$ は $x = 0$ で連続ではない。
解説
無限級数が収束して和の関数が定義されるとき、各項が連続関数であっても、その無限和の関数が連続関数になるとは限りません。本問は「関数列の極限と連続性の順序交換」が成り立たない(一様収束しない)実例を背景とした、大学入試における典型的なテーマです。
計算上は、$\cos x$ を文字のまま扱うよりも一旦 $t$ と置いて変域を明確にした方が、等比数列の和の収束条件に関する議論の見通しが良くなり、論理の飛躍を防ぐことができます。
答え
(1) $k$ は偶数
(2) $\lim_{x \to 0} f(x) = k$ かつ $f(0) = 0$ であり、$k$ は自然数ゆえに極限値と関数値が一致しないため、連続ではない。(証明終)
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