トップ 基礎問題 数学3 微分法 微分の基本 問題 36

数学3 微分の基本 問題 36 解説

数学3 微分の基本 問題 36 解説

方針・初手

問1は、極限の不定形を解消するために、微分の定義を利用する。 問2は、指数法則を用いて各項を整理すると等比数列の和の形になるため、等比数列の和の公式を適用する。 問3は、$S_n$ の式を整理して等比数列の和として計算した後に極限をとる方針と、$\frac{1}{n}$ をくくり出して区分求積法に帰着させる方針がある。どちらも問1の結果を有効に活用して極限を処理する。

解法1

問1

$f(x) = e^{ax}$ とおくと、$f(0) = e^0 = 1$ である。 また、導関数は $f'(x) = ae^{ax}$ である。 微分の定義より、与えられた極限は次のように計算できる。

$$ \lim_{x\to 0} \frac{e^{ax}-1}{x} = \lim_{x\to 0} \frac{f(x) - f(0)}{x - 0} = f'(0) = ae^0 = a $$

問2

与えられた和は、初項 $e^{\frac{1}{n}}$、公比 $e^{\frac{1}{n}}$、項数 $n$ の等比数列の和である。 自然数 $n$ に対して $e^{\frac{1}{n}} \neq 1$ であるから、等比数列の和の公式より、

$$ \sum_{k=1}^n e^{\frac{k}{n}} = \frac{e^{\frac{1}{n}} \left\{ \left(e^{\frac{1}{n}}\right)^n - 1 \right\}}{e^{\frac{1}{n}} - 1} = \frac{e^{\frac{1}{n}}(e - 1)}{e^{\frac{1}{n}} - 1} $$

問3

$S_n$ のシグマの中身を指数法則を用いて整理する。

$$ e^{\frac{kp}{n}}\left(e^{\frac{k}{n}} - e^{\frac{k-1}{n}}\right) = e^{\frac{kp}{n}} e^{\frac{k}{n}} \left( 1 - e^{-\frac{1}{n}} \right) = \left( 1 - e^{-\frac{1}{n}} \right) e^{\frac{k(p+1)}{n}} $$

したがって、$S_n$ は次のように書ける。

$$ S_n = \left( 1 - e^{-\frac{1}{n}} \right) \sum_{k=1}^n e^{\frac{k(p+1)}{n}} $$

ここで、$p$ の値によって公比 $e^{\frac{p+1}{n}}$ が $1$ になるかどうかが変わるため、場合分けを行う。

(i) $p+1 \neq 0$ すなわち $p \neq -1$ のとき

数列 $e^{\frac{k(p+1)}{n}}$ は初項 $e^{\frac{p+1}{n}}$、公比 $e^{\frac{p+1}{n}} \neq 1$ の等比数列であるから、

$$ \sum_{k=1}^n e^{\frac{k(p+1)}{n}} = \frac{e^{\frac{p+1}{n}} \left\{ \left(e^{\frac{p+1}{n}}\right)^n - 1 \right\}}{e^{\frac{p+1}{n}} - 1} = \frac{e^{\frac{p+1}{n}} (e^{p+1} - 1)}{e^{\frac{p+1}{n}} - 1} $$

これより、$S_n$ は次のように変形できる。

$$ S_n = \frac{1 - e^{-\frac{1}{n}}}{\frac{1}{n}} \cdot \frac{\frac{1}{n}}{e^{\frac{p+1}{n}} - 1} \cdot e^{\frac{p+1}{n}} (e^{p+1} - 1) $$

ここで極限を考える。 問1の結果より $\lim_{x\to 0} \frac{e^{ax}-1}{x} = a$ であり、$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{n} \to 0$ であるから、

$$ \lim_{n\to\infty} \frac{1 - e^{-\frac{1}{n}}}{\frac{1}{n}} = \lim_{x\to 0} \frac{1 - e^{-x}}{x} = \lim_{x\to 0} \frac{e^{-x} - 1}{-x} = 1 $$

$$ \lim_{n\to\infty} \frac{e^{\frac{p+1}{n}} - 1}{\frac{1}{n}} = p+1 $$

また、$\lim_{n\to\infty} e^{\frac{p+1}{n}} = e^0 = 1$ であるから、これらをまとめると、

$$ \lim_{n\to\infty} S_n = 1 \cdot \frac{1}{p+1} \cdot 1 \cdot (e^{p+1} - 1) = \frac{e^{p+1} - 1}{p+1} $$

(ii) $p+1 = 0$ すなわち $p = -1$ のとき

$$ \sum_{k=1}^n e^{\frac{k(p+1)}{n}} = \sum_{k=1}^n e^0 = n $$

となるため、

$$ S_n = n \left( 1 - e^{-\frac{1}{n}} \right) = \frac{1 - e^{-\frac{1}{n}}}{\frac{1}{n}} $$

(i) の計算と同様に極限をとると、

$$ \lim_{n\to\infty} S_n = \lim_{n\to\infty} \frac{1 - e^{-\frac{1}{n}}}{\frac{1}{n}} = 1 $$

解法2

問3の区分求積法による別解

解法1と同様に $S_n$ を変形し、無理やり $\frac{1}{n}$ をくくり出す。

$$ S_n = \left( 1 - e^{-\frac{1}{n}} \right) \sum_{k=1}^n e^{\frac{k(p+1)}{n}} = \frac{1 - e^{-\frac{1}{n}}}{\frac{1}{n}} \cdot \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n e^{(p+1)\frac{k}{n}} $$

ここで、$n \to \infty$ としたときの各部分の極限を考える。 解法1でも示した通り、

$$ \lim_{n\to\infty} \frac{1 - e^{-\frac{1}{n}}}{\frac{1}{n}} = 1 $$

である。また、後半部分は区分求積法により定積分で表すことができる。

$$ \lim_{n\to\infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n e^{(p+1)\frac{k}{n}} = \int_0^1 e^{(p+1)x} dx $$

したがって、$S_n$ の極限は次の定積分を計算することに帰着する。

$$ \lim_{n\to\infty} S_n = 1 \cdot \int_0^1 e^{(p+1)x} dx = \int_0^1 e^{(p+1)x} dx $$

(i) $p \neq -1$ のとき

$$ \int_0^1 e^{(p+1)x} dx = \left[ \frac{1}{p+1} e^{(p+1)x} \right]_0^1 = \frac{e^{p+1} - 1}{p+1} $$

(ii) $p = -1$ のとき

$$ \int_0^1 e^0 dx = \int_0^1 1 dx = \left[ x \right]_0^1 = 1 $$

解説

自然対数の底 $e$ に関する極限の基本公式を起点として、等比数列の和と極限、あるいは区分求積法へと繋げていく総合的な問題である。

問1で示した極限は、微分の定義を用いることでスムーズに導出できる。この結果は問3で式の形を調整して極限をとる際の重要なパーツとなる。

問3は、解法1のように等比数列の和を計算した後に極限をとる方法でも解けるが、和の極限を定積分に変換する区分求積法(解法2)を用いると、計算の見通しが良くなる。どちらの解法においても、公比や被積分関数が変わる境界である $p = -1$ での場合分けを忘れないことが重要である。

答え

問1: $a$

問2: $\frac{e^{\frac{1}{n}}(e - 1)}{e^{\frac{1}{n}} - 1}$

問3: $p \neq -1$ のとき $\frac{e^{p+1} - 1}{p+1}$、 $p = -1$ のとき $1$

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