数学3 微分の基本 問題 37 解説

方針・初手
多数の因数の積や商、および累乗で構成された関数の微分である。そのまま積の微分法や商の微分法を用いると計算が煩雑になるため、両辺の絶対値の自然対数をとってから微分する「対数微分法」を用いるのが有効である。 あるいは、分子と分母をそれぞれ別の関数とみて微分し、$x=0$ のときの値を求めてから商の微分法に当てはめる方法でも、計算ミスを防ぎやすくなる。
解法1
$$f(x) = \frac{(x+3)^3 (x-5)^2}{(x+1)^2 e^x}$$
まず、$x=0$ のときの $f(x)$ の値を求めておく。
$$f(0) = \frac{(0+3)^3 (0-5)^2}{(0+1)^2 e^0} = \frac{27 \cdot 25}{1} = 675$$
$f(0) \neq 0$ であるから、$x=0$ を含む十分小さな開区間において $f(x) \neq 0$ となる。この区間において、与式の両辺の絶対値の自然対数をとると、次のようになる。
$$\log |f(x)| = \log \left| \frac{(x+3)^3 (x-5)^2}{(x+1)^2 e^x} \right|$$
対数の性質を用いて右辺を展開する。
$$\log |f(x)| = 3 \log |x+3| + 2 \log |x-5| - 2 \log |x+1| - x$$
両辺を $x$ で微分する。
$$\frac{f'(x)}{f(x)} = \frac{3}{x+3} + \frac{2}{x-5} - \frac{2}{x+1} - 1$$
この式に $x=0$ を代入する。
$$\frac{f'(0)}{f(0)} = \frac{3}{3} + \frac{2}{-5} - \frac{2}{1} - 1$$
$$\begin{aligned} \frac{f'(0)}{f(0)} &= 1 - \frac{2}{5} - 2 - 1 \\ &= -2 - \frac{2}{5} \\ &= -\frac{12}{5} \end{aligned}$$
$f(0) = 675$ であるから、$f'(0)$ は次のように求められる。
$$\begin{aligned} f'(0) &= f(0) \cdot \left( -\frac{12}{5} \right) \\ &= 675 \cdot \left( -\frac{12}{5} \right) \\ &= 135 \cdot (-12) \\ &= -1620 \end{aligned}$$
解法2
分子と分母をそれぞれ別の関数とおき、商の微分法を用いる。 $g(x) = (x+3)^3 (x-5)^2$、$h(x) = (x+1)^2 e^x$ とおくと、$f(x) = \frac{g(x)}{h(x)}$ である。
それぞれの関数の $x=0$ における値と微分係数を求める。
$$g(0) = 3^3 \cdot (-5)^2 = 27 \cdot 25 = 675$$
積の微分法と合成関数の微分法を用いて $g'(x)$ を求める。
$$\begin{aligned} g'(x) &= 3(x+3)^2 \cdot (x-5)^2 + (x+3)^3 \cdot 2(x-5) \\ &= (x+3)^2 (x-5) \{3(x-5) + 2(x+3)\} \\ &= (x+3)^2 (x-5) (5x - 9) \end{aligned}$$
よって、$x=0$ を代入すると次のようになる。
$$g'(0) = 3^2 \cdot (-5) \cdot (-9) = 9 \cdot 45 = 405$$
同様に、$h(x)$ についても求める。
$$h(0) = 1^2 \cdot e^0 = 1$$
$$\begin{aligned} h'(x) &= 2(x+1) \cdot e^x + (x+1)^2 \cdot e^x \\ &= (x+1)e^x \{2 + (x+1)\} \\ &= (x+1)(x+3)e^x \end{aligned}$$
よって、$x=0$ を代入すると次のようになる。
$$h'(0) = 1 \cdot 3 \cdot e^0 = 3$$
商の微分法 $f'(x) = \frac{g'(x)h(x) - g(x)h'(x)}{\{h(x)\}^2}$ より、$x=0$ における微分係数は次のように計算できる。
$$\begin{aligned} f'(0) &= \frac{g'(0)h(0) - g(0)h'(0)}{\{h(0)\}^2} \\ &= \frac{405 \cdot 1 - 675 \cdot 3}{1^2} \\ &= 405 - 2025 \\ &= -1620 \end{aligned}$$
解説
複数の関数の積・商・累乗を含む複雑な関数の微分では、対数微分法が極めて有効である。計算量を大幅に減らし、ミスのリスクを抑えることができる定石の手法として習熟しておきたい。絶対値をつけて対数をとる際、真数が $0$ にならないことを記述するのを忘れないよう注意が必要である。
また、解法2のように愚直に微分公式を用いる場合でも、$f'(x)$ の式を完全に整理しきってから $x=0$ を代入するのではなく、計算を細かいパーツに分割し、それぞれで $x=0$ を代入してから組み合わせることで、複雑な数式処理を避ける工夫ができる。
答え
$$-1620$$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





