トップ 基礎問題 数学3 微分法 微分の基本 問題 45

数学3 微分の基本 問題 45 解説

数学3 微分の基本 問題 45 解説

方針・初手

二項係数 ${}_n\text{C}_k$ と変数 $k$ の積の和を求める典型的な問題である。 このような二項係数の和を求めるアプローチには、大きく分けて以下の2つの方法がある。

  1. 二項定理を微分して利用する方法:二項定理によって得られる等式を関数とみなし、両辺を微分してから特定の値を代入する。
  2. 組み合わせの公式を利用する方法:等式 $k \cdot {}_n\text{C}_k = n \cdot {}_{n-1}\text{C}_{k-1}$ を用いて、$k$ をシグマの外に出せる定数 $n$ に変換する。

解法1

二項定理により、次の恒等式が成り立つ。

$$(1+x)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_n\text{C}_k x^k$$

この式の両辺を $x$ について微分する。

$$n(1+x)^{n-1} = \sum_{k=1}^{n} k \cdot {}_n\text{C}_k x^{k-1}$$

右辺のシグマの計算において、$k=0$ の項は微分により $0$ となって消えるため、和の範囲が $k=1$ からとなることに注意する。 この等式は $x$ についての恒等式であるから、$x=1$ を代入する。

$$n(1+1)^{n-1} = \sum_{k=1}^{n} k \cdot {}_n\text{C}_k \cdot 1^{k-1}$$

これを整理して、求める和が得られる。

$$\sum_{k=1}^{n} k \cdot {}_n\text{C}_k = n \cdot 2^{n-1}$$

解法2

$k \geqq 1$ のとき、階乗による定義を用いて $k \cdot {}_n\text{C}_k$ を変形する。

$$\begin{aligned} k \cdot {}_n\text{C}_k &= k \cdot \frac{n!}{k!(n-k)!} \\ &= \frac{n!}{(k-1)!(n-k)!} \\ &= n \cdot \frac{(n-1)!}{(k-1)! \{ (n-1) - (k-1) \}!} \\ &= n \cdot {}_{n-1}\text{C}_{k-1} \end{aligned}$$

この関係式を用いて、与えられた和を書き換える。

$$\sum_{k=1}^{n} k \cdot {}_n\text{C}_k = \sum_{k=1}^{n} n \cdot {}_{n-1}\text{C}_{k-1}$$

シグマの変数 $k$ に無関係な $n$ を前に出す。

$$\sum_{k=1}^{n} k \cdot {}_n\text{C}_k = n \sum_{k=1}^{n} {}_{n-1}\text{C}_{k-1}$$

ここで、$j = k-1$ とおくと、$k$ が $1$ から $n$ まで変化するとき、$j$ は $0$ から $n-1$ まで変化する。

$$\sum_{k=1}^{n} {}_{n-1}\text{C}_{k-1} = \sum_{j=0}^{n-1} {}_{n-1}\text{C}_j$$

二項定理 $(1+1)^{n-1} = \sum_{j=0}^{n-1} {}_{n-1}\text{C}_j \cdot 1^j \cdot 1^{(n-1)-j}$ より、右辺の和は $2^{n-1}$ に等しい。 したがって、求める値は次のようになる。

$$\sum_{k=1}^{n} k \cdot {}_n\text{C}_k = n \cdot 2^{n-1}$$

解説

二項係数が絡む和の計算において、$k \cdot {}_n\text{C}_k$ を見かけた際のアプローチとして、本問で提示した2つの解法はどちらも重要である。

解法1の「多項式を設定して微分(または積分)する」という手法は、$k^2 \cdot {}_n\text{C}_k$ や $\frac{{}_n\text{C}_k}{k+1}$ といったより複雑な係数がついた和を求める際にも応用が利くため、必ず習得しておきたい。

解法2で用いた公式 $k \cdot {}_n\text{C}_k = n \cdot {}_{n-1}\text{C}_{k-1}$ は、「特定の1人を含む $k$ 人の委員を選ぶ方法」を2通りの考え方で数え上げることで導出できる(特定の1人を先に選び、残り $n-1$ 人から $k-1$ 人を選ぶか、$n$ 人から $k$ 人を選んだ後、その中から特定の1人のリーダーを選ぶか)。式の変形だけでなく、このような組み合わせ論的な意味も理解しておくとよい。

答え

$$n \cdot 2^{n-1}$$

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