数学3 微分の基本 問題 47 解説

方針・初手
(1) は通常の商の微分法を用いる。(2) は各辺の差をとって関数を置き、微分を用いて増減を調べることで不等式を証明する。(3) は (2) で証明した結果に対して、変数を $x = -t$ のように置き換えることで簡明に示すことができる。(4) は微分係数の定義に従って極限の式を立てたのち、(2) および (3) で示した不等式を用いたはさみうちの原理によって極限値を求める。
解法1
(1)
$a \neq 0$ であるから、関数 $f(x)$ は $x = a$ の近傍において $f(x) = \frac{\sin x}{x}$ である。 商の微分法を用いて導関数を計算する。
$$f'(x) = \frac{(\sin x)' \cdot x - \sin x \cdot (x)'}{x^2} = \frac{x \cos x - \sin x}{x^2}$$
$x = a$ を代入して、求める微分係数は以下の通りである。
$$f'(a) = \frac{a \cos a - \sin a}{a^2}$$
(2)
左側の不等式 $x - \frac{x^3}{6} \leq \sin x$ を示す。 $g(x) = \sin x - x + \frac{x^3}{6}$ とおき、$x \geq 0$ における $g(x)$ の増減を調べる。
$$g'(x) = \cos x - 1 + \frac{x^2}{2}$$
$$g''(x) = -\sin x + x$$
$$g'''(x) = -\cos x + 1 = 1 - \cos x$$
$x \geq 0$ のとき、$-1 \leq \cos x \leq 1$ より $g'''(x) \geq 0$ である。 したがって、$g''(x)$ は $x \geq 0$ において単調に増加する。 $g''(0) = 0$ であるから、$x \geq 0$ のとき $g''(x) \geq 0$ となり、$g'(x)$ は単調に増加する。 $g'(0) = 0$ であるから、$x \geq 0$ のとき $g'(x) \geq 0$ となり、$g(x)$ は単調に増加する。 $g(0) = 0$ であるから、$x \geq 0$ のとき $g(x) \geq 0$ が成り立つ。 よって、$x \geq 0$ のとき $x - \frac{x^3}{6} \leq \sin x$ が示された。
次に、右側の不等式 $\sin x \leq x + \frac{x^3}{6}$ を示す。 $h(x) = x + \frac{x^3}{6} - \sin x$ とおく。
$$h'(x) = 1 + \frac{x^2}{2} - \cos x = (1 - \cos x) + \frac{x^2}{2}$$
$x \geq 0$ のとき、$1 - \cos x \geq 0$ かつ $\frac{x^2}{2} \geq 0$ であるから、$h'(x) \geq 0$ となる。 したがって、$h(x)$ は $x \geq 0$ において単調に増加する。 $h(0) = 0$ であるから、$x \geq 0$ のとき $h(x) \geq 0$ が成り立つ。 よって、$x \geq 0$ のとき $\sin x \leq x + \frac{x^3}{6}$ が示された。
以上より、$x \geq 0$ のとき $x - \frac{x^3}{6} \leq \sin x \leq x + \frac{x^3}{6}$ が成り立つ。
(3)
$x \leq 0$ とする。$x = -t$ とおくと、$t \geq 0$ である。 (2) で証明した不等式は $t \geq 0$ に対して成り立つから、以下の式を得る。
$$t - \frac{t^3}{6} \leq \sin t \leq t + \frac{t^3}{6}$$
各辺に $-1$ を掛け、大小関係を入れ替える。
$$-t - \frac{t^3}{6} \leq -\sin t \leq -t + \frac{t^3}{6}$$
ここで、$\sin(-t) = -\sin t$ であるから、中央の項を書き換える。
$$-t - \frac{t^3}{6} \leq \sin(-t) \leq -t + \frac{t^3}{6}$$
$t = -x$ を代入して元に戻す。
$$x + \frac{x^3}{6} \leq \sin x \leq x - \frac{x^3}{6}$$
これにより、題意の不等式が成り立つことが示された。
(4)
$x = 0$ における微分係数 $f'(0)$ は、定義に従って次のように表される。
$$f'(0) = \lim_{x \to 0} \frac{f(x) - f(0)}{x - 0} = \lim_{x \to 0} \frac{\frac{\sin x}{x} - 1}{x} = \lim_{x \to 0} \frac{\sin x - x}{x^2}$$
右側極限 $\lim_{x \to +0}$ について考える。 $x > 0$ のとき、(2) の不等式の各辺から $x$ を引くと次式のようになる。
$$-\frac{x^3}{6} \leq \sin x - x \leq \frac{x^3}{6}$$
$x^2 > 0$ で各辺を割る。
$$-\frac{x}{6} \leq \frac{\sin x - x}{x^2} \leq \frac{x}{6}$$
$\lim_{x \to +0} \left( -\frac{x}{6} \right) = 0$ かつ $\lim_{x \to +0} \frac{x}{6} = 0$ であるから、はさみうちの原理により以下の極限値を得る。
$$\lim_{x \to +0} \frac{\sin x - x}{x^2} = 0$$
次に、左側極限 $\lim_{x \to -0}$ について考える。 $x < 0$ のとき、(3) の不等式の各辺から $x$ を引くと次式のようになる。
$$\frac{x^3}{6} \leq \sin x - x \leq -\frac{x^3}{6}$$
$x^2 > 0$ で各辺を割る。
$$\frac{x}{6} \leq \frac{\sin x - x}{x^2} \leq -\frac{x}{6}$$
$\lim_{x \to -0} \frac{x}{6} = 0$ かつ $\lim_{x \to -0} \left( -\frac{x}{6} \right) = 0$ であるから、はさみうちの原理により以下の極限値を得る。
$$\lim_{x \to -0} \frac{\sin x - x}{x^2} = 0$$
右側極限と左側極限が一致し、ともに $0$ となるため、求める微分係数は $0$ である。
$$f'(0) = \lim_{x \to 0} \frac{\sin x - x}{x^2} = 0$$
解説
関数 $f(x) = \frac{\sin x}{x}$ の微分と極限に関する典型的な誘導問題である。(2) のような三角関数と多項式の大小関係の証明では、差をとって関数を置き、導関数が常に正または負であると判定できるまで微分を繰り返す手法が定石となる。
(3) については (2) と同様に微分を用いて一から証明することも可能であるが、変数を置き換えて $\sin x$ の奇関数としての性質を利用することで、計算の手間を大幅に削減できる。(4) では、微分係数の定義式を正確に立式し、(2) と (3) で得られた不等式を変形してはさみうちの原理に持ち込む流れを確実に行いたい。本問の不等式はマクローリン展開による近似($\sin x \approx x - \frac{x^3}{3!}$)を背景としている。
答え
(1) $\frac{a \cos a - \sin a}{a^2}$
(2) 題意は示された
(3) 題意は示された
(4) $0$
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