数学3 グラフ・増減・極値 問題 14 解説

方針・初手
関数 $f(x)$ が指定された区間で増加関数となるための条件は、その区間において導関数 $f'(x) \geqq 0$ が常に成り立つことである。導関数を計算し、条件式から定数 $a$ を分離して、残りの部分からなる関数の増減を調べる。
解法1
関数 $f(x) = \frac{a - \cos x}{x^2}$ を $x$ について微分する。商の微分公式より
$$\begin{aligned} f'(x) &= \frac{(\sin x) \cdot x^2 - (a - \cos x) \cdot 2x}{x^4} \\ &= \frac{x\sin x + 2\cos x - 2a}{x^3} \end{aligned}$$
$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ の範囲において $f(x)$ が増加関数となるための条件は、この範囲で常に $f'(x) \geqq 0$ が成り立つことである。 $0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において $x^3 > 0$ であるから、分子について
$$x\sin x + 2\cos x - 2a \geqq 0$$
すなわち
$$2a \leqq x\sin x + 2\cos x$$
が常に成り立てばよい。 ここで、$g(x) = x\sin x + 2\cos x$ とおくと、求める条件は「$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において $2a \leqq g(x)$ が常に成り立つ」、すなわち「$2a \leqq (g(x) \text{ の最小値})$」となることである。
関数 $g(x)$ の導関数を求める。
$$\begin{aligned} g'(x) &= 1 \cdot \sin x + x \cos x - 2\sin x \\ &= x\cos x - \sin x \end{aligned}$$
$g'(x)$ の符号を調べるため、さらに微分して第2次導関数 $g''(x)$ を求める。
$$\begin{aligned} g''(x) &= 1 \cdot \cos x + x(-\sin x) - \cos x \\ &= -x\sin x \end{aligned}$$
$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において、$x > 0$ かつ $\sin x > 0$ であるため、$g''(x) < 0$ である。 したがって、$g'(x)$ はこの区間で単調に減少する。 また、$x \to +0$ のとき $g'(x) \to 0$ であるから、$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において常に $g'(x) < 0$ が成り立つ。
よって、$g(x)$ は $0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において単調に減少する関数である。 ゆえに、$g(x)$ の $0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ における最小値は $x = \frac{\pi}{2}$ のときの値である。
$$g\left(\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\pi}{2}\sin\left(\frac{\pi}{2}\right) + 2\cos\left(\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\pi}{2} \cdot 1 + 2 \cdot 0 = \frac{\pi}{2}$$
条件 $2a \leqq g(x)$ が常に成り立つためには
$$2a \leqq \frac{\pi}{2}$$
$$a \leqq \frac{\pi}{4}$$
これを満たす定数 $a$ のうち最大のものは $\frac{\pi}{4}$ である。
解法2
解法1と同様に $g'(x) = x\cos x - \sin x$ を求めた後、$g''(x)$ を用いずに符号を判定することもできる。
$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $\cos x > 0$ であるから、$g'(x)$ を次のように変形する。
$$g'(x) = \cos x (x - \tan x)$$
$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において、不等式 $x < \tan x$ が成り立つことが知られている。(これは $y = \tan x$ のグラフが下に凸であり、原点における接線 $y = x$ の上方にあることからわかる) したがって、この区間において $x - \tan x < 0$ である。 また、$x = \frac{\pi}{2}$ のときは $g'\left(\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\pi}{2} \cdot 0 - 1 = -1 < 0$ である。
以上より、$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において $g'(x) < 0$ となり、$g(x)$ は単調減少であることがわかる。 以降は解法1と同様にして最小値 $g\left(\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\pi}{2}$ を得て、$a \leqq \frac{\pi}{4}$ を導く。
解説
関数の増減に関する基本的な微分の問題である。ある区間で「関数が増加する」ための条件は、その区間で「導関数が0以上」となることである。 分子に定数 $a$ が含まれるため、不等式を $a \leqq (\text{他の関数})$ の形に定数分離し、右辺の関数の最小値を求める方針をとるのが定石である。右辺の関数の微分 $g'(x)$ の符号判定では、さらに微分して $g''(x)$ の符号から $g'(x)$ の増減を調べるか、あるいは $x < \tan x$ の有名不等式を用いるとよい。
答え
$\frac{\pi}{4}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





