数学3 グラフ・増減・極値 問題 22 解説

方針・初手
(1) は導関数 $f'(x)$ と第2次導関数 $f''(x)$ を計算し、関数の増減と凹凸を調べる。また、極限 $\lim_{x \to \pm\infty} f(x)$ を求めて漸近線を把握する。 (2) は $y=f(x)$ とおき、式を $x$ について解いた上で $x$ と $y$ を入れ替えて逆関数を求める。このとき、逆関数の定義域を定めるために $y$ の取りうる値の範囲(値域)を確認する。 (3) は (2) で求めた $f^{-1}(x)$ の式に $\frac{1}{n+2}$ と $\frac{1}{n+1}$ を代入する。対数の性質を用いて式を整理し、自然対数の底 $e$ の定義式の形に帰着させる。
解法1
(1)
関数 $f(x)$ を計算しやすくするために以下のように変形して微分する。
$$f(x) = \frac{e^x + 1 - 1}{e^x + 1} = 1 - \frac{1}{e^x + 1}$$
$$f'(x) = - \left\{ -\frac{e^x}{(e^x+1)^2} \right\} = \frac{e^x}{(e^x+1)^2}$$
すべての実数 $x$ において $e^x > 0$ であるから $f'(x) > 0$ となり、$f(x)$ は常に単調に増加する。
さらに微分して凹凸を調べる。商の微分法を用いる。
$$\begin{aligned} f''(x) &= \frac{e^x(e^x+1)^2 - e^x \cdot 2(e^x+1)e^x}{(e^x+1)^4} \\ &= \frac{e^x(e^x+1) - 2e^{2x}}{(e^x+1)^3} \\ &= \frac{e^x - e^{2x}}{(e^x+1)^3} \\ &= \frac{e^x(1-e^x)}{(e^x+1)^3} \end{aligned}$$
$f''(x) = 0$ となるのは $1-e^x = 0$、すなわち $x=0$ のときである。 $x < 0$ のとき、$e^x < 1$ より $1-e^x > 0$ となるため $f''(x) > 0$ であり、グラフは下に凸である。 $x > 0$ のとき、$e^x > 1$ より $1-e^x < 0$ となるため $f''(x) < 0$ であり、グラフは上に凸である。
漸近線について極限を調べる。
$$\lim_{x \to \infty} f(x) = \lim_{x \to \infty} \frac{1}{1+e^{-x}} = 1$$
$$\lim_{x \to -\infty} f(x) = \lim_{x \to -\infty} \frac{e^x}{e^x+1} = 0$$
これらより、直線 $y=1$ と $y=0$ ($x$軸)が漸近線となる。
以上の結果から、グラフの概形は以下の性質を持つ。 常に単調増加し、$x < 0$ で下に凸、$x > 0$ で上に凸となる。 $x = 0$ のとき $f(0) = \frac{1}{2}$ であるから、点 $\left(0, \frac{1}{2}\right)$ が変曲点となる。 $x \to -\infty$ で $x$軸に上から近づき、$x \to \infty$ で直線 $y=1$ に下から近づく。
(2)
$y = f(x)$ とおく。
$$y = \frac{e^x}{e^x+1}$$
$x$ はすべての実数をとるため $e^x > 0$ であり、分母のほうが分子より $1$ だけ大きいため、値域は $0 < y < 1$ となる。 分母を払って $x$ について解く。
$$\begin{aligned} y(e^x+1) &= e^x \\ y e^x + y &= e^x \\ e^x(1-y) &= y \end{aligned}$$
$0 < y < 1$ であるから $1-y \neq 0$ である。両辺を $1-y$ で割る。
$$e^x = \frac{y}{1-y}$$
両辺の自然対数をとる。
$$x = \log \frac{y}{1-y}$$
$x$ と $y$ を入れ替えて、求める逆関数とする。このとき、逆関数の定義域はもとの関数の値域と一致する。
$$f^{-1}(x) = \log \frac{x}{1-x} \quad (0 < x < 1)$$
(3)
(2) で求めた $f^{-1}(x)$ に $x = \frac{1}{n+2}$ および $x = \frac{1}{n+1}$ を代入する。$n$ は正の整数を動くため、これらの値は定義域 $0 < x < 1$ に含まれる。
$$\begin{aligned} f^{-1}\left(\frac{1}{n+2}\right) &= \log \frac{\frac{1}{n+2}}{1 - \frac{1}{n+2}} \\ &= \log \frac{\frac{1}{n+2}}{\frac{n+1}{n+2}} \\ &= \log \frac{1}{n+1} = - \log(n+1) \end{aligned}$$
同様に計算する。
$$\begin{aligned} f^{-1}\left(\frac{1}{n+1}\right) &= \log \frac{\frac{1}{n+1}}{1 - \frac{1}{n+1}} \\ &= \log \frac{\frac{1}{n+1}}{\frac{n}{n+1}} \\ &= \log \frac{1}{n} = - \log n \end{aligned}$$
これらを与式に代入して極限を計算する。
$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} n \left\{ f^{-1}\left(\frac{1}{n+2}\right) - f^{-1}\left(\frac{1}{n+1}\right) \right\} &= \lim_{n \to \infty} n \left\{ -\log(n+1) - (-\log n) \right\} \\ &= \lim_{n \to \infty} n \{ \log n - \log(n+1) \} \\ &= \lim_{n \to \infty} n \log \frac{n}{n+1} \\ &= \lim_{n \to \infty} \log \left( \frac{n}{n+1} \right)^n \\ &= \lim_{n \to \infty} \log \left( \frac{n+1}{n} \right)^{-n} \\ &= \lim_{n \to \infty} \log \left( 1 + \frac{1}{n} \right)^{-n} \\ &= \lim_{n \to \infty} -\log \left( 1 + \frac{1}{n} \right)^{n} \end{aligned}$$
ここで、自然対数の底 $e$ の定義より $\lim_{n \to \infty} \left( 1 + \frac{1}{n} \right)^n = e$ であるから、極限値は以下のようになる。
$$-\log e = -1$$
解説
いわゆるロジスティック関数と呼ばれる有名な曲線を題材にした問題である。 (1) では、商の微分法をそのまま適用してもよいが、$f(x) = 1 - \frac{1}{e^x+1}$ と変形することで計算ミスを減らす工夫が有効である。 (2) は逆関数を求める定石の操作である。$x$ について解く際の同値変形と、逆関数における定義域(もとの関数の値域)の確認を忘れないようにしたい。 (3) は(2)で求めた式に代入して計算すると、複雑な見た目に反してシンプルな対数関数の差となる。その後は $\lim_{n \to \infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n = e$ を利用する典型的な極限計算に帰着する。
答え
(1) 常に単調増加し、$x < 0$ で下に凸、$x > 0$ で上に凸。変曲点は $\left(0, \frac{1}{2}\right)$。漸近線は $y=0$ と $y=1$。グラフの概略は解答参照。
(2) $f^{-1}(x) = \log \frac{x}{1-x} \quad (0 < x < 1)$
(3) $-1$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





