数学3 応用 問題 10 解説

方針・初手
点 $\text{P}$ の速度ベクトルは $\vec{v} = \left(\frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt}\right)$ で与えられるため、まずは $x, y$ をそれぞれ $t$ で微分する。 その後、速度の各成分が $0$ になる条件を考える。三角関数の混ざった方程式となるが、$\sin$ と $\cos$ の関係から $\tan$ の方程式に帰着させると見通しがよい。曲線の概形は、極座標を意識すると反時計回りに広がる螺旋状になることが推測できる。
解法1
与えられた媒介変数表示を $t$ について微分すると、積の微分法より以下のようになる。
$$\frac{dx}{dt} = e^t \cos \pi t + e^t (-\pi \sin \pi t) = e^t (\cos \pi t - \pi \sin \pi t)$$
$$\frac{dy}{dt} = e^t \sin \pi t + e^t (\pi \cos \pi t) = e^t (\sin \pi t + \pi \cos \pi t)$$
(1)
$t = 1$ における速度 $\left(\frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt}\right)$ を求める。
$$\frac{dx}{dt}\Big|_{t=1} = e^1 (\cos \pi - \pi \sin \pi) = e(-1 - 0) = -e$$
$$\frac{dy}{dt}\Big|_{t=1} = e^1 (\sin \pi + \pi \cos \pi) = e(0 - \pi) = -\pi e$$
したがって、求める速度は $(-e, -\pi e)$ である。
(2)
$\frac{dx}{dt} = 0$ とすると、
$$e^t (\cos \pi t - \pi \sin \pi t) = 0$$
$e^t > 0$ であるから、
$$\cos \pi t - \pi \sin \pi t = 0$$
ここで $\cos \pi t = 0$ と仮定すると、上式より $\sin \pi t = 0$ となるが、これは $\sin^2 \pi t + \cos^2 \pi t = 1$ に矛盾する。よって $\cos \pi t \neq 0$ である。 両辺を $\pi \cos \pi t$ で割って整理すると、
$$\tan \pi t = \frac{1}{\pi}$$
$t > 0$ のうち、これを満たす最も $0$ に近いものが $t_0$ であるから、$\pi t_0$ は第1象限の角であり $0 < \pi t_0 < \frac{\pi}{2}$ を満たす。 $\tan \pi t_0 = \frac{1}{\pi} > 0$ より、
$$\cos \pi t_0 = \frac{1}{\sqrt{1 + \tan^2 \pi t_0}} = \frac{1}{\sqrt{1 + \frac{1}{\pi^2}}} = \frac{\pi}{\sqrt{\pi^2 + 1}}$$
$$\sin \pi t_0 = \tan \pi t_0 \cos \pi t_0 = \frac{1}{\pi} \cdot \frac{\pi}{\sqrt{\pi^2 + 1}} = \frac{1}{\sqrt{\pi^2 + 1}}$$
(3)
$0 < t \leqq 2$ のとき、$0 < \pi t \leqq 2\pi$ である。 $\frac{dx}{dt} = 0$ すなわち $\tan \pi t = \frac{1}{\pi}$ を満たす $\pi t$ は、周期が $\pi$ であることから、この範囲に $\pi t_0$ と $\pi t_0 + \pi$ の2つ存在する。
$$\pi t = \pi t_0, \pi t_0 + \pi$$
$$t = t_0, t_0 + 1$$
したがって、求める時刻は $t = t_0, t_0 + 1$ である。
(4)
$\frac{dy}{dt} = 0$ とすると、
$$e^t (\sin \pi t + \pi \cos \pi t) = 0$$
$e^t > 0$ であり、(2) と同様に $\cos \pi t \neq 0$ であるから、両辺を $\cos \pi t$ で割ると、
$$\tan \pi t = -\pi$$
ここで、$\tan \left(\theta + \frac{\pi}{2}\right) = -\frac{1}{\tan \theta}$ の公式を用いると、
$$\tan \left(\pi t_0 + \frac{\pi}{2}\right) = -\frac{1}{\tan \pi t_0} = -\pi$$
よって、$\tan \pi t = -\pi$ を満たす正の角のうち最小のものは $\pi t_0 + \frac{\pi}{2}$ である。 $0 < t \leqq 2$ すなわち $0 < \pi t \leqq 2\pi$ の範囲では、これに周期 $\pi$ を足したものも解となるので、
$$\pi t = \pi t_0 + \frac{\pi}{2}, \pi t_0 + \frac{3\pi}{2}$$
$$t = t_0 + \frac{1}{2}, t_0 + \frac{3}{2}$$
したがって、求める時刻は $t = t_0 + \frac{1}{2}, t_0 + \frac{3}{2}$ である。
(5)
点 $\text{P}$ の原点からの距離 $r$ と偏角 $\theta$ を考えると、$r = \sqrt{x^2+y^2} = e^t$、$\theta = \pi t$ となる。 これを極方程式で表すと $r = e^{\frac{\theta}{\pi}}$ となり、点 $\text{P}$ は原点を中心として反時計回りに広がる対数螺旋(等角螺旋)を描く。
$t$ が $0$ から $2$ まで変化するとき、偏角 $\theta$ は $0$ から $2\pi$ まで1周する。 座標軸との交点は以下の通りである。
- $t = 0$ (出発点): $(1, 0)$
- $t = \frac{1}{2}$ ($y$軸正の部分との交点): $(0, e^{\frac{1}{2}})$
- $t = 1$ ($x$軸負の部分との交点): $(-e, 0)$
- $t = \frac{3}{2}$ ($y$軸負の部分との交点): $(0, -e^{\frac{3}{2}})$
- $t = 2$ (終点): $(e^2, 0)$
また、(3) より曲線の接線が $y$ 軸に平行($x$ 成分の速度が $0$ で、曲線の $x$ 座標が極値をとる)になるのは、 $t = t_0$ (第1象限) および $t = t_0 + 1$ (第3象限) の位置である。
(4) より曲線の接線が $x$ 軸に平行($y$ 成分の速度が $0$ で、曲線の $y$ 座標が極値をとる)になるのは、 $t = t_0 + \frac{1}{2}$ (第2象限) および $t = t_0 + \frac{3}{2}$ (第4象限) の位置である。
以上より、曲線は $(1,0)$ から始まり、各象限でなめらかに向きを変えながら原点から遠ざかり、$(e^2,0)$ で終わる1巻きの螺旋となる。 (解答用紙には、上記の交点座標や接線の向きに注意して、原点から広がる渦巻きを描き入れる)
解説
速度ベクトルと媒介変数表示された曲線の微分の典型的な問題である。 (2) 以降で現れる $\cos \pi t - \pi \sin \pi t = 0$ のような方程式は、三角関数の合成を用いて $R \cos(\pi t + \alpha) = 0$ の形に変形しても解けるが、解答のように $\tan \pi t$ の値に帰着させた方が、(3) や (4) において $\tan$ の周期性や $\tan \left(\theta + \frac{\pi}{2}\right) = -\frac{1}{\tan \theta}$ という公式を直接活用できるため、計算と記述の見通しがよくなる。 (5) の対数螺旋は、自然界などにも現れる有名な曲線であり、接線と動径のなす角が常に一定になるという性質(等角螺旋)を持つ。極方程式 $r = e^{a \theta}$ を意識できると、詳細な増減表を書かなくてもおおよその概形を自信を持って描くことができる。
答え
(1) $(-e, -\pi e)$
(2) $\sin \pi t_0 = \frac{1}{\sqrt{\pi^2 + 1}}, \cos \pi t_0 = \frac{\pi}{\sqrt{\pi^2 + 1}}$
(3) $t = t_0, t_0 + 1$
(4) $t = t_0 + \frac{1}{2}, t_0 + \frac{3}{2}$
(5) 極方程式 $r = e^{\frac{\theta}{\pi}}$ で表される反時計回りの螺旋(対数螺旋)。
座標軸との交点は順に $(1, 0), (0, e^{\frac{1}{2}}), (-e, 0), (0, -e^{\frac{3}{2}}), (e^2, 0)$。
接線が $y$ 軸に平行になる点は第1象限($t=t_0$)と第3象限($t=t_0+1$)にある。
接線が $x$ 軸に平行になる点は第2象限($t=t_0+\frac{1}{2}$)と第4象限($t=t_0+\frac{3}{2}$)にある。
(概形の作図は省略)
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