トップ 基礎問題 数学3 微分法 応用 問題 17

数学3 応用 問題 17 解説

数学3 応用 問題 17 解説

方針・初手

(1) 動点 $\mathrm{Q}$ の位置ベクトルを,$\mathrm{P}$ の位置ベクトルと,$\mathrm{P}$ から見た $\mathrm{Q}$ の相対位置ベクトルに分解して考える。時刻 $t=0$ における相対位置から初期位相を決定し,角速度 $\omega$ を用いて時刻 $t$ での相対位置ベクトルを成分表示する。

(2) 「曲線が交差しない」ことの定義として,「$t_1 \neq t_2$ ならば $(x(t_1), y(t_1)) \neq (x(t_2), y(t_2))$」が与えられている。この条件を直接扱うよりも,その対偶である「$(x(t_1), y(t_1)) = (x(t_2), y(t_2))$ ならば $t_1 = t_2$」が常に成り立つための条件を考えるのが定石である。$x$ 座標と $y$ 座標のそれぞれの方程式から $t_1, t_2$ の関係式を導く。

解法1

(1)

原点を $\mathrm{O}$ とする。 動点 $\mathrm{P}$ は時刻 $t=0$ のとき原点にあり,毎秒 $c$ の速さで $x$ 軸の正の方向へ動くため,時刻 $t$ における位置ベクトルは以下のように表される。

$$\overrightarrow{\mathrm{OP}} = (ct, 0)$$

また,点 $\mathrm{P}$ から見た動点 $\mathrm{Q}$ の相対位置ベクトルを $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ とする。 時刻 $t=0$ において点 $\mathrm{P}$ は $(0, 0)$,点 $\mathrm{Q}$ は $(0, -r)$ にあるから,$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ は $x$ 軸の正の方向から $-\frac{\pi}{2}$ の角度をなす。 点 $\mathrm{Q}$ は点 $\mathrm{P}$ を中心とする半径 $r$ の円周上を毎秒 $\omega$ ラジアンの割合で反時計回りに回転するので,時刻 $t$ における $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ のなす角は $\omega t - \frac{\pi}{2}$ となる。 したがって,$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ の成分表示は以下のようになる。

$$\begin{aligned} \overrightarrow{\mathrm{PQ}} &= \left( r \cos\left(\omega t - \frac{\pi}{2}\right), r \sin\left(\omega t - \frac{\pi}{2}\right) \right) \\ &= (r \sin \omega t, -r \cos \omega t) \end{aligned}$$

時刻 $t$ における動点 $\mathrm{Q}$ の位置ベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ は,$\overrightarrow{\mathrm{OQ}} = \overrightarrow{\mathrm{OP}} + \overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ により求められる。

$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}} = (ct + r \sin \omega t, -r \cos \omega t)$$

よって,動点 $\mathrm{Q}$ の座標 $(x(t), y(t))$ は

$$(x(t), y(t)) = (ct + r \sin \omega t, -r \cos \omega t)$$

(2)

与えられた条件「$t_1 \neq t_2$ ならば $(x(t_1), y(t_1)) \neq (x(t_2), y(t_2))$」の対偶をとる。 すなわち,「$(x(t_1), y(t_1)) = (x(t_2), y(t_2))$ ならば $t_1 = t_2$」が成り立つような条件を求める。 ここで,$(x(t_1), y(t_1)) = (x(t_2), y(t_2))$ と仮定する。

まず $y(t_1) = y(t_2)$ より,

$$-r \cos \omega t_1 = -r \cos \omega t_2$$

$$\cos \omega t_1 = \cos \omega t_2$$

これを解くと,$n$ を任意の整数として以下の関係式が得られる。

$$\omega t_1 = \pm \omega t_2 + 2n\pi$$

この関係式について,以下の2つの場合に分けて考える。

(i) $\omega t_1 = \omega t_2 + 2n\pi$ のとき

これを $t_1 = t_2 + \frac{2n\pi}{\omega}$ と変形し,$x(t_1) = x(t_2)$ に代入する。

$$c \left( t_2 + \frac{2n\pi}{\omega} \right) + r \sin\left( \omega t_2 + 2n\pi \right) = c t_2 + r \sin \omega t_2$$

$\sin(\omega t_2 + 2n\pi) = \sin \omega t_2$ であるから,

$$c \cdot \frac{2n\pi}{\omega} = 0$$

$c, \omega$ は正の定数であるため,$n = 0$ となる。 このとき $t_1 = t_2$ が導かれる。

(ii) $\omega t_1 = -\omega t_2 + 2n\pi$ のとき

これを $t_1 + t_2 = \frac{2n\pi}{\omega}$ と変形する。また,$x(t_1) = x(t_2)$ を変形する。

$$ct_1 + r \sin \omega t_1 = ct_2 + r \sin \omega t_2$$

$$c(t_1 - t_2) + r(\sin \omega t_1 - \sin \omega t_2) = 0$$

和と差の積の公式より,

$$c(t_1 - t_2) + 2r \cos \frac{\omega(t_1 + t_2)}{2} \sin \frac{\omega(t_1 - t_2)}{2} = 0$$

$\omega(t_1 + t_2) = 2n\pi$ を代入すると,$\cos \frac{2n\pi}{2} = \cos n\pi = (-1)^n$ となるため,

$$c(t_1 - t_2) + 2r(-1)^n \sin \frac{\omega(t_1 - t_2)}{2} = 0$$

ここで $u = \frac{t_1 - t_2}{2}$ とおくと,上式は以下のように書き換えられる。

$$2cu + 2r(-1)^n \sin \omega u = 0$$

$$cu + r(-1)^n \sin \omega u = 0$$

条件が満たされるためには,(i) の結果と合わせて,任意の整数 $n$ に対してこの方程式を満たす実数 $u$ が $u = 0$ のみであればよい。 $g(u) = cu + r(-1)^n \sin \omega u$ とおく。 $g(0) = 0$ であり,$g(-u) = -g(u)$ となる奇関数であるから,$u > 0$ において $g(u) \neq 0$ となる条件を調べる。

$g(u)$ を微分すると,

$$g'(u) = c + r\omega(-1)^n \cos \omega u$$

・ $c \ge r\omega$ のとき $n$ の偶奇にかかわらず,$-r\omega \le r\omega(-1)^n \cos \omega u \le r\omega$ であるから,

$$g'(u) \ge c - r\omega \ge 0$$

$g'(u) = 0$ となるのは孤立した点のみであるため,$g(u)$ は単調増加関数となる。 よって $u > 0$ において $g(u) > g(0) = 0$ となり,$g(u) = 0$ を満たす $u \neq 0$ は存在しない。 このとき,条件を満たす。

・ $c < r\omega$ のとき $n$ が奇数($(-1)^n = -1$)となる場合を考える。 $g'(u) = c - r\omega \cos \omega u$ となり,$g'(0) = c - r\omega < 0$ である。 $g(0) = 0$ かつ $g'(0) < 0$ より,十分に小さい $u > 0$ に対して $g(u) < 0$ となる。 一方で,$\lim_{u \to \infty} g(u) = \infty$ であるから,中間値の定理より $g(u) = 0$ を満たす $u > 0$ が少なくとも1つ存在する。 この $u$ を用いて $t_1 = \frac{n\pi}{\omega} + u, t_2 = \frac{n\pi}{\omega} - u$ と定めると,$t_1 \neq t_2$ でありながら $(x(t_1), y(t_1)) = (x(t_2), y(t_2))$ となり,条件に反する。

以上より,求める必要十分条件は $c \ge r\omega$ である。

解説

動点 Q が描く曲線はトロコイド(サイクロイドの一種)と呼ばれる有名曲線である。 (1) で基本通りにベクトルを用いて媒介変数表示を求め,(2) では与えられた単射性(一対一対応)の条件を処理する。 単射性の証明では,「$A \neq B \implies f(A) \neq f(B)$」のままでは扱いづらいため,対偶「$f(A) = f(B) \implies A = B$」に書き換えて方程式に帰着させるのが定石である。 また,三角関数を含む方程式から複数の解の候補が出た際に,差を新たな変数 $u$ で置き換えて関数の増減と中間値の定理に持ち込むという論理展開は,難関大の微分積分で頻出の処理である。

答え

(1) $(x(t), y(t)) = (ct + r \sin \omega t, -r \cos \omega t)$

(2) $c \ge r\omega$

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