数学3 最大最小・解の個数 問題 15 解説

方針・初手
(1) は不等式の証明である。関数 $f(x)$ の具体的な式が与えられていないため、差の関数を作って微分し、増減を調べる方針をとる。あるいは、平均値の定理を用いて $f(x)$ を評価する方針も有効である。
(2) は方程式の実数解の存在と唯一性の証明である。解の存在は、(1) の結果を利用して境界での符号を調べ、中間値の定理を適用する。解の唯一性は、関数の単調性を利用して示す。
解法1
(1)
$g(x) = f(x) - 1$ とおく。 $x > 0$ において、条件より $g'(x) = f'(x) > 0$ であるから、$g(x)$ は単調に増加する。 また、$g(0) = f(0) - 1 = 1 - 1 = 0$ である。 したがって、$x > 0$ において $g(x) > g(0) = 0$ が成り立つので、$f(x) > 1$ である。
次に、$h(x) = 1 + \frac{1}{2}x - f(x)$ とおく。 $h'(x) = \frac{1}{2} - f'(x)$ である。 $x > 0$ において $f''(x) < 0$ であるから、$f'(x)$ は単調に減少する。 ゆえに、$x > 0$ において $f'(x) < f'(0) = \frac{1}{2}$ が成り立つ。 よって、$x > 0$ において $h'(x) = \frac{1}{2} - f'(x) > 0$ となるため、$h(x)$ は単調に増加する。 また、$h(0) = 1 + 0 - f(0) = 1 - 1 = 0$ である。 したがって、$x > 0$ において $h(x) > h(0) = 0$ が成り立つので、$f(x) < 1 + \frac{1}{2}x$ である。
以上より、$x > 0$ において $1 < f(x) < 1 + \frac{1}{2}x$ が成り立つ。(証明終)
(2)
方程式 $f(x) = x$ は $f(x) - x = 0$ と同値である。 $F(x) = f(x) - x$ とおく。 (1) の結果より、$x > 0$ において $1 < f(x) < 1 + \frac{1}{2}x$ が成り立つ。
$x = 1$ のとき、
$$1 < f(1) < 1 + \frac{1}{2} = \frac{3}{2}$$
よって、$F(1) = f(1) - 1 > 0$ である。 $x = 2$ のとき、
$$1 < f(2) < 1 + 1 = 2$$
よって、$F(2) = f(2) - 2 < 0$ である。 $F(x)$ は連続関数であるから、中間値の定理より、$F(c) = 0$ を満たす実数 $c$ が $1 < c < 2$ の範囲に少なくとも1つ存在する。
さらに、$x > 0$ において、
$$F'(x) = f'(x) - 1$$
(1) の議論より、$x > 0$ において $f'(x) < \frac{1}{2}$ であるから、
$$F'(x) < \frac{1}{2} - 1 = -\frac{1}{2} < 0$$
となる。 したがって、$F(x)$ は $x > 0$ において単調に減少する。 単調減少関数であるから、$F(x) = 0$ となる $x$ はただ1つである。
以上より、方程式 $f(x) = x$ は、区間 $1 < x < 2$ においてただ1つの解をもつ。(証明終)
解法2
(1)
$x > 0$ とする。区間 $[0, x]$ において平均値の定理を適用すると、
$$\frac{f(x) - f(0)}{x - 0} = f'(c) \quad (0 < c < x)$$
を満たす $c$ が存在する。 $x > 0$ において $f''(x) < 0$ であるから、$f'(x)$ は単調に減少する。 したがって、$0 < c < x$ において
$$f'(x) < f'(c) < f'(0)$$
が成り立つ。 条件より $f'(0) = \frac{1}{2}$ であり、$x > 0$ において $f'(x) > 0$ であるから、
$$0 < f'(c) < \frac{1}{2}$$
となる。ゆえに、
$$0 < \frac{f(x) - f(0)}{x} < \frac{1}{2}$$
$x > 0$ であるから、各辺に $x$ を掛けて
$$0 < f(x) - f(0) < \frac{1}{2}x$$
$f(0) = 1$ を代入して整理すると、
$$1 < f(x) < 1 + \frac{1}{2}x$$
となり、示された。(証明終)
(2)
解法1と同様であるため省略する。
解説
関数の凹凸(2次導関数の符号)から1次導関数の増減を導き、それを利用して関数の値の範囲を評価する典型的な問題である。 (1) では、定石通り差の関数を作って増減を調べる方法(解法1)が確実であるが、平均値の定理を用いる方法(解法2)も簡潔で見通しがよい。また、定積分を用いて $0 < \int_0^x f'(t) dt < \int_0^x \frac{1}{2} dt$ を計算することでも同様に示すことができる。 (2) は「解をもつこと」と「ただ1つであること」の2段階に分けて証明する。前者は中間値の定理、後者は単調性の利用が定石である。(1) で示した不等式が、中間値の定理を適用するための境界値の評価に直接利用できる構成になっている。
答え
(1) 題意の不等式が成り立つことを示した。
(2) 方程式が区間内でただ1つの解をもつことを示した。
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