数学3 最大最小・解の個数 問題 24 解説

方針・初手
曲線 $y = f(x)$ と直線 $y = mx$ が相異なる3点で交わるための条件は、方程式 $2x^3 + x^2 - 3 = mx$ が相異なる3つの実数解をもつことである。 定数 $m$ が1次式の形で含まれているため、$x$ で両辺を割って $m$ を単独にする「定数分離」の手法を用いるのが最も見通しがよい。 また、図形的な意味を捉え、直線 $y = mx$ が曲線に接する瞬間を基準として共有点の個数を調べるアプローチも可能である。
解法1
方程式 $2x^3 + x^2 - 3 = mx$ について考える。
$x = 0$ を代入すると $-3 = 0$ となり等式は成り立たないため、この方程式の実数解において $x \neq 0$ である。 したがって、両辺を $x$ で割ることができ、定数 $m$ を次のように分離できる。
$$m = 2x^2 + x - \frac{3}{x}$$
ここで、関数 $g(x) = 2x^2 + x - \frac{3}{x}$ を定義する。 求める条件は、関数 $y = g(x)$ のグラフと直線 $y = m$ が相異なる3つの共有点をもつことである。
$g(x)$ を微分すると、
$$g'(x) = 4x + 1 + \frac{3}{x^2} = \frac{4x^3 + x^2 + 3}{x^2}$$
となる。 分子の多項式を $P(x) = 4x^3 + x^2 + 3$ とおくと、$P(-1) = -4 + 1 + 3 = 0$ であるから、因数定理により $P(x)$ は $x+1$ を因数にもつ。 因数分解すると、
$$P(x) = (x+1)(4x^2 - 3x + 3)$$
となる。 ここで、$4x^2 - 3x + 3 = 4\left(x - \frac{3}{8}\right)^2 + \frac{39}{16} > 0$ であるため、この2次式はすべての実数 $x$ において正の値をとる。 したがって、$g'(x) = 0$ となる実数 $x$ は $x = -1$ のみである。
$g(x)$ の増減表は次のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $\times$ | $+$ |
| $g(x)$ | $\searrow$ | $4$ | $\nearrow$ | $\times$ | $\nearrow$ |
また、$x \to \pm \infty$ および $x \to 0$ における $g(x)$ の極限は次の通りである。
$$\lim_{x \to -\infty} g(x) = \lim_{x \to -\infty} x\left(2x + 1 - \frac{3}{x^2}\right) = \infty$$
$$\lim_{x \to 0-0} g(x) = \lim_{x \to 0-0} \left(2x^2 + x - \frac{3}{x}\right) = \infty$$
$$\lim_{x \to 0+0} g(x) = \lim_{x \to 0+0} \left(2x^2 + x - \frac{3}{x}\right) = -\infty$$
$$\lim_{x \to \infty} g(x) = \lim_{x \to \infty} x\left(2x + 1 - \frac{3}{x^2}\right) = \infty$$
これらの結果から、$y = g(x)$ のグラフは、$x < 0$ の範囲では $x = -1$ で極小値 $4$ をとり、$x > 0$ の範囲では単調増加することがわかる。 直線 $y = m$ と相異なる3点で交わるためには、グラフの形状より、直線が極小値よりも上方に位置すればよい。
よって、求める $m$ の範囲は $m > 4$ である。
解法2
曲線 $C : y = 2x^3 + x^2 - 3$ と原点を通る直線 $l : y = mx$ の共有点について考える。
まず、直線 $l$ が曲線 $C$ の接線となるような $m$ の値を求める。 曲線 $C$ 上の点 $(t, 2t^3 + t^2 - 3)$ における接線の方程式は、$y' = 6x^2 + 2x$ より、
$$y - (2t^3 + t^2 - 3) = (6t^2 + 2t)(x - t)$$
$$y = (6t^2 + 2t)x - 4t^3 - t^2 - 3$$
となる。 この接線が原点を通るとき、$y$ 切片は $0$ となるため、
$$- 4t^3 - t^2 - 3 = 0$$
$$4t^3 + t^2 + 3 = 0$$
因数定理を用いて左辺を因数分解すると、
$$(t+1)(4t^2 - 3t + 3) = 0$$
となる。 $4t^2 - 3t + 3 = 4\left(t - \frac{3}{8}\right)^2 + \frac{39}{16} > 0$ であるから、実数解は $t = -1$ のみである。 このとき、接線の傾きは $m = 6(-1)^2 + 2(-1) = 4$ である。 したがって、原点を通る $C$ の接線は $y = 4x$ の1本のみであり、接点の座標は $(-1, -2)$ である。
次に、方程式 $2x^3 + x^2 - mx - 3 = 0$ の実数解の個数を考える。 $h(x) = 2x^3 + x^2 - mx - 3$ とおく。
$m = 4$ のとき、$h(x) = 2x^3 + x^2 - 4x - 3 = (x+1)^2(2x-3)$ となり、実数解は $x = -1$(重解)と $x = \frac{3}{2}$ の2つである。
$m > 4$ のとき、$h(x)$ の特定の $x$ における値を調べると、
$$h(-1) = -2 + 1 + m - 3 = m - 4 > 0$$
$$h(0) = -3 < 0$$
また、極限を考えると、
$$\lim_{x \to -\infty} h(x) = -\infty$$
$$\lim_{x \to \infty} h(x) = \infty$$
となる。 $h(x)$ は連続関数であるため、中間値の定理により、$x < -1$ の範囲に少なくとも1つ、$-1 < x < 0$ の範囲に少なくとも1つ、$x > 0$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ。 3次方程式の実数解は最大でも3つであるため、$h(x) = 0$ はちょうど3つの相異なる実数解をもつ。
$m < 4$ のとき、曲線 $C$ のグラフと直線の傾きから共有点が3つになることはない。
よって、求める $m$ の範囲は $m > 4$ である。
解説
方程式 $f(x) = mx$ の実数解の個数を調べる問題である。
定数 $m$ が1次式として含まれているため、本問のように式を変形して定数を孤立させる「定数分離」の手法(解法1)が非常に有効である。 もし定数分離を行わずに「3次関数が極大値と極小値をもち、それらの積が負になる」という条件を利用しようとすると、$m$ を含む複雑な極値の計算を行うことになり、計算量が膨大になりミスを誘発しやすい。
定数分離を行う際は、割り算の分母が $0$ にならないこと(本問では $x \neq 0$)を事前に確認し明記する手順を忘れないように注意したい。 また、解法2のように、定点を通る直線と曲線の位置関係を接線を基準にして考えるアプローチも応用範囲が広く重要である。
答え
$m > 4$
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