数学3 最大最小・解の個数 問題 34 解説

方針・初手
与えられた曲線の式と直線の式を連立させ、交点の座標や交点の個数についての条件を数式に翻訳していく標準的な問題である。
- 前半の2つの設問は、指定された $l$ の値や直線の式を直接代入して交点を計算する。
- 3つ目の設問は、直線 $y=kx$ を代入して得られる $x$ の2次方程式が、「$x=0$ 以外の実数解をもつ」ための条件を判別式を用いて考える。
- 最後の設問は、交点間の距離の2乗を $k$ の関数として立式し、その最大値を求める。そのまま微分すると計算が複雑になるため、分母分子を $k^2$ で割って $t = k + \frac{1}{k}$ と置換するか、曲線の式を平方完成して図形(楕円)の性質からアプローチする。
解法1
直線 $y=x$ との交点
$l=0$ のとき、曲線 P の方程式は以下のようになる。
$$5x^2 + 5y^2 - 4x - 4y = 0$$
直線 $y=x$ との交点を求めるため、$y=x$ を代入する。
$$5x^2 + 5x^2 - 4x - 4x = 0$$
$$10x^2 - 8x = 0$$
$$2x(5x - 4) = 0$$
よって、$x = 0, \frac{4}{5}$ を得る。$y=x$ であるから、交点の座標は $(0, 0)$ と $\left( \frac{4}{5}, \frac{4}{5} \right)$ である。
直線 $y=-x$ との交点
曲線 P の方程式に $y=-x$ を代入する。
$$5x^2 + 5(-x)^2 + lx(-x) - 4x - 4(-x) = 0$$
$$10x^2 - lx^2 = 0$$
$$(10 - l)x^2 = 0$$
この等式が全ての実数 $l$ に対して成り立つための条件は $x^2 = 0$、すなわち $x = 0$ である。このとき $y = -0 = 0$ となる。 したがって、全ての $l$ に対して交わる点の座標は $(0, 0)$ である。
直線 $y=kx$ と $2$ 点で交わる $l$ の条件
直線 $y=kx$ を曲線 P の方程式に代入して整理する。
$$5x^2 + 5(kx)^2 + lx(kx) - 4x - 4kx = 0$$
$$(5k^2 + lk + 5)x^2 - 4(k+1)x = 0$$
$$x \{ (5k^2 + lk + 5)x - 4(k+1) \} = 0$$
曲線と直線が $2$ 点で交わるためには、この $x$ についての2次方程式が異なる2つの実数解をもつ必要がある。1つの解は $x=0$ であり、もう1つの解は以下の1次方程式から得られる。
$$(5k^2 + lk + 5)x - 4(k+1) = 0 \quad \cdots (*)$$
これが $x=0$ 以外の実数解をもつための条件は、$x$ の係数が $0$ でなく、かつ定数項部分が $0$ でないことである。
$$5k^2 + lk + 5 \neq 0 \quad \text{かつ} \quad 4(k+1) \neq 0$$
$k \neq -1$ である全ての実数 $k$ に対して考えるため、後者の $4(k+1) \neq 0$ は常に満たされている。 したがって、「$k \neq -1$ の全ての実数 $k$ に対して直線 $y=kx$ が曲線 P と $2$ 点で交わる」ための条件は、「$k \neq -1$ の全ての実数 $k$ に対して $5k^2 + lk + 5 \neq 0$ が成り立つ」ことと同値になる。 $f(k) = 5k^2 + lk + 5$ とおく。放物線 $y = f(k)$ が $k \neq -1$ の範囲で $k$ 軸と交わらないための条件は、以下のいずれかの場合である。
(i) $f(k) = 0$ が実数解をもたない場合 判別式を $D$ とすると、$D < 0$ となればよい。
$$D = l^2 - 100 < 0$$
よって、$-10 < l < 10$。
(ii) $f(k) = 0$ が実数解をもち、それが $k = -1$ のみ(重解)である場合 $D = 0$ より $l = \pm 10$ である。 $l = 10$ のとき、$f(k) = 5(k+1)^2$ となり、$f(k) = 0$ の解は $k = -1$ のみとなるため条件を満たす。 $l = -10$ のとき、$f(k) = 5(k-1)^2$ となり、$f(k) = 0$ の解は $k = 1 \ (\neq -1)$ となるため条件を満たさない。
(i), (ii) より、求める $l$ の値の範囲は $-10 < l \leqq 10$ である。
$2$ 交点間の距離の最大値
$l = -6$ のとき、方程式 $(*)$ は以下のようになる。
$$(5k^2 - 6k + 5)x = 4(k+1)$$
ここで $5k^2 - 6k + 5 = 5 \left( k - \frac{3}{5} \right)^2 + \frac{16}{5} > 0$ であるため、$x = \frac{4(k+1)}{5k^2 - 6k + 5}$ となる。 交点は $(0, 0)$ と $\left( \frac{4(k+1)}{5k^2 - 6k + 5}, \frac{4k(k+1)}{5k^2 - 6k + 5} \right)$ の $2$ 点である。 この $2$ 点間の距離を $d$ とすると、距離の2乗 $d^2$ は以下のようになる。
$$\begin{aligned} d^2 &= \left\{ \frac{4(k+1)}{5k^2 - 6k + 5} \right\}^2 + \left\{ \frac{4k(k+1)}{5k^2 - 6k + 5} \right\}^2 \\ &= \frac{16(k+1)^2(1 + k^2)}{(5k^2 - 6k + 5)^2} \\ &= 16 \frac{k^4 + 2k^3 + 2k^2 + 2k + 1}{(5k^2 - 6k + 5)^2} \end{aligned}$$
$k = 0$ のとき、$d^2 = \frac{16}{25}$ である。 $k \neq 0$ のとき、分母分子を $k^2$ で割る。
$$d^2 = 16 \frac{k^2 + 2k + 2 + \frac{2}{k} + \frac{1}{k^2}}{\left( 5k - 6 + \frac{5}{k} \right)^2} = 16 \frac{\left( k + \frac{1}{k} \right)^2 + 2 \left( k + \frac{1}{k} \right)}{\left\{ 5\left( k + \frac{1}{k} \right) - 6 \right\}^2}$$
$t = k + \frac{1}{k}$ とおくと、$t \leqq -2$ または $t \geqq 2$ である。$g(t) = \frac{t^2 + 2t}{(5t - 6)^2}$ とし、この関数の最大値を調べる。
$$\begin{aligned} g'(t) &= \frac{(2t + 2)(5t - 6)^2 - (t^2 + 2t) \cdot 2(5t - 6) \cdot 5}{(5t - 6)^4} \\ &= \frac{(2t + 2)(5t - 6) - 10(t^2 + 2t)}{(5t - 6)^3} \\ &= \frac{-22t - 12}{(5t - 6)^3} = \frac{-2(11t + 6)}{(5t - 6)^3} \end{aligned}$$
$t \geqq 2$ の範囲において、$5t - 6 > 0$ かつ $-2(11t + 6) < 0$ であるため、$g'(t) < 0$ となり $g(t)$ は単調減少する。 $t \leqq -2$ の範囲において、$5t - 6 < 0$ かつ $-2(11t + 6) > 0$ であるため、$(5t - 6)^3 < 0$ より $g'(t) < 0$ となり $g(t)$ は単調減少する。 各範囲の端点の値を比較する。
$$g(2) = \frac{4 + 4}{(10 - 6)^2} = \frac{8}{16} = \frac{1}{2}$$
$$g(-2) = \frac{4 - 4}{(-10 - 6)^2} = 0$$
$t \to -\infty$ のとき $g(t) \to \frac{1}{25}$ であり、これらは $g(2) = \frac{1}{2}$ より小さい。また $k=0$ のときの $d^2 = \frac{16}{25}$ に対応する $g(t)$ の部分は $\frac{1}{25}$ であり、これも $\frac{1}{2}$ より小さい。 したがって、$g(t)$ の最大値は $\frac{1}{2}$ であり、$d^2$ の最大値は $16 \times \frac{1}{2} = 8$ となる。 最大値をとるとき $t = 2$ であり、$k + \frac{1}{k} = 2 \iff (k - 1)^2 = 0$ より $k = 1$ である。 このとき $d$ は最大値 $\sqrt{8} = 2\sqrt{2}$ をとる。
解法2
$2$ 交点間の距離の最大値を求める設問について、二次曲線の性質を用いた別解を示す。 $l = -6$ のとき、曲線 P の方程式は以下のようになる。
$$5x^2 - 6xy + 5y^2 - 4x - 4y = 0$$
この方程式の2次の項は次のように変形できる。
$$5x^2 - 6xy + 5y^2 = (x+y)^2 + 4(x-y)^2$$
ここで $X = x+y$、$Y = x-y$ と座標変換を行うと、曲線 P の方程式は以下のように表される。
$$X^2 + 4Y^2 - 4X = 0$$
平方完成して整理すると、
$$(X - 2)^2 + 4Y^2 = 4$$
$$\frac{(X - 2)^2}{4} + Y^2 = 1$$
これは $XY$ 平面上で、中心が $(2, 0)$、長軸が $X$ 軸上にあり、半長径が $2$、半短径が $1$ の楕円を表す。 元の $xy$ 平面における原点 $(x, y) = (0, 0)$ は、新しい座標系では $(X, Y) = (0, 0)$ であり、これは上記の楕円上にある点である。 また、原点ともう $1$ つの交点との距離 $d$ について、その2乗 $d^2 = x^2 + y^2$ は、新しい座標系では以下のように表せる。
$$X^2 + Y^2 = (x+y)^2 + (x-y)^2 = 2(x^2 + y^2) = 2d^2$$
よって、$d^2 = \frac{1}{2}(X^2 + Y^2)$ である。 楕円の方程式より $Y^2 = 1 - \frac{(X - 2)^2}{4}$ であるから、これを代入する。
$$\begin{aligned} d^2 &= \frac{1}{2} \left\{ X^2 + 1 - \frac{(X - 2)^2}{4} \right\} \\ &= \frac{1}{2} \left( X^2 + 1 - \frac{X^2 - 4X + 4}{4} \right) \\ &= \frac{1}{2} \left( \frac{3}{4}X^2 + X \right) = \frac{3}{8}X^2 + \frac{1}{2}X \end{aligned}$$
楕円上の点の $X$ 座標がとりうる範囲は、$\frac{(X - 2)^2}{4} \leqq 1$ より $-2 \leqq X - 2 \leqq 2$、すなわち $0 \leqq X \leqq 4$ である。 $d^2$ はこの範囲で $X$ について単調増加であるため、$X = 4$ のとき最大値をとる。 最大値は以下の通りである。
$$d^2 = \frac{3}{8}(16) + \frac{1}{2}(4) = 6 + 2 = 8$$
よって、$d$ の最大値は $\sqrt{8} = 2\sqrt{2}$ である。 $X = 4$ のとき、楕円の方程式から $Y = 0$ となる。 $x+y = 4$ かつ $x-y = 0$ を解くと $x = 2, y = 2$ であり、この交点は直線 $y = kx$ 上にあるため $2 = 2k$ より $k = 1$ を得る。これは条件 $k \neq -1$ を満たす。
解説
(3) においては「$-1$ 以外の全ての実数 $k$」という条件の扱いに注意が必要である。「$x=0$ 以外の解をもつ」ための2次方程式が、特定の値(この場合は $k=-1$)のときに解をもたなくても問題の条件を満たす、という境界の判定が問われている。 (4) は分数関数の最大値を求める問題であり、そのまま商の微分法を用いると計算量が膨大になる。解法1のように相反方程式に似た形に着目して $t = k + \frac{1}{k}$ と置換する手法は、対称性のある式で非常に有効な計算工夫である。また、解法2のように式の形から二次曲線(楕円)であることを看破し、座標変換によって図形的な性質に帰着させると、微分を用いずに見通しよく解くことができる。
答え
ア: 0
イ: 0
ウ: 4
エ: 5
オ: 4
カ: 5
キ: 0
ク: 0
ケ: 1
コ: 0
サ: 1
シ: 0
ス: 1
セ: 2
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